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Category : 移民・外国人労働者
■「美しい国へ」から「移民の国へ」(26)






 ▼入管法「改悪」と安倍官邸の謀略(6)

  外国人奴隷労働の実態無視を決め込んだ安倍官邸
  日本農業への悪影響に警鐘を鳴らした法務・厚労省



 農業分野への外国人労働者参入について、国家戦略特区会議の政府部内のやりとりの中で、法務省入国管理局と厚生労働者職業安定局は何度も農業分野に無節操に外国人を受け入れることへの疑念を表明してゐた。

 法務省入国管理局と厚生労働者職業安定局が平成28年1月19日付けで提出した、「国家戦略特区ワーキンググループからの指摘・確認事項についての回答」といふ書面がある。

この書面で両省は、「農業分野に外国人労働力を受け入れた場合の同分野における国内の需給見通しについて」は、「更なる精査が必要であると考えられる」とした上で、次のやうな問題点を指摘してゐた。

 《外国人労働力受入れに伴う賃金や労働市場への影響については、受入れに係る具体的業種・業務内容、賃金構造及び受入規模等が明らかでない中で詳細に分析することは困難であるが、外国人労働力の受入れが、農業分野で働く日本人労働者の賃金等の労働条件や労働環境の改善に向けた動きを阻害するとともに、日本人の新規就労にとってマイナスに働かないどうかいった点を踏まえて精査する必要があると考えられる。》

 外国人技能実習生たちに対する雇用主の不法行為がまかり通つてきたのが農業の世界である。そして、悪質農家などの摘発に追はれ続けてきたのが入国管理局と職業安定局だから、入国管理局と職業安定局は農家に雇はれる技能実習生らの奴隷労働の実情を知り尽くしてゐる。

 農家における外国人技能実習生らの奴隷労働の例は枚挙にいとまがないが、日本一のレタス産地として有名な長野県川上村のレタス農家などはその典型といへようか。

 レタス農家の平均年収が2500万円もあつた川上村は、かつては「日本農業の成功事例」としてマスコミの脚光を浴びたものの、やがて農家の超高収益は外国人の奴隷労働の上に成り立つてゐたことが暴露されてしまつた。

 中国人の技能実習生を大量に呼び込んで農家で働かせてゐたのが川上村で、一時は村の人口の五分の一が外国人で占められるほどだつた。

 レタス畑と作業場で早朝から深夜まで酷使された技能実習生たちの賃金はといへば、時給換算でたつたの530円。ほとんどタダ働きの世界である。

 野菜の中でも高収益のレタスを、広大な農場で大量生産して都市部に出荷し、しかも人件費がタダ同然なのだから、儲からない方がをかしい。

 ところが、外国人奴隷労働の実態はほどなく当局の知るところとなり、実習生の受入れ機関となつてゐた上川村の協同組合は技能実習生の受入れ停止処分を喰らつて、解散した

 川上村のレタス農家は、外国人技能実習生を大量に受け入れる前は、日本人の学生アルバイトなどを使つてゐた。

 しかし、農家の待遇の悪さと酷使に耐へ兼ねて脱走する労働者が続出し、川上村レタス農家の奴隷労働が周辺に知れ渡るに及んで、日本人労働者は川上村に寄り付かなくなつた。

 そこで日本人にソッポを向かれた川上村が目をつけたのが外国人技能実習生だつた、といふおなじみのパターン。

 農業関係者(に限らないけれど)がよく口にする、「日本人が来ないのだから、外国人に頼るしかない」といふ言葉はまともに受け取らない方がいい。

 日本人の働き手の来ない農家は、労働条件に見合つた正当な賃金を出さうとしないから、日本人が来ないだけの話なのだ。川上村の事例はそのことを教へてくれる。

 日本の大多数の農家は外国人労働者に頼ることなく、普通に農業を営んでゐる。

 外国人労働者を超低賃金で酷使してきた川上村のやうなブラック農家が日本の農業ををかしくしてゐるのである。

 先に掲げた法務省入国管理局と厚生労働者職業安定局の文書はその事実を正しく指摘してゐる。

 《外国人労働力の受入れが、農業分野で働く日本人労働者の賃金等の労働条件や労働環境の改善に向けた動きを阻害するとともに、日本人の新規就労にとってマイナスに働かないどうかいった点を踏まえて精査する必要があると考えられる。》

 低賃金で雇へる外国人が増へれば、農業に従事する日本人の労働条件の改善を阻害する。

 両省のこの正しい指摘はしかし、正しすぎるがゆえに、安倍官邸によつて排除された。

 安倍政権は馬鹿のひとつ覚えのやうに岩盤規制改革を唱へてゐるので、安倍官邸と、農業分野における既得権者=JAとは一見対立してゐるやうにみえるけれど、それは誤解である。

 外国人労働者の受入れ推進といふ点では、農水省―JA―ブラック農家と、安倍政権の利害は完全に一致してゐる。

 法務省と厚労省はそれに異を唱へた。

 これらの文書は、我が国にも国の将来を憂ふ気骨ある官僚が少なからず存在することを示してゐる。

 憂国官僚の正論をたたきつぶし、彼らを黙らせてきた安倍リベラル政権の全貌は、売国総理が退陣した後に明らかになるであらう。



 (この項続く)

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■「美しい国へ」から「移民の国へ」(25)






 ▼入管法「改悪」と安倍官邸の謀略(5)

 法務省と厚生労働省の真つ当な主張を握りつぶした官邸

 


 外国人労働者問題に関して、関係省庁には一切の議論を許さない。そのやうな安倍官邸の姿勢は徹底してゐて、事あるごとに関係省庁を高圧的に威嚇した。

 しかし、関係各省の担当者たちも、安倍官邸の脅迫めいた命令に何の反論も試みなかつたわけでは決してない。


 内閣府の地方創成推進室は前回説明したやうに、平成28年2月5日付けで、関係省庁に対して、総理のお言葉が下つたのだからそれに従へといふ威嚇文書を送りつけたが、地方創成推進室はこの直前の2月1日にも、同じ類ひの威嚇文書が法務省と厚生労働省に送りつけられてゐた。

 地方創成推進室が作成した2月1日付けの「指摘・確認事項」のはこんなことが書かれてゐた。

《法務省は、農業の業所管庁である農林水産省から外国人材受入れに係る必要性が示されていることを踏まえ、農林水産省や提案自治体からの意見、厳格な管理体制のもとに実施することとなる外国人家事支援人材受入れ事業を参考に内閣府が作成したスキーム案を基本として、農林水産省及び厚生労働者と至急調整の上、農業における外国人材受入れに係るスキームを本ワーキンググループに報告・説明し、今国会における特例措置を創設すること。》

 農業問題を所管する農林水産省は、農業分野への外国人受入れの必要性を示してゐるのだから、法務省は農林水産省・厚生労働者と調整して、今国会に向けて早急に特例措置を創設せと、と厳命した地方創成推進室。

 これに対して、法務省・厚生労働省は連名で、翌2月2日付けで、以下のやうに回答した。

《特例措置を講ずるに当たっては、当該措置を設けることの必要性及び合理性について十分な検討がなされていることが前提であるところ、かかる前提が農林水産省において整理できていない現状にある。ましてや、今後同省から回答が得られたとしても、制度の検討には相当の期間を要し、特に、農業分野においては技能実習制度において賃金不払いを始めとした種々の問題が生じていることから、同制度以上の監理体制を構築するには十分な検討が必要であり、今国会において制度を設けることは極めて困難である。》

 農業分野への外国人受入れでは、現行の技能実習制度下でも、賃金不払ひなど多くの問題が起きてゐる。この上、新たな制度をつくるには、十分な検討が必要であり、今国会で制度を創設するのは困難である。これが法務省入国管理局と厚生労働省職業安定局の見解だつた。

 法務省入と厚生労働省はかうも主張してゐる。

 農林水産省はこの時点で、
 ・農業分野で外国人が行ふ労働の内容
 ・外国人管理において農水省が担ふ責任体制
 ・農業分野で外国人の活用が必要であるとする根拠の資料提供
 ・農業分野で外国人の活用が必要であると対外的に説明できる合理的な理由
などに関して、何の見解も示してゐないではないか、と。

 所管官庁である農水省が、農業分野への外国人受入れ問題についてまつたく整理できてゐないのに、法制化などできるわけがない。法務・厚労両省は至極当たり前のことを主張したにすぎない。

 農業は技能実習制度の下において、一番問題になつてゐる業種である。

 農家から脱走する技能実習生はあとをたたず、他方で、他業界の雇用先から失踪した技能実習生は不法就労者として農家にもぐりこむ。日本において外国人不法就労者の最大の温床となつてゐるのが農家なのである。

 全国で入管法違反(不法就労助長)で摘発を受ける農家は毎年おびただしい数にのぼるが、摘発されるのは氷山の一角にすぎない。
 
 法務省と厚生労働省は、失踪などの問題を生じさせないために、高い賃金を払へばよいいではないかとワーキンググループはいふが、農水省は時間外作業に対する割増賃金の支払ひは特区では求めないと決めてゐる。この問題についてもまつたく調整がなされてゐないではないか、とも主張する。

 しかし、両省の真つ当な主張は、内閣府地方創成推進室、すなはち官邸によつてことごとく握りつぶされた。


 (この項続く)

■「美しい国へ」から「移民の国へ」(24)




 ▼入管法「改悪」と安倍官邸の謀略(4)

  外国人問題で関係官庁の議論を封殺してきた安倍官邸





 前回のブログで取り上げた国家戦略特区諮問会議が開催された平成28年2月5日の頃、政府部内では実に奇奇怪怪としかいいようのない動きがみられた。

 内閣府の地方創成推進室は、2月5日、すなはち会議当日の日付で、農林水産省、厚生労働省の担当部局あてに、《「農業の担い手となる外国人材の就労解禁」に係る国家戦略特区ワーキンググループからの指摘・確認事項》と題する文書を発信した。

 文書に目を通した関係官庁の担当者たちは、さぞかし驚愕かつ憤激したことと思ふ。

《平成28年2月3日に開催した国家戦略特区ワーキンググループを踏まえ、下記の指摘・確認事項について、2月5日までにご回答ください。
 なお、回答内容については次回ワーキンググループの議題にさせていただくこととなりますので、提出期限について厳守ください。》

 これに続く、「指摘・確認事項」なるものはこんな内容だ。

《1月28日に提示した「内閣府案」について、2月3日に議論の対象にならなかった事項に関し、もし修正すべき点があるのであれば、2月5日までに具体的な修正案を添えて報告すること。この際、法案化に当たって最低限必要な制度的骨格等に限って議論の対象とすること。

(考え方)

・「内閣府案」は、外国人受入れに関し、国会等の場における様々な議論を得て構築された、「国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業」のスキーム案を基本に作成されたものであり、適正な管理体制の構築など外国人材を特区で受け入れるのに適した汎用性が高いスキームであると考えている。

・2月3日のワーキンググループで議論した事項は確認済みと認識している。

・家事支援スキームを法案化した際も、法案化時点では必ずしも細部の検討を経たものではない。特に、受入機関の基準、人材の要件、提供するサービス内容については、追って政令や指針、解釈通知等のレベルで順次詳細化を図れば足りるものである。例えば、要検討事項とされた「請負か派遣」かは、家事支援人材では指針で明らかになる事項であり、「日本人と同等水準以上の報酬確保の具体的方法」は、運用段階で整理されるべき事項である。また、「労働基準法の労働時間等の規定の適用の在り方」については、外国人材か日本人かに関わらず整理させるべき事項ではないか。(これらについて、より早く具体化する方が望まれているものの、今の段階で詳細な指針を整理・検討しなければ法案化の検討ができないとは考えられない。)》

 これは、農業分野への外国人参入問題に関して、地方創成推進室が関係省庁に発した文書だ。

 この時点で、家事支援分野への外国人参入は特区法の改正で既に実現してゐた。

 パソナの子会社が特区で家事支援事業に参入したことは既に述べた。

 特区における「家事支援スキーム」とは、簡単にいふと、家事支援に従事する外国人労働者は派遣会社の雇用とし、派遣業者は戦略特区諮問会議が指名する。家事支援事業の細部は法案には一切盛り込まず、詳細は事後に決める、といふものだ。

 地方創成推進室は関係省庁に対して、農業分野への外国人参入についても、この「家事支援スキーム」をそのまま援用すれば済むことではないか、と言つてゐるのである。

 派遣業者の基準だとか、外国人労働者の賃金水準だとか、労働時間だとか、細かいことはあとから決めればいいのだ、細かいことをガタガタいふんぢやない、と恫喝してゐる様がみてとれる。

 地方創成推進室は、担当大臣は置かれてゐても、事実上官邸の直轄組織で、各省庁を取りまとめる権限を背景に、尊大にふるまふことで知られる。

 「指摘・確認事項」の(2)には、
《家事支援人材受入事業を参考にすれば想定される条文案は次のとおりであるところ、この条文案について問題点があれば、2月5日までに本ワーキンググループに説明すること。》
 とある。

 そして、驚くべきことに、このあとにはA4用紙で一枚近くに及ぶ「国家戦略特区法改正案」が添付されてゐるのだ。

 さて、この文書に対する回答締め切り日にもう一度目をとめていただきたい。

 《下記の指摘・確認事項について、2月5日までにご回答ください。》

 《もし修正すべき点があるのであれば、2月5日までに具体的な修正案を添えて報告すること。》

 《条文案について問題点があれば、2月5日までに本ワーキンググループに説明すること。》

 2月5日に送り付けた文書の回答締め切り日が、「2月5日」なのだ!

 長大な条文案まで送り付けて、今日中に回答を寄こせと要求する横暴さ。

 通常の役人感覚からしても、横暴といふよりほとんどイヤガラセに近い命令といへるだらう。

 しかしこれは役所間の単なるイヤガラセなどではないのだ。即日回答せよといふ類ひの手法は、移民政策を推進する安倍官邸の常套手段なのである。

 議論をする時間はないと急かせて、安倍官邸は、移民拡大に関して、関係官庁の議論を一切封じてきたのだ。

 内閣府、つまり官邸が最後に持ち出すのは、安倍首相の「お言葉」である。

 安倍首相は今日の会議で、
《医療、観光、農業などに関する大胆な改革事項を盛り込んだ「改正特区法案」を今国会に提出します。》
と述べたではないか。もう決まつたんだよ、つべこべくだらないことをいふな。

 安倍官邸は特区会議の中で、家事、農業など各分野における外国人参入の既成事実化を図るとともに、関係官庁の議論を封殺する術を学んできたのである。

 外国人労働者問題に関して関係官庁の議論を封殺するといふ手法は、平成30年の入管法「改悪」まで貫かれる。



 (この項続く)
■「美しい国へ」から「移民の国へ」(23)





 ▼入管法「改悪」と安倍官邸の謀略(3)

 オリックス役員としての極悪政商の役割



 平成28年2月5日の国家戦略特区諮問会議に、竹中平蔵ら「民間議員」5人組の意見書とともに提出された「主な規制改革事項に関する議論の状況」には、次のやうな項目も存在した。


《農業生産法人の出資・事業要件の緩和》

●「規制担当官庁の主張」

 (農林水産省)
 ・株式会社が農地を所有すると、工作放棄や産廃置場になってしまうなどのおそれ。
 ・国による没収などの担保措置が必要。養父市の条例では不十分。
 ・リース方式での企業参入を進めており、所有方式は時期尚早。

●「国家戦略特区WGの主張」

 ・養父市のように、耕作放棄などの場合の実質的なペナルティを条例で定めている場合は問題ないはず。
 ・没収などの措置がどうしても必要というなら、法律または条例でこれを定める前提で、特例を設ければよい。
 ・農業の競争力強化は喫緊の課題。特区での実験は早急に実現すべき。



 「農業生産法人の出資・事業要件の緩和」といふのも、極悪政商竹中絡みの案件である。

 平成26年に農業分野の国家戦略特区に選ばれた兵庫県養父(やぶ)市は、農業用地への企業参入を推進してきた。

 平成27年、養父市に早速参入したのがオリックスの100%子会社である「オリックス農業」だつた。

 「オリックス農業は、養父市が100%出資する「やぶパートナーズ」などと共同で、農業生産法人を設立した。

 このオリックスの社外取締役をつとめてゐるのが竹中平蔵だ。

 国家戦略特区において農業生産法人への企業参入は可能になつたものの、企業の出資は原則4分の1以下といふ枠がはめられてゐた。

 2月5日の国家戦略特区諮問会議に出席した養父市長は、農業生産法人へ企業の出資比率を2分の1以上にしてほしいと迫つた。
 
 農業生産法人の支配権を企業が握れるやうにせよ、と養父市長は主張してゐるのである。

 これが実現し、全国に波及したら、日本中の農地が国内外の企業に食ひ荒らされるのは目に見えてゐる。

 日本中の農地は自由に転売され、産廃置場に転用されることになるだらう。

養父市とオリックスは利益共同体である。

 養父市長の発言を受けて、オリックスの役員である竹中は図々しく講釈を垂れた。
 
「この農業生産法人の問題こそが岩盤中の岩盤、ザ・岩盤だと思います。このザ・岩盤の背後にはザ・抵抗勢力とザ・既得権益者がいて、これをどう突破できるかというのが本当にいろいろな意味での象徴になろうかと思います」

 岩盤だとか既得権益者だとかペテン師政商が得意のフレーズを並べ立てる。

 みなさん、オリックスが日本全国の農地を自由に転売できるやうなシステムをつくらせて下さいよ。

 竹中の露骨なまでの利益誘導発言にも反論する出席者などゐない。

 なぜなら、竹中案件=首相案件であることは誰もが承知してゐるからである。

 竹中の利益誘導発言を神妙に拝聴してゐた議長の安倍首相は、最後におごそかにかう宣言した。

《医療、観光、農業などに関する大胆な改革事項を盛り込んだ「改正特区法案」を今国会に提出します。》

 このやうな次第を経て、「改正特区法案」はこの年の通常国会で何の議論もされずに成立し、新たな利権構造がいとも易々と生み出されたのだつた。


 (この項続く)


■「美しい国へ」から「移民の国へ」(22)




 ▼入管法「改悪」と安倍官邸の謀略(2)

 国家戦略特区会議を仕切る内閣府と民間議員の結託



 平成28年2月5日に首相官邸で開催された国家戦略特区諮問会議に、諮問会議の「民間議員」である竹中平蔵、八田達夫ら5人組から恒例のやうになつてゐる意見書が提出された。

「集中取組期間の最終局面に当たって」と題された意見書は、この2年間の「改革集中期間」に国家戦略特区を活用した多くの岩盤規制改革が実現したが、いくつかの極めて重要な改革事項がいまだに実現されないままとなってゐるので、今国会に提出する改正特区法案には、それらの岩盤規制改革事項をしつかり盛り込むべきである、と例によつて改革を急げ急げと関係省庁を叱咤するものだつた。

 この意見書には別紙として「主な規制改革事項に関する議論の状況」といふ一覧表が添付されてゐて、項目ごとに「規制担当官庁の主張」と「国家戦略特区WGの主張」が対比されてゐる。

 例へば、
《クールジャパンに関わる外国人材の就労解禁》では 

●「規制担当官庁の主張」
 (法務省)
 業界からニーズはない。

●「国家戦略特区WGの主張」

 民間・自治体から提案が寄せられている。

《農業の担い手となる外国人材の就労解禁》では、

●「規制担当官庁の主張」

 検討に時間がかかる。

●「国家戦略特区WGの主張」

 農業については、担い手不足の解決とともに、技能実習制度に代わる仕組みの構築も、早急に図るべき。既存の制度(家事支援人材など)を参考に、早急な検討は可能。

《入国管理業務の民間委託の拡大》では、

●「規制担当官庁の主張」
 (法務省)
 公権力の行使であり、機密情報に触れるため、民間委託は困難。
 
●「国家戦略特区WGの主張」

 インバウンド急拡大の中で現場の混乱は大きい。民間委託の拡充を工夫すべき。

 
 これらを一瞥しただけでも、国家戦略特区会議の正体が如実に知れるであらう。

 この連中が、最高度の個人情報が集積する入国管理の業務を民間に委託することをたくらんでゐることをよく覚えておかれたい。

 入管業務が民間委託されたら、その業務を請け負ふ業者はどこか?

 竹中のパソナに決まつてる。

 岩盤規制の名の下に、特区を利用して、あらゆる規制を取つ払つた仕組みをつくり、そこに自分が会長をつとめる業者を参入させたりしても、この男の手は後ろに回らない。

 すべては安倍官邸と阿吽の呼吸の下に行はれてゐるのだ。

 この比較表を作成したのは内閣府の地方創成推進室である。

 新たな利権構造を生み出すために戦略特区会議を利用するといふ一点において、安倍官邸と戦略特区会議を担当する内閣府(内閣官房)、民間議員らの思惑は完全に一致してゐる。




 (この項続く)







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Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト・評論家。皇室問題やフェミニズム問題に取り組む。三島由紀夫研究家。國語問題研究家。


フェミニズム論の著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

皇室関連の著作としては『天皇を喰ひ物にした侍従長』『天皇と宮内庁の「背信」』など。

執筆には正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を使用、当ブログも正仮名遣ひを用ゐる。

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