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■安倍晋三は売国奴か(5)

 国会でヌケヌケと河野談話を読み上げた安倍首相
 ほとんど出来レースの国会質疑




 慰安婦問題の日韓合意を伝えた海外の報道ときたら、ほとんど「sex slaves」一色という有様だつた。

 ワシントンポストの記事などその典型で、見出しがこれ。

《South Korea, Japan reach settlement on wartime Korean sex slaves》

 「韓国日本が戦時韓国人性奴隷問題で合意」と見出しに「sex slaves」が踊る。

 もちろん本文でも「sex slaves」が頻出する。

《 Japan and South Korea said Monday that they had “finally and irreversibly” resolved a dispute over wartime sex slaves that has bedeviled relations between the two countries for decades.》

《Independent historians have concluded that as many as 200,000 women and girls ? from occupied countries including Korea, China, the Philippines and other Southeast Asian nations ? were coerced by the Japanese Imperial Army to work as sex slaves during the war.》

 「sex slaves」の話題が好きな欧米のジャーナリズムにとつて、日韓合意は実に恰好のネタだつた。 

 日本政府が、
「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から,日本政府は責任を痛感している」
 と声明を出したのだから、欧米ジャーナリズムが「sex slaves」に飛びついたのは必然の成り行きだつた。

 日本政府が慰安婦問題で「軍の関与の下に」と言明するのは、世界中のジャーナリズムに向かつて、どうぞ「sex slaves」とお書き下さいと慫慂したに等しい。欧米ジャーナリズムは日韓合意声明によつて、慰安婦を「sex slaves」と呼称するお墨付きを得たと考へるのも無理はない。

 安倍首相も外務省も、河野談話を上塗りした日韓合意声明を出せば、海外でこんな反応を引き起こすことは百も承知だつたと思はれる。

 安倍首相は参議院予算委員会の答弁で、性奴隷や慰安婦20万人などの報道を「誹謗中傷」と白々しく述べたが、「誹謗中傷」を助長した自分の罪科については語らなかつた。

 安倍首相の性奴隷報道批判が口先だけにすぎないことは、同じ質疑の中で「軍の関与」の意味について、ヌケヌケと次のやうに説明したことからもうかがへる。
 
《慰安所の設置については軍当局の要請により設置されたものであり、慰安所の設置及び慰安婦の移送について旧日本軍が直接あるひは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については軍の要請を受けた業者が主にこれにあたつた》

 この文言の出所、何だかお分かりか?

 あきれたことに、あの河野談話なのである。河野談話にはかうある。

《慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たった》

 安倍首相の答弁は河野談話の丸写しだつたのだ! 一字一句忠実に河野談話をなぞつてゐることがお分かりいただけよう。答弁書は外務官僚が作成したものだらうが、 安倍首相に河野談話の文章をそのまま読み上げさせて喜色満面の外務官僚たちの顔が見えるやうだ。

 安倍首相の性奴隷報道批判は国内保守派向けのポーズにすぎない。その裏で、このやうな形で着々と河野談話の箔付けが図られてゐることを銘記しよう。国民を欺く狡猾な二枚舌といふしかない。

 質問者(中山恭子)は、この答弁が河野談話の引用であることを知つてか知らずか、「それを聞いて安心致しました」と安倍首相への阿諛で質問を締めくくつたが、安倍首相と中山恭子の親近性(拉致問題等)を考へると、この質疑は限りなく出来レースの匂ひがする。 

 国会の出来レース質疑を真に受けて、「安倍さんの考へは変はつてゐない」と無邪気に信じてゐる保守派は頓馬といふしかない。

この期に及んで国会で河野談話を一言一句正確になぞる総理大臣を売国奴と呼ぶのは間違つてゐるだらうか?



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■安倍晋三は売国奴か?(4)


 河野談話を完璧に引き写した日韓合意声明




 平成5年に出された河野内閣官房長官談話、いはゆる河野談話とは次のやうなものである。

《いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。 》

 下線を引いた部分が、河野談話の核心である。ここにいふ「軍の関与の下に」とは、強制連行を含む意味として使はれてゐることは説明するまでもない。

 さて、日韓合意声明における最も重要な部分は次のくだりである。

《慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。》

 下線部によく目をとめていだだきたい。河野談話の下線部分と文言が完全に一致してゐることが分かると思ふ。

 河野談話にある「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」といふ部分を外務省は次のやうに英訳してゐる。(外務省ホームページ「慰安婦問題に対する日本政府のこれまでの施策」)

《 with the involvement of the military authorities of the day, a grave affront to the honor and dignity of a large number of women, 》


 日韓合意声明における「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」といふ部分の英訳は次の通りだ。

《The issue of comfort women, with an involvement of the Japanese military authorities at that time, was a grave affront to the honor and dignity of large numbers of women, 》

 河野談話と日韓合意声明で一番核心の部分が、日本文もまつたく同じなら、英訳文までまつたく同一。

 なんのことはない。慰安婦強制連行をデッチ上げた河野談話の核心部分をそつくりそのまま拝借したのが日韓合意声明だつたといふわけだ。

 つまり、日韓合意声明において日本政府は、河野談話の見解と我々の見解はまつたく同じなんですよといふ破廉恥極まりないメッセージを世界に向けて発信したことになる。日韓合意声明とは河野談話の正当化以外の何物でもない。河野洋平が欣喜するわけである。

 (この項続く)



■安倍晋三は売国奴か?(3)

 日韓合意を一番喜んだ日本人は河野洋平である




 日本人の中で、慰安婦問題の日韓合意を一番喜んでゐるのは河野洋平だらう。

 河野洋平は自分の喜びをテレビ番組の中で次のやうに表現した。

《昨年の暮れに突然、合意ができて大変喜んでゐる。両国政府は従軍慰安婦の方々が相当高齢になられ、急がなくちやいけないといこともあつて、決断したんだらうと思つてゐる。よくぞ決断なさつたと素直に敬意を表したい。》

 慰安婦問題に火をつけた放火犯を狂喜させたのが、今回の日韓合意だつたことがよく分かると思ふ。

 慰安婦問題で日本国総理大臣が全面謝罪したことの最大の意味は、慰安婦強制連行をデッチあげた河野談話を免罪したといふことに尽きる。

 日韓合作で巧妙に仕組まれた従軍慰安婦強制連行の虚偽を追及してきた日本人のあらゆる労苦が一瞬にして無に帰したのだ。

 慰安婦問題は日韓合意によつて、「最終的かつ不可逆的に解決された」とは、対韓国にだけ向けられた文言と考へてはならない。この刃は日本国内に対しても向けられるのだ。

 国内的には、「もう慰安婦問題を蒸し返すな」といふ意味になる。

 河野談話を今更蒸し返して追及するな。

 河野談話なんかもうどうでもいいぢやないか。

 日韓合意で慰安婦問題はもう終はつたんだよ。

 といふ話になる。

 河野談話への追及をやめれば、河野談話は固定化される以外にない。そして河野談話とそれを上塗りした日韓合意が永遠に残る。

 安倍首相は国会で野党議員から、朴大統領に伝へた言葉をここで自分の口から述べてほしいと言はれて、この場でまた言つたりしたら最終的かつ不可逆的に解決されたことにはならないとかなんとか逃げて、述べるのを拒否した。

 多分、恥ずかしくて日本国民の前では口に出来なかつたものと推察する。

 韓国大統領への全面謝罪を日本国民に披露するのを拒む一方、安倍首相は「合意については国際社会が評価してゐる」と得意げにまくしたてた。

 だから? それで?

 国際社会は、日本の総理大臣が20万人の性奴隷を強制連行した罪を認めて謝罪した、と拍手喝采したんだらうが。国際社会とは、他国の指導者がペコペコ頭を下げれば喜ぶものだ。それをあたかも自分の外交的手柄のやうに誇示するこの厚顔さとオポチュニズム!

 かくて放火犯河野洋平は天下晴れて無罪放免され、放火犯もこれからは日韓合意の足掛かりをつくつた偉大な政治家として大手を振つて歩くことができる。

 河野洋平を、売国奴といふ「汚名」から救出したのは安倍晋三といふ変節漢であることを忘れてはならない。

 (この項続く)

■安倍晋三は売国奴か?(2)

 日韓合意で売国奴の正体に気づいた人々



安倍晋三は売国奴か?といふとても分かりやすい問題を考へてみたいと思ふ。

 売国奴などといふ言葉を持ち出すと、右翼が敵に投げつけるお決まりの誹謗語ととられさうだが、「売国奴」の正しい用法も存在するのだ。そのことを知つてほしい。

 新潮国語辞典によると、売国とは「敵国の利益をはかること」とあり、売国奴とは「売国の行為をする人」とある。

 村山談話を出した村山富市と河野談話を出した河野洋平は、言葉の正しい意味において売国奴である。そのことに異論はないと思ふ。

 実際、保守派の連中には村山富市と河野洋平を売国奴と呼ぶ人々も少なくなかつたし、彼らに売国奴といふ言葉を用いない人たちも、村山富市と河野洋平が「売国の行為をする人」であるといふ認識は共有してゐた。

 さてそれでは、戦後70年首相談話を出し、慰安婦問題で日韓合意声明を出した安倍晋三は売国奴なのか、売国奴ではないのか?

 私見によれば、村山談話が売国奴の所業なら、戦後70年談話も売国奴の所業である。

 戦後70年談話については、「百点満点」と叫んだ渡部昇一の如き狂人も存在するが、御用売文屋の放言はともかく、保守派の大半はなんとか安倍談話を「評価」しようと汲々とした有様で、正面切つて批判した人物など一人もゐなかつた。

 私が戦後70年談話を売国奴の所業を断ずる理由は簡単である。戦後70年談話が中国と韓国を大喜びさせたからである。中国や韓国が大喜びしたのは、言ふまでもなく安倍談話が彼らの利益に叶ふと考へたからだ。

 村山談話と河野談話が中国と韓国を利したのと同じやうに、戦後70年の安倍談話は中国と韓国を利した。「敵国の利益をはかること」をやつたのだから、やつた人物を売国奴と呼ぶのは言葉の正しい用法といへるだらう。

 さて、戦後70年の安倍談話に苦しい評価を与へるか、評価しないまでも批判を手控へてきた保守派の面々は、慰安婦問題の日韓合意声明を突き付けられるに及んで、反応が二つに分かれた。

 一方は、相も変はらず「評価」するしか能のない安倍信者の群れであり、他方は、やうやく売国奴の正体に気づいた一派である。

  (この項続く)
■安倍晋三は売国奴か?




 読売新聞が10日発表した世論調査によると、慰安婦問題の日韓合意について、「評価する」が49%で、「評価しない」の36%を上回り、安倍内閣の支持率は54%と前回調査から5ポイント上昇した。

 なんとまあよく似た構図だらう。戦後70年談話の時と寸分変はらない茶番劇がまたしても繰り広げられたのだ。

 昨年8月、安倍首相が侵略4点セットをテンコ盛りした戦後70年談話を出した時も、そのあと早速支持率が上昇してゐる。

 戦後70年談話の時は、自虐史観に満ちた首相談話など今更出す必要はないのに、安倍首相は敢えてそれを出す道を選択した。

 今回の日韓合意も、慰安婦問題で日本と韓国の間でなにか合意しなければならない情勢など皆無なのに、あたかも日韓の最終合意が不可欠なやうな空気を醸成して、日韓で合意に達したことを外交的成功のやうにみせかけたにすぎない。

 慰安婦問題をめぐる日韓の折衝は昨年6月あたりから始まつたらしいから、戦後70年談話の作成作業と並行して進行してゐたことになる。戦後70年の謝罪談話と慰安婦問題の謝罪はいはばセットだつた。日韓合意のあとに安倍首相が出したコメントはそのことを物語つてゐる。

《先ほど朴槿恵大統領と電話で会談を行い、合意を確認致しました。今年は戦後70年の年にあたります。8月の首相談話で申し上げてきた通り、われわれは歴代の内閣が表明してきた通り、反省とお詫びの気持ちを表明してきた。その思いに今後も揺るぎありません。》

《その上で、私たちの子や孫、その先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかない。今回、その決意を実行に移すための合意でした。この問題を次の世代に決して引き継がせてはならない。最終的、不可逆的な解決を70年目の節目にすることができた。今を生きる世代の責任を果たすことができたと考えています。》

 慰安婦問題の日韓合意は、戦後70年談話の延長線上にあることが分かると思ふ。

 安倍首相の戦後70年談話は、侵略4点セットに加へて、次のやうに慰安婦問題への謝罪にまで踏み込んでゐた。

《私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。》

 これが、今回の日韓合意における日本政府の全面謝罪の伏線であつたことは明かだらう。

 安倍首相は村山談話と河野談話を引き継ぐと何度も述べてゐる。これが遁辞でもなんでもなかつたことが、今回の日韓合意全面謝罪で証明されたわけだ。

 この人の自虐発言といふのは、アメリカの圧力によつて言はされてゐるのでもなく、外務官僚に踊らされてゐるのでもない。いはば確信犯なのである。

 安倍首相が自虐史観路線を突つ走る目的はただひとつ、内閣支持率の上昇だ。

(この項続く)


プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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