Archive
◆《二分の一女》は最高裁の広告塔だつた
 非難中傷浴びて増した《二分の一女》の利用価値

《自分の価値は二分の一じゃない》《私は『二分の一』を背負つて生きてきた》と、ことあるごとに二分の一を強調したのが、非嫡出子(婚外子)相続審判で最高裁に特別抗告した和歌山県の女性だ。《二分の一》をキャッチフレーズにマスコミに登場したこの四十すぎの女性を、私はご当人の御希望通り《二分の一女》(ニブンノイチオンナ)と呼んであげたいと思ふ。

 《自分の価値は二分の一じゃない》なんていかにも安つぽいフェミストのセリフそのものだけど、この手のクサい標語が大好きなマスコミはパクリとこれにを食らひついた。かくて《二分の一女》は《哀れな二号の子供》に仕立て上げられ、お涙頂戴の記事とレポートが濫造されたのだ。

 《二分の一女》がマスコミにもてはやされるのをみて、快哉を叫んだのは、隼町の住人たちである。《二分の一女》を婚外子問題違憲決定の広告塔に使はうといふ自分たちの目論見はものの見事に成功した! 違憲判断を下した隼町の住人たち―最高裁判事のお歴々は自分たちの期待した通りの《二分の一女》の活躍にこの上なく満足したはずだ。

 これまで合憲だと言つてきた非嫡出子(婚外子)相続規定に、突如違憲だといひくるめ、国民の目をくらますためには、道具立てが必要だつた。そこでかれらは原告の中から《広告塔》をさがし始めた。

《広告塔》の条件は、女で、ある程度若いこと。いかにも遺産相続争ひに首を突つ込みさうなババアに《哀れな二号の子供》でも演じられたら、すべてはぶちこはしになるからだ。四十を回つた年齢が若いかどうかは微妙なところだが、まあババアと呼ぶ年ではない。次に《広告塔》の条件として、同情されるべきストーリーを持つてゐること。これらの条件に適つたのが和歌山の《二分の一女》だつたといふわけだ。

《二分の一女》にはネット上で、さんざん非難中傷が浴びせられたが、隼町の住人たちにとつて、ネット上の非難中傷なんて痛くもかゆくもないどころか、非難中傷を浴びれば浴びるほど、《広告塔》としての利用価値が増したと喜んでゐたはずである。

 今回の婚外子相続規定違憲の筋書は、隼町の住人だけが描いたのではない。シナリオ作成で主導的役割を果たしたのは法務省である。つまり今回の婚外子相続規定違憲決定は、法務省と最高裁の連携プレーといふことになる。


スポンサーサイト
◆《婚外子》はフェミニズムの闘争用語である
◆何も知らず《婚外子》を使ふおバカさんたち

 最高裁が破廉恥決定を出した後、マスコミには《婚外子の相続差別は違憲》だとか盛んに《婚外子》の文字が踊つた。

 マスコミの無知はひとまずおくとして、最高裁破廉恥決定を批判する輩まで《婚外子》といふ言葉を平気で使つてゐる奇怪さにギョッとする。この連中、《婚外子》がフェミニズムの闘争用語だつてことさへ知らないのかね。

《婚外子》といふ言葉は、次の英語を直訳したものだ。

 child born outside of marriage

 child born out of wedlock

 コンガイシといふ聞きなれぬ言葉を振りまき始めたのは、1970年代のウーマンリブ運動の残党の活動家たちだ。

 この残党たちがつくつた先鋭的な団体に《婚差会=婚外子差別と闘う会》といふのがあるが、この会の英訳は次のごとし。

 Group to Fight Discrimination against Children Born outside of Marrige

 《嫡出でない子》すなはち《非嫡出子》は、英語で次のやうにいふ。

 illegitimate child 

 フェミニストどもは、この《illegitimate child》を《正統でない子》と翻訳する。

 《嫡出》には《正統》という意味があるから、《嫡出でない子》は《正統でない子》となり、差別的であるとフェミニストどもは叫び始めた。かくて、フェミニズムの辞典から《嫡出子》《非嫡出子》は追放され、《非嫡出子》を《婚外子》に置き換へる運動が展開されて40年。ボンクラ保守の頭の中にまで《婚内子》といふフェミ用語が浸透してしまつたといふ次第。
 
 《婚外子》に対応するのが《婚内子》といふ言葉である。

 これも英語の、child born in marriage の直訳だ。

 で、フェミニズム闘争の終局目標とは、この《婚内子》を《婚外子》と等価にすることにほかならない。

 事実婚の子供、非婚の子供、同棲カップルの子供、ゲイカップルの子供、シングルマザーの子供、これらを《婚内子》と等価にするのはどうすればよいか? 《婚内子》の持つ《権利》を剥奪すればよい。さうすれば、《婚外子》と《婚内子》の等価は実現する。《婚外子相続格差規定最高裁判決》の本質とは、《婚内子》の《権利》の《剥奪》なのだ。

 それでは、お前はなぜ、このブログでそんなに批判する《婚外子》といふ言葉を使ふのかと批判されさうだが、答へは簡単である。ネットで上位に検索されるためである。

 この問題をネットで調べようとする人たちの多くは《婚外子》で検索にかける。《非嫡出子》で検索するのは少数派だらう。ネットで読んでもらふには、記事及び見出しに《婚外子》を入れざるを得ないのだ。

 《婚外子》闘争を撲滅するために《婚外子》を使はざるを得ないといふこの矛盾!

 といふわけで当ブログが《婚外子》を頻発させるのは戦術にすぎないので、言葉の沿革を知らずに《婚外子》といふ表現を使つてゐる保守のおバカさんたちとはくれぐれも一緒にしないやうに。

 さういへば、ドメスティック・バイオレンスがフェミニズム用語だつていことを知らずに、DV、DVと言ひ立てて、DV法の改悪(DV法は数年おきに見直される)にチカラを貸してゐる保守の一派もあつたつけ。
 




◆最高裁婚外子決定で「不倫」が増えるだと?
◆野合社会に不倫もへつたくれもあるか


 非嫡出子(婚外子)をめめぐる愚劣な最高裁決定が出たあと、こんな判決が出てしまつたら今後日本に不倫が増えるのではないかと心配する御仁が少なくない。「不倫」が増えるだと? それがどうした?

 「不倫」といふのは、確固とした結婚制度が存在するからこそ、成り立つ言葉である。結婚制度がなければ男女の結びつきはすべて野合で、不倫もへつたくれもない。結婚制度を突き崩さうとしてゐるフェミズム勢力は、事実婚、非婚、同棲、半同棲、同性婚、シングルマザーなどにもすべて結婚と同等の権利を持たせろと叫んできた。簡単にいふと、野合にも法的権利を与へろといふ要求だ。この野合の合法化が実現すれば、不倫なんて概念は消し飛んでしまふことは自明の理だ。野合社会で「不倫」なんて言つたら笑はれるヨ。

 男と男の結婚が合法化されたら、男同志のカップルにおける「不倫」つてなんだ? 男Aと男Bのカップルのどちらかが、第三の男Cと関係を持つことなのかね? 

 思ふに、今後日本に不倫が増えるのなんてノー天気なことを言つてる連中は、最高裁判決に騙されてるのだな。

 最高裁の事案は正妻の子と妾の子の財産をめぐる争ひだから、男が妾をつくるといふ発想から抜けきれないのだ。

 フェミニストらにとつて、正妻の子と妾の子の財産争ひなんて実はどうでもいいのだよ。究極の目標は、結婚における正妻の地位をひきずりおろすことにある。正妻から財産的優位性を奪つたら正妻ではなくなる。その瞬間、結婚といふ制度は崩壊してしまふのだ。

 結婚といふ制度はつまるところ、身勝手な男を縛つて、妻の立場を保護するための制度なのだよ。

 フェミニズムの辞書には「不倫」なんて言葉は存在しない。嘘だと思つたら、そのへんのフェミニズム辞典を調べてごらん。


◆フェミニストに騙されて民法婚外子規定「改正」に賛成する保守派議員
◆上野オバハンがまた嗤ふ「そんなことやってしまっていたボクちゃん」

 上野千鶴子といふ怖いフェミニストのオバハンの名前は誰でも知っていると思ふ(この人をオバ○○ンと呼ぶと殺される)。男性嫌悪及び結婚憎悪思想に凝り固まつた教条主義的フェミニストである上野オバハンが、《男社会のアキレス腱を撃つ》といふ勇ましい文章を『なくそう婚外子・女性への差別』(明石書店)といふ本の中に書いてゐるのでちよつと紹介しよう。

《 ―男社会のアキレス腱を撃つ―
                   上野千鶴子

 結婚の中でも、結婚の外でも子どもは生まれる。あたりまえの事実だ。
 結婚している女でも、子どもの父は夫であることもあるし、夫でないこともある。女なら誰でも知っていて、だが男が最も怖れている、事実だ。
 結婚とは、何より、子どもの帰属を決めるための制度だ。嫡出の原理とは、子どもの正しい生まれ方と正しくない生まれ方とを区別する。男に所属した女が産む子どもだけが、「正しい生まれ」とされ、男に所属しない女と子どもは婚外子として差別される。》

《非婚であれ、事実婚であれ、離婚シングルであれ、この社会は、シングルマザーを心理的に追い詰め、社会的に差別し、労働市場から排除し、貧困に追いやってきた。シングルマザーとその子どもたちが経験してきたこの困難は、男に所属しない女と子どもに対するペナルティでなくて、なんだろうか。》
 
《田中須美子さんの闘いは、たったひとりの女の不服従を男社会につきつけた。それが男社会のアキレス腱だったことを、世に示した彼女の功績は大である。》

 《子どもの正しい生まれ方と正しくない生まれ方》だとか《男に所属した女》なんて表現に教条主義的フェミの面目が躍如としてゐるが、この文章に出てくる田中須美子といふ人物は、この本の編者である「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会」の主催者であり、もとはといへば、《婚外子に対する戸籍続柄差別記載の撤廃を求めた裁判》の原告である。つまり、夫婦同姓がイヤだとか嫁の役割強制がイヤだとか言つて婚姻届を出さずに男との共同生活を続けたあげく、子供が生まれると、嫡出子と非嫡出子を区別するのは憲法違反だとか何だとか騒ぎ立てて、法廷闘争に持ち込んだ、よくあるクレマー的体質をもつたフェミニズム運動家のひとりなのだ。

 日本中にウジャウジャゐる、こんなクレーマーフェミニストたちを、《婚外子問題は男社会のアキレス腱なのよ》となんとか言つて、煽りに煽つてきたのが、ほかでもない上野オバハンなのである。

 我が日本国には「男女共同参画社会基本法」といふうおぞましいフェミニズム基本法が存在する。この法律がフェミニズムの地雷を抱へてゐることなど夢にも知らない官僚や自民党議員たちが口をポカンと空けてゐる間に、フェミニズム議員たちが野中広務(官房長官)らと謀つて国会を通したといふ顛末に、上野オバハンは笑ひが止まらなかつたらしい。

《つまり、納得しながら進めてきたんじゃなくて、あれよあれよと大澤委員に寄り切られて、ふりかえったら「そんなことやってしまっていたボクちゃん」(笑)ということなんでしょうか》(上野千鶴子対談集『ラディカルに語れば』平凡社)と、同法の首謀者のひとりである大澤真理と一緒に呵々大笑してゐた上野オバハン。

 婚外子問題がフェミニストらのフレームアップだといふ認識さへない自民党党議員たちがポカンと口を空けたまま、民法「改正」案に賛成票を投じたりしたら、上野オバハン、「そんなことやつてしまつてゐたボクちゃん」とまたまた腹をかかへて嗤ふだらうなあ。




◆臨時国会で民法改悪とは狂気の沙汰
◆最高裁・法務省・フェミニズム連合勢力に踊らされる自民党政権
◆「婚外子」規定の改悪はフェミニズム勢力の30年来の悲願だつた


 非嫡出子(いはゆる婚外子)の遺産相続分を嫡出子の半分とする民法の規定を違憲とした最高裁決定が出た後、谷垣禎一法務大臣は記者会見で、「相続は日々発生するもので、実務処理上の混乱が起きてくることは避けなければならない。できるだけ速やかに成案を作りたい」などと話した由。法務省は15日召集の臨時国会に民法改悪案を提出し、成立を目指すと報じられてゐる。
 
 狂気の沙汰とはこのことである。臨時国会の会期はたつた53日しかない。民法改悪を審議する法務委員会など開いても数回だらう。満足な審議などできるわけもない。形だけ審議会に諮つて、電光石火、法案を通してしまふ。これが最高裁・法務省・フェミニズム連合勢力の作戦なのだ。最高裁が、通常国会の前にではなく、臨時国会の前といふタイミングで判決を出したのはなぜか? 偶然なんてわけがないだらうが。会期の限られた臨時国会で、他の重要法案審議のどさくさに紛れて、民法改悪法案を通さうといふ作戦である。

 法曹界及び政府部内フェミニズム勢力が目の敵にしてきた家族制度がふたつある。ひとつは夫婦同姓制度。もうひとつが嫡出子の遺産相続分に関する規定である。

 夫婦別姓制度の導入と、嫡出子の遺産相続分を非嫡出子(婚外子)と同一にまで「引き下げる」ことは、フェミニズム勢力の30年来の悲願だつたことくらゐ、ボンクラ法務大臣も知らぬわけではあるまい。
プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ