Category : 民法大改悪
●仏大統領の女性スキャンダルが教へてくれる「事実婚」の真実



 フランス新大統領に社会党のオランドが就任した一昨年5月、日本のあるフェミニストはブログにこんな感想を書き込んでゐる。


《フランスの大統領選挙で新しい大統領に就任したオランド大統領。
 翌日のフランスの新聞の見出しは「NORMAL!」。

「普通」の大統領らしいのですが、私たち日本人にとっては、とても「普通」とは思えない斬新さです。

結婚してない、事実婚の初めての大統領、というのも話題でしたが、新内閣の発表には、驚かされました。

34名の閣僚のうち半分の17名が女性。公約だったんだそうですね。

日本ではありえない!! 同じ時代を生きているとは思えない。すばらしいですね。

どうやったら、あんなに男女共同参画がすすむのか、知りたいです。》

 これを書いたのは福岡県男女共同参画センター「あすばる」の村山由香里館長。「事実婚」大統領にして閣僚の半分が女性ときたから、日本のフェミニストの皆さんたちはオランド大統領誕生にもう拍手喝采。

 そんな興奮が伝はつてくるやうな文章だが、あれから1年半。オランド大統領もいまや女性スキャンダルにまみれて、仏大統領史上支持率最低を更新中。村山館長はじめ日本のフェミニストの方々はオランド大統領の凋落ぶりをどのやうに眺めてゐるのだらうか。

 オランド大統領の女性スキャンダルは、我々日本人に恰好のネタを提供してくれたと私は思つてゐる。

 恰好のネタとは何かといふと、フランスの大統領がいかに女好きかなんてことではない。ミッテラン元大統領が愛人100人ゐたといふ話は、ミック・ジャガーが3000人の女と寝たといふ話と同じ程度に信憑性が高いと思はれるから、フランス大統領の女好きなんて今さら驚くやうなネタではありえない。
 
 では恰好のネタとは何かといふと、それはフランスにおける「事実婚」とは何かといふこと。

 オランド大統領は現パートナーとは事実婚、前パートナーとも事実婚。

 女優のもとに夜な夜なバイクで出かけては「不倫」に及んでゐたとオランド大統領は非難を浴びてゐるわけだが、しかし、「事実婚」といふのは、正式な結婚はしてゐないといふことだらう。

 それでも、事実婚のパートナー以外の女と寝たら、やつぱり「不倫」になるのだらうか?

 他方、大統領のスキャンダルを契機に、世論の攻撃の矛先は現パートナーにも向けられ、正式な妻でもない女が公費でオフィスやを構へスタッフを抱へてゐるのは言語道断、といふ声もあがつてきたらしい。

 さうか、フランスでは「事実婚」のパートナーは、やつぱり正式な妻とはみなされてゐないんだ!
 
 「事実婚」つて何だ?

 フランス大統領の下ネタ・スキャンダルにしばらくお付き合ひしてみようか。日本のフェミニストたちが教へてくれないことが色々見えてくると思ふよ。

  (この項続く)

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 ―法律婚解体闘争を煽る《少子化ジャーナリスト》白河桃子―





 前回の《民法大改悪で早速おつ始まつた法律婚解体闘争》で、白河桃子といふフェミ女のことを書き忘れてゐた。

 この読売の記事には解説がついてゐて、婚外子をよつぽど推進したいらしいフェミ記者(男だ)は、次のやうな煽動的予測を述べたてる。

《・・・・日産婦の方針転換により体外受精の障壁がなくなることで、少子化に悩む日本で、出生数の増加に結び付く可能性もある。》

 で、これに続けて、自称《少子化ジャーナリスト》白河桃子を登場させるといふ塩梅。
 
 フェミ女のコメントがこれ。

《日本は先進国であるのに、婚外子の割合が少ないなど、家族のあり方に関して考え方が狭い。日産婦の方針転換は妥当。》

 体外受精を事実婚にも認めれば、婚外子がどんどん増えて、少子化解消に効果は覿面―とのたまふ《少子化ジャーナリスト》さん。

 このオバさんフェミが《少子化ジャーナリスト》なんて聞きなれない肩書きをどうして名乗つてるか御存じ?

 フェミにとつて今、最も便利なキーワード、それが《少子化》といふわけ。

 ●働いてゐる女性が子供を産み育てたいのに、保育園が足りない。

 ●働いてゐる女性が子供を産み育てるために、男にも育児と家事労働を分担させよう。

 ●男は仕事、女は育児・家事といふ固定的役割分担意識が女性の出産育児を阻害し、少子化を招いてゐる。

 ●事実婚のカップルにも法律婚と同じ身分・待遇を与へれば、事実婚カップルも子供を産んで、少子化が解消される。

 ●夫婦別姓を求めれば、結婚したくてもできなかつた人たちが結婚できるやうになり、別姓カップルが子供を産めば、少子化解消につながる。

  などなど。

 《少子化》を大義名分にして、やりたいことをなんでもやつてしまはうといふフェミニストたちの作戦。

 フェミニストにとつて本当に便利なんだよね、《少子化》といふ言葉。

 日本で今進行してゐるのは、《少子化》を隠れ蓑にした、フェミニズム革命なのですよ。


 フェミオバさんが理想とする国はフランスである。マルフェミ学者山田昌弘との共著『「婚活」症候群』で、白河桃子は婚外子にあふれかへつたフランスを賛美する。

《(フランスでは)今や50%以上の子どもが婚外子です。もちろんこれは圧倒的に「女性が自立して働いている」ことと、「子育てを社会が支えてくれる」という背景があってのことです。》


 フランスに比べて日本は遅れてゐる、日本も事実婚拡大が急務だ、とフェミオバさんは懸命にアジる。

《日本も、事実婚の人たちもデメリットがなくなるようにすると何かが変わると思います。事実婚が3割と超えたら、ある種の文化の変換が起きるのではないでしょうか。》

 事実婚が3割と超えたら、ある種の文化の変換だつて? 

《少子化ジャーナリスト》だけあつて、言葉のごまかし方がうまいなあ、この人。日本に事実婚が3割を超えるやうな社会が到来したら、それは、日本にフェミニズム革命が起きた、つていふんぢやないの?

(この項続く)

 

 
 


 ―民法大改悪で早速おつ始まつた法律婚解体闘争―



 
 《対外受精 事実婚でも》といふ見出しで読売新聞が朝刊の一面トップで報じたのが以下の記事。

    *************

 不妊治療で広く行われる体外受精について、産婦人科医らで作る日本産科婦人科学会(日産婦)は、「結婚した夫婦に限る」としていた条件を外し、対象を事実婚カップルに広げる方針を固めた。

 昨年12月の民法改正で、結婚していない男女間に生まれた子(婚外子)に対する法律上の差別が撤廃されたことが理由だ。国も不妊治療の公費助成の対象を事実婚カップルに拡大することを検討する。

 対象拡大は、すでに日産婦理事会での了承を得ており、6月の総会で決定する。

 日産婦は、体外受精や受精卵の母胎への移植について「会告」の形で医師が守る自主ルールを策定。体外受精を結婚した夫婦に限定した規定は、国内で初の体外受精児が生まれた1983年に定めた。民法は、婚外子の遺産相続分について、結婚した夫婦の子どもである嫡出子の半分と規定していたため、生まれてくる婚外子の不利益に配慮した。

 しかし最高裁は昨年9月、家族形態の多様化や国民の意識の変化などを踏まえ、民法の規定を違憲と判断。これを受け、婚外子への遺産相続分を嫡出子と平等にする改正民法が、同年12月に国会で成立し、体外受精の対象を区別する必要性がなくなった。


   *************

 早速おつ始まつた、といふ感じである。平成の民法大改悪を待ちに待つてゐた連中の法律婚解体闘争。

 平成の民法大改悪によつて、民法から法律婚と非法律婚(事実婚、同棲)とを分かつ規定が消滅した。で、早速、日本産科婦人科学会なる団体が、「結婚した夫婦に限る」としてゐた体外受精を、事実婚カップルにも認めませうといふのが記事の内容。

 この記事の中には、明らかなウソがあるんだよね。

《民法は、婚外子の遺産相続分について、結婚した夫婦の子どもである嫡出子の半分と規定していたため、生まれてくる婚外子の不利益に配慮した。》

 《生まれてくる婚外子の不利益に配慮した》なんて笑はせるなよ。日産婦が体外受精を「事実婚」カップルに認めてこなかつたのは、事実婚を助長させるのかといふ批判を怖れて自粛してきた。ただそれだけの話。つまり、自粛の根拠は事実婚のお先棒担ぎ批判。

 今回の方針変更を、民法第九百条改悪問題と結びつけるために、最もらしい理由を考へついたんだらうな。

 フェミ一色のこの記事、もう少し紹介しようか。

《国も、子どもが欲しいカップルへの支援の拡大を目指す。厚生労働省は、法律上の夫婦に限定している体外受精などの公費助成を会告が変更されれば対象の見直しを検討する」(母子保健課)としている。》

 内閣府と並ぶ政府部内フェミ勢力の牙城が厚生労働省で、「事実婚」カップルへの「支援」をしたくてしたくてたまらかつた官庁だから、いち早く「事実婚」カップル「支援」を表明したといふ次第。

 厚生労働省が「事実婚」カップル「支援」を始めるとどのやうなことが起きるか。他の官庁も法律婚に限定してゐる支援を「事実婚」に拡大してゆくはずだ。一方で、税制面などの控除も「事実婚」にも認めるやうになるだらう。

 法律婚と「事実婚」への待遇の同等化が進めば、法律婚が有名無実化することは避けられない。法律婚はなし崩し的に解体してゆく・・・。民法改悪法案にホイホイ賛成してしまつた自民党の「ボクちゃん」たち。政府部内のフェミ勢力が考へてゐること、分かる? 妾の子の相続分が本妻の子の半分なのは可愛さうなんて話ぢやないんだよ。



◆ウーマンリブ闘士たちの《窓口闘争》といふ名のゲリラ戦
 《差別の被害者》に仕立てあげられた哀れな子供たち



 《関東で出生届の闘争開始》

 日本の法律婚制度撲滅運動において中核的な役割をはたしてきた団体に「婚差会」といふのがある。正式名称を「婚外子差別と闘う会」といふ。

 ウーマンリブの残党たちによつて昭和五十二年に結成されたのが「婚差会」だ。(当初の名称は「グループせきらん」、その後「婚外子差別と闘う会」に改称)

 その「婚差会」の手になる『非婚の親と婚外子』(青木書店)といふ著書に年表がついてゐる。

 年表の最初に登場するのが、冒頭に引いた《関東で出生届の闘争開始》といふ文言だ。

 《1975(昭和50)
  関東で出生届の窓口闘争開始。渋谷区役所に父母の続柄欄の嫡出子・非嫡出子の差別記載を拒否した出生届を提出》

 この記述は、ウーマンリブの残党たちが、それまでのヘルメットと角材で武装したゲバルト戦から、《窓口闘争》といふ名のあらたなゲリラ戦に戦術転換を図つたことをよく示してゐる。

 ウーマンリブ残党たちの戦法はかうだ。男と同棲する。子供をつくる。嫡出子・非嫡出子の別を記載しない出生届を役所の窓口に提出する。出生届の受理が拒否される。裁判を起こす。そして、《なんの罪もない子供が差別された》と叫びたてるといふパターン。

 出生届の窓口闘争は、子供がいなければ始まらない。だから彼女たちは頼まれもしないのに子供をつくる。

 子供を巻き込んで、マッチポンプの火を煽りたてる攪乱戦法。窓口闘争に利用される子供たちこそ哀れといへよう。

「婚差会」の闘士たちは今、民法九百条「改正」閣議決定の報に、勝利の雄たけびをあげてゐる。自民党の「ボクちゃん」たちの無知を嗤ひながら。




◆目標は「婚外子」規定撤廃と夫婦別姓導入
 法務省とフェミニズム勢力の四十年来の共闘


 自民党の「ボクちゃん」たち(これ、上野千鶴子オバハンの口マネね)は夢にも知らないと思ふけれど、非嫡出子(婚外子)の相続分を嫡出子の半分とする民法九百条の規定を削除することは、法務省の四十年来の悲願だつたのだよ。

 法制審議会に民法部会身分法小委員といふのがあつて、これが「相続に関する民法改正要綱試案」を発表し、このなかに非嫡出子と嫡出子の相続分同等化が盛り込まれた。昭和五十四年のことだ。

 法制審議会は法務省の隠れ蓑みたいな組織で、この時の要綱試案なるものを書いたのも法務省の役人である。

 ウーマンリブに毒された法務省の役人たちが満を持して発表した民法改正要綱試案だつたけれど、非嫡出子の相続規定改変は、自民党の反対によつてあへなく葬り去られてしまつた。翌年発表された民法改正要綱の答申から、非嫡出子相続規定撤廃は外されたのだ。

 思へば、この頃の自民党はまともだつた。
 
 一方、このころから、ウーマンリブの残党たちが「婚外子」規定撤廃闘争と夫婦別姓闘争を全国で繰り広げ始める。

 「婚外子」規定撤廃と夫婦別姓導入といふ目標において、法務省の役人とウーマンリブの残党たちは完全に一致してゐたといつてよい。

  ただ違ふのは、法務省の役人たち(裁判官を含む)は思ふやうに「民法改正」ができないので、立場上しぶしぶ現行法にしたがはざるをえなかつたのに対し、ウーマンリブの残党たちは公然と現行法を無視してきたといふことだけである。

 法務省の役人たちとフェミニズム勢力は民法「改悪」に向けてこの四十年間共闘してきた。そして両者の四十年に及ぶ共闘が漸く実つたのが今回の平成の民法大改悪である―この構図がみえない人には、この問題は理解できないと思ふ。


 夫婦別姓の策源地が法務省であるとは、『夫婦別姓大論破』(洋泉社)の拙稿でもさんざん指摘してきたことなのに、事態は一向に改善されず、法務省はいまでも夫婦別姓と「婚外子」規定廃止運動の策源地であり続けてゐる。

 こんな話、いくらしても自民党の「ボクちゃん」たちには馬の耳に念仏かな?


 

 

 
プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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