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■ミヤザキ・ケンスケ君への手紙
 安倍フェミニズム路線の忠実な実践者であるあなたへ




 ミヤザキ・ケンスケ様

 冠省

 不倫報道に関するあなたの釈明・議員辞職会見を観た国民の間から、議員辞職を惜しむ声が出なかつたことは誠に遺憾なことでありました。

 しかし、あなたの会見は日本の若者に希望を与へるものであつたと私は思つてをります。

 あなたは議員仲間からはチャラ男と呼ばれてゐたさうですが、失礼ながら、テレビ画面から受けたあなたの印象はまさにこの呼び名にふさわしかつたと申し上げるほかありません。このやうな人物でも国会の赤絨毯を踏める!といふことを天下に知らしめてくれたおかげで、世のチャラ男たちに希望を与へてくれたからです。

 さて、私は釈明会見をテレビで拝見してゐて、あなたが気の毒でなりませんでした。ミヤザキ君は安倍首相のフェミズム路線を忠実に実践しただけなのに、こんなにイジメられて、可哀想にと。
 
「女性が輝く社会」だとかのスローガンの下に推進される安倍内閣の女性政策を私はフェミ二ズム路線と呼んでゐますが、専業主婦の存在などもつてのほかといふ思想をお持ちの安倍首相(この方は配偶者控除の廃止がお望みのやうです)からすれば、ミヤザキ君なんかは、前の奥さんも国会議員で共働きだつたのだし、今の奥さんも国会議員で共働きなのですから、ミヤザキ君御夫婦は言つてみれば安倍フェミニズム政策の鑑みたいなものでありませう。

 男性の育児休業ももちろん、安倍フェミニズム政策の目玉のひとつです。安倍首相は国会の施政方針演説でも言つてますね。

《男性による育児休業を積極的に促す事業者には、新しい助成金を創設します。》 

 男性の育児休業といふ発想は、育児負担を女性だけに押し付けるのは不公平だ、男にもやらせよ、といふフェミニズムの産物にほかなりません。

 もともと、女の側から男の側に押し付けられたにすぎない育児負担が、育児休業制度として確立されてみると、そこに権利としての側面も生じてくる。「よその会社ぢや育児休業をとれるのに、なんでウチの会社はダメなの?」とか。

 で、あなたはここに目をつけたといふわけです。

 「民間企業では育児休業がとれるのに、なんで国会議員はダメなの?」

 美人の国会議員の妻が出産する。このチャンスを逃さない手はない! これで次の選挙は安泰だ、とあなたが考へたかどうか知りませんが、安倍首相はもちろん大歓迎でした。

 安倍首相はあなたに言つたさうですね、「それでこそ政治家だ」と。

 あなたの発言と同時に国会議員の育児休業について賛否両論が沸き起こりましたが、この問題が注目が集まれば集まるほど、自民党はこんなに育児休暇の問題を真剣に考へてますといふPRになる。ニンマリしてゐたはずです、安倍首相は。

 賛成論反対論が熱を帯びてくれれば、あなたの知名度がアップするのはいふまでもありません。

 しかし、「育児休業のミヤザキ・ケンスケ」として名前を売つて次の選挙は楽勝―といふあなたの計画は一瞬のうちに潰えました。それと同時に、育児休業問題は次の選挙の追ひ風になるとほくそ笑んでゐた安倍首相の夢も一瞬のうちに潰えました。

 お気の毒と申し上げるしかありません。

 あなたは会見で不倫の事実を認めて謝罪する一方で、国政への思ひを熱く語られました。誠にご立派な態度といはなくてはなりません。

 将来、あなたが国会議員として再チャレンジされるかどうか分かりませんが、別に国会議員になるだけが国家に寄与する道ではありません。

 あなたのお得意の能力を生かせばいいのです。

 仄聞するところによると、あなたは自民党絶倫4人衆のおひとりの由。その御能力を生かすのです。

 なるべく多くの女性と交遊を持ち、それらの女性とそれぞれ子づくりにお励みになる。多くの女性との間に、多くの子供をつくる。

 これこそまさしく、安倍内閣が推進する生めよ増やせよ政策に貢献する道ではないでせうか。

 別にそれらの女性といちいち結婚する必要はありません。

 結婚してゐないカップルにも結婚した夫婦と同等の権利を与へる。これが安倍フェミニズム政権の基本方針であることはあなたも つとにご承知の通りです。結婚なんかするから不倫といふ問題が生じてしまふのです。

 どうか邦家のため、そちらの方面で大いにご活躍下さいます様心より念じ上げます。

                                    怱々
 

 
 


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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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