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●「戦後70年談話」などやめてしまへ(11)


 日本の常任理事国入り問題で「近隣諸国の反対はそれほどではない」
 政府ポスト欲しさに言動をコロコロ変へる変節漢



北岡伸一は昨年12月、韓国の中央日報(日本語版)のインタビューで、韓国に対する親善のメッセージとして自分が考へるものは、ヘイトスピーチの規制、アジア女性基金の再実行、韓日歴史共同研究、靖国神社に代はる追悼施設を作ること―と語つた。

 追悼施設について北岡は言ふ。

《私は(安倍首相に)建議したことがある。安倍首相の周辺には2つの部類のグループがある。一つは右翼勢力で、もう一つは現実主義だ。安倍首相は政権で一度失敗した後、彼ら(右翼)の助けで再び首相になることができたため、恩義を強く感じる安倍首相としては簡単に彼らを切ることはできないと考えているようだ。右翼は代替追悼施設に反対する。しかし(安倍首相が)そのような提案くらいはしてもよさそうだ。》

 首相が靖国神社に参拝すると拍手喝采する類ひの国民を北岡は右翼勢力と呼ぶ。彼は安倍首相がこのおぞましい右翼勢力と手を切ることを切望してゐる。そして靖国神社に代はる追悼施設をつくることを安倍首相が決断すれば、右翼勢力と訣別するよいきつかけになると考へてゐるらしい

 北岡は安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の座長代理をつとめ、安保法制懇は現行憲法下でも集団的自衛権の行使は可能とする報告書を出した。安倍政権を「日本を戦争のできる国にしようとしてゐる」と批判する勢力は、安保法制懇で中心的役割を果たした北岡にタカ派学者のレッテルを張つてゐる。タカ派? この男のどこが? 首相の靖国神社参拝に反対する日本人を普通タカ派とは呼ばない。

 北岡がタカなどといふ高等動物ではなく、二枚舌三枚舌の鵺的生物であることは、彼の過去の言動が証明してゐる。

 小泉政権の時、北岡は国連の安保理常任理事国入りがすぐにでも実現しさうなことを言つて小泉首相を丸め込み、国連次席大使のポストを手に入れた。

 国連次席大使時代、北岡が日本の常任理事国入りをテーマに中央公論に書いた文章がある(平成17年1月号)。少し長いが、引用しよう。

《もう一つ、常任理事国となるについて、近隣諸国の理解を得ることが大切だという意見がある。歴史認識や戦争責任の点で、日本にはその資格がないという意見である。

 近隣諸国の理解は重要ではある。しかし、近隣諸国同士は必ずしも仲の良いものではない。イタリアはドイツの常任理事国入りに対し強く反対している。パキスタンはインドに対して強く反対している。

 それに比べ、日本の近隣諸国の反対はそれほどではない。韓国は常任理事国の拡大に反対する「コーヒークラブ」の一員である。しかし、その理由は、常任理事国の拡大についてはコンセンサスを作るのは難しいので、当面、非常任理事国の拡大を目指すべきだということである。それゆえ、ドイツについては、イタリアと大きな差はないという理由で反対している。日本については、本音は反対かもしれないが、明言してはいない

 また、反対の大きな理由とされる歴史認識の問題は、中国と韓国の国民の間では大きな問題だが、国連の場ではそれほど強力な議論ではない。

 なぜなら、つい最近まで戦争や内乱をしていた国が国連にはたくさんある。その中で、60年以上前のことを非難することは、ここではやや不自然である。

 通常、戦争をすれば、責任者を処罰して、国境線を引きなおし、賠償金を支払って、それで終わりである。それが国際常識である。日本はそれを全部やってきた。中国には賠償金を支払っていないが、それは中国が放棄したからである(中華民国も中華人民共和国も、それなりの理由で放棄に踏み切ったわけだが、ここでは詳述しない)。

 それに比べ、アメリカはベトナムに対して謝罪や賠償をしただろうか。中国は79年にベトナムに攻め込んだが、これについて謝罪や賠償をしただろうか。

 植民地支配についての国際水準はどうか。イギリスやフランスやオランダが、旧植民地に対してどのような謝罪や経済協力をしたか、そして成果が挙がっているか、疑問なしとしない。

 もちろん、中国や韓国の理解を得られるように努力することはきわめて重要である。そもそも戦争や植民地支配は非難されるべきものであるし、また、多くの国の外交は国民世論によって決まるのであり、政府の独断で決まるものではないからである。ただ、日本の常任理事国入りを理論的に阻止しうるような議論ではないということを指摘したかったまでである。 》

 安保理常任理事国となるについて、近隣諸国の理解といふ問題があるが、「日本の近隣諸国の反対はそれほどではない」。これが論文の肝。日本の近隣諸国とは中国と韓国である。本当か? この現状認識が誤りどころか、真つ赤なウソであつたことはまもなく明らかになる。

 北岡の御託を間に受けた小泉首相が国連で常任理事国入りに意欲を示す演説を行つた。これが中国と韓国を刺激し、中国と韓国で反日暴動が吹き荒れる。これに怖気づいた小泉首相は平成17年4月、日中首脳会談を控へたバンドン会議50周年首脳会議で、「日本の植民地支配と侵略」スピーチを送つて中国をなだめる羽目になつた。小泉首相のバンドン会議侵略発言にも北岡伸一が関係してゐるわけで、侵略問題におけるこの男の罪状ははかりしれない。

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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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