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■憲法改正ゴッゴの行方 

 「再び侵略的国家とはならない」といふ「中山三原則」を掲げた
  憲法調査会は何をしたか?




衆参両院には現在、憲法審査会が設置されてゐて、憲法改正問題についてはこの憲法審査会がもつぱら審議することになつてゐる。

 この憲法審査会の前身ともいふべき存在が、平成12年から平成17年まで衆参両院に設置されてゐた憲法調査会だ。

 衆議院憲法調査会の会長をつとめたのは、憲法調査会設置の旗振り役だつた自民党の中山太郎で、衆議院憲法調査会は平成17年に報告書をまとめて議長に提出した。

 この衆議院憲法調査会には、会長の中山太郎が提唱した「中山三原則」というのがあつて、 
 「人権の尊重」
 「主権在民」「
 「再び侵略的国家とはならない」
 といふのがそれだ。

 憲法の教科書に載つてゐる日本国憲法の三原則とは、
 「基本的人権」
 「主権在民」
 「平和主義」  
 だけれど、この中の「平和主義」を「再び侵略的国家とはならない」と言ひ換へたところに、中山会長及び憲法調査会の性格がよくあらはれてゐる。

 「中山三原則」がこんな調子だから、憲法調査会の報告書の内容も推して知るべし。憲法の各条文についてこんな意見が出た、こんな意見が多く出たといふ記述の羅列ばかり。5年の歳月を費やし、海外に調査団を派遣し、地方公聴会を9回も開催しながら、完成したのは毒にも薬にもならない分厚い報告書だつたのだ。

 たとへば、憲法9条に関しては、報告書は「9条に対する評価」として次のやうに説明する。

《安全保障については、9条がこれまで我が国の平和や繁栄に果たしてきた役割を評価する意見が多く述べられた。また、少なくとも同条1項の戦争放棄の理念を堅持し、平和主義を今後も堅持すべきであるとする意見が多く述べられた。》

 こんな意見が多くありましたといふ記述方式は、皇室の問題にもそのまま適用された。
「皇位継承」についての報告書の記述。

《皇位継承については、主として皇室典範の問題として議論が行われた。その主な議論は、女性による皇位継承の是非に関するものである。この点については、女性による皇位継承を認めることに慎重な意見もあったが、これを認めるべきであるとする意見が多く述べられた。》

 女性天皇を認めるべきといふ意見が多く述べられた、といふ記述は一見客観的に見えるかもしれない。

 ところが仰天しさせられるのは、女性天皇問題に関する報告書の立場は客観的どころではないことだ。

 衆議院憲法調査会の筆頭幹事である自民党の船田元は、報告書冒頭の所感で、「女性の天皇を認める方向性をいち早く打ち出したのは、当調査会であると自負しています」と自画自賛してゐるのである。

 衆議院憲法調査会を主導したのは、中山会長―船田筆頭幹事ラインで、二人とも女性天皇容認派だつた。憲法調査会で女性天皇容認の意見が多数を占めたことに中山と船田は欣喜し、これを憲法審査会の功績として誇つたといふのが事の次第だ。

 第9条問題では、何の方向性も示さうとせず、皇位継承問題で女性天皇容認の意見が多数を占めたと喜ぶ。これが我が国の国会に初めて設置された憲法調査会のお粗末な実情で、お気楽気分で作成された報告者が国民に見向きもされなかつたのも無理はない。
 
 (この項続く)





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■改憲ゴッゴの行方


  国会の憲法改正論議の茶番




 9月26日に召集された臨時国会で、憲法改正問題で早速、与野党のやりとりがあつた。

 民進党の野田幹事長は自民党の憲法改正草案について「本気で議論する気があるなら、まずは自民党総裁として草案を撤回していただきたい」と撤回を要求、これに対して安倍首相は「自民党草案を撤回しなければ議論できないといふ主張は理解に苦しむ」と答弁した。

 このやりとりだけ切り取つてみると、野田幹事長の自民党草案撤回要求なるものがイチャモンのためのイチャモンにすぎないのは明白だから、代表質問でこんなものを持ち出した野田が異常で、これを拒否した安倍首相は至極まともだといふ印象を受ける。

 それなら、これから国会の憲法審査会で憲法改正論議に臨まうといふ自民党の姿勢がまともかといふと、さうではないから困るのだ。

 自民党の森英介・党憲法改正推進本部長は下村博文幹事長代行から衆院憲法審査会長の就任要請を受けるに際して、「自民党草案は封印してほしい」とクギを刺されたのだといふ。

 自民党内で自民党草案の棚上げ論が優勢になり、自民党草案を封印するといふ暗黙の党内の合意がいつのまにやらできたものらしい。つまり、今後の憲法改正論議に自民党は白紙で臨むといふことだ。

 奇怪極まりないことではないか。

 政権与党が、憲法改正に着手したいといひながら、我が党は憲法のここをこのやうに変へたいといふ考へを国民に提示することもせずに、白紙の状態で憲法改正論議を始めませうといつてゐるのだ。

 国会の憲法審査会が憲法の問題を白紙の状態で議論するとどのやうなことになるか? 

 先例がある。それは平成12年に設置された衆参両院の憲法調査会である。

 (この項続く)
■「日韓合意」は第二の「河野談話」だ(8)


 「河野談話」といふ名の「日韓合意」
  韓国側の関与を隠蔽したカラクリ




 「河野談話」が出された平成5年(1993年)は政局が激動した年だつた。
 
 衆議院本会議で宮澤内閣の不信任決議案が可決されるや、宮澤首相は衆議院を解散。7月18日の総選挙で自民党は過半数を割り、宮澤首相は7月22日、退陣を表明。8月5日、総辞職。8月9日、7党1会派による細川連立内閣が発足し、自民党長期政権が終焉した。

 宮澤内閣は総辞職する前日の8月4日、慰安婦問題に関する調査結果を発表するとともに、河野官房長官が談話を発表した。これが「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」、通称「河野談話」と呼ばれるものだ。
 
 この「河野談話」には、二重三重のカラクリが仕組まれてゐたことが今では明らかになつてゐる。
 
 まず、「官房長官談話」といふ形式。
 
 「官房長官談話」なんてものが出されれば、日本政府は慰安婦問題に関する見解をこんな形で表明したと誰しも考へる。「談話」の作成者たちのつけ目もそこにあつたといへる。
 
 「河野談話」は日本政府が独自に作成したものではない。
 
 韓国政府と交渉が行はれ、韓国側の要求を容れ、両国で文言をすり合はせた末にでき上つた文書、それが「河野談話」の正体なのだ。
 
 従つて、「河野談話」とは、正しく言へば慰安婦問題に関する「日韓合意」文書といふことになる。
 
 「河野談話作成過程等に関する検討チーム」が平成26年に発表したレポート「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯」はそのへんの事情を克明に記してゐる。
 
 「河野談話」のカラクリを隠蔽するために日韓政府間で密約が交はされた。
 
 それは、河野談話の作成にあたつて韓国政府は一切関知しなかつたことにするといふ密約である。韓国政府は、日本側から送られてきた一枚のファックスによつて発表文をはじめて知つたといふことにしたいと述べた。最終的に両国間で「事前協議は行つておらず、今回の調査結果はその直前に伝達した」といふストーリーを取り決めた。

 だから、「河野談話」は、日韓政府間で密約がなされ上に成立した「日韓合意」文書と呼ぶのが正しい。
 
 「河野談話」は日本側が行つた元慰安婦の聞き取り調査(7月26日~30日)の結果をふまへて作成されたと喧伝されたが、これもウソ。実際は、元慰安婦の聞き取り調査が終了する前に、談話の原案はすでに作成されてゐたのだ。
 
 原案に対して韓国側はあれこれ要求を突き付け、「強制性」については、全体として個人の意思に反して行はれることが多かつたと受け止められるようにせよ、といふ韓国側の要求をのみ、「甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して」といふ文言で最終調整された。
 
 河野談話の発表前夜の8月3日夜、韓国側から「金泳三大統領は日本側の最終案を評価してをり、韓国政府としてはこの案文で結構である」といふ連絡が入つた。この事実ほど、河野談話が「日韓合意」そのものであることを示す証拠はない。
 
 慰安婦問題をめぐる韓国政府との事前調整は、平成4年1月の加藤官房長官による「加藤談話」が作成される際にも行はれてゐた事実も、同レポートによつて明らかにされた。
 
 まだ元慰安婦の聞き取り調査が行はれてゐた7月28日、日韓外相会談が開かれ、武藤外相は「この問題については右をもつて一応区切りをつけたい」と述べた。
 
 退陣前に決着をつけておきたいといふ宮澤内閣の姿勢が、「河野談話」といふ名の「日韓合意」を生んだことは明らかだが、この「日韓合意」が慰安婦問題を決着させるどころか新たな発火点になつたことは歴史が教へてくれる通りだ。
 
 「河野談話」が第一の「日韓合意」とするなら、安倍政権による「日韓合意」は第二の「日韓合意」と呼ぶのがふさわしい。そのやうに位置づけることによつて、安倍内閣「日韓合意」の本質がみえてくると思ふ。
 
 
 
■「日韓合意」は第二の「河野談話」だ(7)

 自民党自虐派の頭目だつた加藤紘一
 「河野談話」のプロトタイプとしての「加藤談話」





 「河野談話」の問題で、加藤紘一について触れようと思つてゐたら、加藤の訃報が伝へられた。
 
 新聞が書いた加藤紘一の死亡記事は、「宏池会のプリンス」だつたとか、「YKK」だの「加藤の乱」だの、派閥の後継争ひと自民党内政争絡みの話ばかりで、もともと利権と政局が好きなこの二世政治家は、所詮自民党総裁=総理大臣になりそこねた二流の政治家にすぎなかつたことを物語つてゐる。
 
 しかし、加藤紘一が平成の日本外交史において、決定的な役割を果たしたことが二度ある。一度は、天皇の訪中問題の時、一度は韓国との慰安婦問題が起きた時である。いづれも平成4年(1992年)、加藤紘一が宮澤内閣の官房長官在任時に起きた問題である。

 天安門事件の虐殺で世界的に孤立を深めてゐた中国が、その突破口として画策したのが天皇の訪中だつた。
 
 中国の猛烈な対日工作に呼応して、政府部内で中心的役割を果たしたのが加藤官房長官で、駐中国大使橋本恕(ひろし)らと連携して、自民党内訪中反対派やマスコミ・保守派団体などへの根回し工作を行つた。外務官僚から政界に転身した加藤は外務省ではチャイナ・スクールに属し、中国課勤務時代の上司の中国課長が橋本恕だつた。

 加藤らの工作が功を奏して、結局、天皇は平成4年10月に訪中し、かの地で謝罪の言葉を述べることになるのだが、この天皇訪中は中国の圧力によつて実現したといふよりも、中国と呼応した自民党内左派勢力(主体は宮澤派)の勝利といつた方が事実に近い。
 
 同じ年、天皇訪中問題と併行して、慰安婦問題が火を噴いた。
 
 慰安婦問題に火をつけたのは、朝日新聞と加藤官房長官だつた。

 朝日新聞は朝刊一面で「慰安所、軍関与示す資料」「部隊に設置指示 募集含め統制・監督」と報じたのが1月11日。
 
 すると加藤官房長官は、待つてましたとばかりに、わずか2日後の1月13日、「お詫びと反省」の談話を発表した。

 1月16日には、宮澤首相の訪韓が予定されてゐて、この時の朝日報道は宮澤訪韓のタイミングを狙つたことは明らかだが、加藤官房長官が早々と出した「お詫びと反省」は朝日新聞との連携プレーみたいなものだつた。(ついでにいふと、加藤は東大卒業の年、朝日新聞の入社試験に合格してゐる。この年、外交官試験は落ち、翌年受かつて外務省に入省)。

 宮澤首相は反日デモが吹き荒れる韓国で盧泰愚大統領と会談。慰安婦問題で謝罪し、「真相究明を約束する」と表明した。現地の新聞は宮澤は言葉を変へて8回も謝罪したと報じた。宮澤は、慰安婦問題で公式謝罪したはじめての日本国総理大臣となつた。

 宮澤首相が訪韓で表明した慰安婦問題の「真相究明」のために日本政府は調査を行い、その結果を7月6日、加藤官房長官が発表した。これが、「朝鮮半島出身者のいわゆる従軍慰安婦問題に関する加藤内閣官房長官発表」、別名「加藤談話」である。

 「加藤談話」とは次のやうなものだ。

《朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦問題については、昨年12月より関係資料が保管されている可能性のある省庁において政府が同問題に関与していたかどうかについて調査を行ってきたところであるが、今般、その調査結果がまとまったので発表することとした。調査結果については配布してあるとおりであるが、私から要点をかいつまんで申し上げると、慰安所の設置、慰安婦の募集に当たる者の取締り、慰安施設の築造・増強、慰安所の経営・監督、慰安所・慰安婦の街生管理、慰安所関係者への身分証明書等の発給等につき、政府の関与があったことが認められたということである。調査の具体的結果については、報告書に各資料の概要をまとめてあるので、それをお読み頂きたい。なお、詳しいことは後で内閣外政審議室から説明させるので、何か内容について御質問があれば、そこでお聞きいただきたい。
 政府としては、国籍、出身地の如何を問わず、いわゆる従軍慰安婦として筆舌に尽くし難い辛苦をなめられた全ての方々に対し、改めて衷心よりお詫びと反省の気持ちを申し上げたい。また、このような過ちを決して繰り返してはならないという深い反省と決意の下に立って、平和国家としての立場を堅持するとともに、未来に向けて新しい日韓関係及びその他のアジア諸国、地域との関係を構築すべく努力していきたい。
 この問題については、いろいろな方々のお話を聞くにつけ、誠に心の痛む思いがする。このような辛酸をなめられた方々に対し、我々の気持ちをいかなる形で表すことができるのか、各方面の意見も聞きながら、誠意をもって検討していきたいと考えている。》
 
 「政府の関与があったことが認められた」と述べ、「衷心よりお詫びと反省」を表明する。この「加藤談話」が「河野談話」のプロトタイプであることは明らかである。

 天皇訪中問題と慰安婦問題を検証してみると、加藤紘一といふ政治家が自民党自虐派の頭目だつたことがハッキリする。
 
 加藤は政界引退後、日中友好協会の会長をつとめ、共産党の赤旗に寄稿した。もともと共産党に所属してもをかしくない男だつたのだ。

 「河野談話」は「加藤談話」を抜きにして考へることはできない。
 
 (この項続く)
 
■「日韓合意」は第二の「河野談話」だ(6)


  これだけある「河野談話」と「日韓合意」の類似点




 日本では、慰安婦問題で国を誤らせた元凶は「河野談話」である、といふことになつてゐる。
 
 「河野談話」を批判する人々は次のやうに主張してきた。
 
 慰安婦強制連行をデッチあげた「河野談話」によつて日本は性奴隷犯罪国の汚名をきせられた。

 「河野談話」が存在する限り、性奴隷犯罪国の汚名が晴らされることはない。
 
 「河野談話」を撤回せよ。

 しかし、残念ながら、今となつては、「河野談話」が撤回されても、性奴隷犯罪国といふ日本の汚名が晴らされることはない。
 
 なぜなら、「河野談話」が果たしてきたのと同じ役割をこれからは「日韓合意」が果たすであらうからだ。
 
 私は断言してもよい、「日韓合意」は第二の「河野談話」になる、と。
 
 「日韓合意」と「河野談話」は驚くばかりによく似てゐる。

 思ひつくままに列挙してみようか。

 ①慰安婦問題で日本政府が公式に謝罪し、「お詫び」と「反省」を述べた。

 ②日韓政府間で文言のすり合はせが行はれ、日本政府が慰安婦の強制連行を認めたと受け取られるやうな表現が採用された。
 
 ③日本政府は、韓国側の要求を呑めば、慰安婦問題は最終的に解決されると考へた。

 ④慰安婦問題の最終決着を大義名分にして、日本国民に対して騙し討ち的に事が運ばれた。

 ⑤それをきつかけに、韓国における慰安婦運動はますます激化した。

 「河野談話」と「日韓合意」の共通性はこれだけある。

 もつと言へば、「河野談話」の後、財団が設立され、財団から元慰安婦に事実上の賠償金が支給されるも、挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)の息のかかつた元慰安婦らは受け取りを拒否。これを機に挺対協などは反日攻勢を一段と強めていつたが、これとまつたく同じ事態が、「日韓合意」後の今、韓国でまさに起きてゐるのだ。
 
 大方の日本人は誤解してゐるけれど、「河野談話」は慰安婦問題に火をつけるために出されたものではない。慰安婦問題を鎮静化させるために出されたものなのだ。日本が慰安婦強制連行を認めて謝罪すれば、韓国で燃え盛る反日運動も鎮静化し、慰安婦問題も最終決着するに至るだらう、と。
 
 日本がカネを出して謝罪すれば、「慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決」するとノー天気な期待を語る安倍呆韓総理は、この点で、「河野談話」を出した河野洋平の当時の認識と完全に一致してゐる。
 
 「河野談話」はなぜ、どのやうにして生まれたのか。それを振り返つてみれば、「河野談話」と「日韓合意」の相似性が明白になるはずである。

 
 (この項続く)






■「日韓合意」は第二の「河野談話」だ(5)


  安倍「呆韓」外交を全面支持する安倍「幇間」記者





 日本政府が韓国で財団が設立されるのを待ちかねたやうに、10億円の支払いを急いだ理由は簡単である。慰安婦像の撤去などありえないことが分かつてしまつたからである。

 慰安婦像撤去を10億円拠出の条件にする限り、慰安婦像撤去の可能性など今のところゼロパーセントなのだから、10億円拠出の方も店ざらしの状態が続く。 さうなれば、日韓合意の内容は不履行といふことになり、日韓合意は事実上の破棄となる。日韓合意で韓国が設立した財団は朴政権の任期内に解散する。韓国の次期政権は「日韓合意なんて認めない」と言ひ出すだらう。結局、日本大使館前の慰安婦像だけが残されましたといふ話になる。

 安倍政権にとつて一番恐ろしいのは、日韓合意のボロが出ることだ。「慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決される」と表明した日韓合意が絵空事だつたことが暴露されれば、韓国に騙された日本はまたまた世界に恥をさらしてしまふ。
 
 日韓合意のボロが出る前に、臭いものには蓋とばかりに10億円を拠出し、その理由づけとして持ち出されたのが、「日本はこれで日韓合意の責務を果たしました」といふ言ひ草だ。

 安倍政権の媚韓外交姿勢とその結果は明白なのに、マスコミなどの中にも、こんな安倍媚韓外交を評価してやまない輩が少なからず存在する。
 
 その代表格が産経新聞で論説委員だかをやつてゐる阿比留瑠比だらう。

 日本の10億円拠出がまだ不透明な段階で、
 《韓国を冷静に突き放す10億円》
 《後はどうなろうと「全て韓国側の問題」だ》
といふ見出しで、阿比留はこんな御託を並べてゐる。

《安倍晋三内閣はお人よしの善意に基づいて10億円を拠出しようとしているのではなく、むしろ、冷静に韓国を突き放そうという狙いがあるからこそ、さっさと10億円を韓国側に渡してしまおうとしているのではないか。》

《本当に慰安婦像の撤去・移転が実現すれば歓迎するが、現状の韓国政府の不作為にしても、日本側にとっては当初から半ば織り込み済みのことだろう。それならばこっちは素早く10億円を拠出してしまい、あとは韓国側の合意不履行を責めて、道徳的優位に立った外交を行えばよかろう。》

 さすがに、産経新聞切つての安倍幇間記者だけのことはある。

 日本が先に10億円を拠出
   ↓
 韓国側の合意不履行を責める
   ↓
 道徳的優位に立つた外交を行ふ(※注)

 だと。アホかといひたくなる。あきれるばかりの「呆韓論」。

 韓国といふ国のことをなにも知らない戯言。
 
 韓国にこんなきれい事が通じると思つてゐるナイーヴさ。
 
 「呆韓(バウカン)論」といふ本があつて、呆といふのはあきれるといふ意味で、韓国のあきれるばかりの生態を描いた本なのだが、日本にも「呆韓」に対応するバカは少なくない。

 阿比留某などその典型といへるかもしれない。

 「呆韓」外交に「呆韓」記者。

 「呆韓」記者の方は、単なる「呆韓」ではなくて、安倍「幇間」の要素が交じつてゐるから始末が悪い。

 この程度の韓国認識でよく新聞社の論説委員などつとまるものだと感心してしまふ。いや、この程度の韓国認識だからこそ論説委員がつとまるのかな?

 この安倍幇間記者は河野談話に反対してゐたはずだが、あの悪名高き河野談話が出現するに至つた経過を少しも勉強してゐないらしい。 

(※注)
かつて、慰安婦問題で、《道徳的優位性》といふ言葉を使つた韓国大統領がゐた。慰安婦問題が燃え盛る平成5年(1993年)2月に大統領に就任した金泳三だ。彼は就任直後、慰安婦問題について、「日本政府に物質的補償を要求しない方針であり、補償は来年から韓国政府の予算で行ふ。そのやうにすることで道徳的優位性をもつて新しい日韓関係にアプローチできるだらう」と語つた。日本からカネを受け取らなければ、《道徳的優位性》を保てるといふ理屈だ。

その後の慰安婦問題の推移をみれば、韓国はアジア女性基金を通じて日本からカネを受け取つた後も反日攻勢の手を緩めず、日韓関係においては《道徳的優位性》もへつたくれもない状況にあることは分明だ。

 (この項続く)

 

■「日韓合意」は第二の「河野談話」だ(4)


 コリア・スクールが韓国と結託して仕掛けた罠





 
 「日本側が先に10億円を出せば、やがて慰安婦問題は最終決着の方向に向かう」といふガセネタを垂れ流す外務省のコリア・スクール。
 
 この外務省コリア・スクールの正体を知るのに恰好の記事が産経新聞に掲載された。前駐韓大使・武藤正敏へのインタビュー記事である。
 
 平成22年から24年まで駐韓大使をつとめた武藤正敏は、「コリア・スクール」初の駐韓大使で、韓国政府から修好勲章光化章まで授与されてゐる。


 武藤は「まず10億円を供出すべき。慰安婦像撤去はその後求めればよい」と言つて、こんな見通しを述べ立てる。

《慰安婦像の撤去は入り口では難しい。遺憾ではあるが、出口にせざるを得ない。つまり、慰安婦問題が解決したとき、『問題が片付いたのに日本大使館前に置いておくのはおかしい』という雰囲気に韓国全体がなれば、韓国政府も撤去しやすくなる》

 慰安婦像が撤去されない限り10億円を拠出すべきでないといふ意見に対しては、次のやうに断固反対する。

《そういった発言は、慰安婦像の価値を高めているとしか思えない。あまり騒ぎたてなければ、人々の関心は薄れていく。関心のなくなった慰安婦像は、問題解決したときに撤去しやすくなる。日本が慰安婦像に敏感に反応していると、問題が解決しても慰安婦像を置くべきだという話になってしまう。日本は慰安婦像ごときで騒ぎ立てないほうがいい》」
 慰安婦像ごとき問題で騒ぎ立てなさんな。この男の言ひたいことは、この一言に尽きるだらう。
 
 媚韓外交の功績により韓国から勲章までもらつたこの前韓国大使は、コリア・スクールの本音をとても正直に代弁してくれてゐると思ふ。

 日韓合意における外務省コリア・スクールの基本戦略は次のやうなものだつたと思はれる。

 日本の総理大臣に公式に謝罪させる、そして日本が元慰安婦に対する賠償金を支払ふ。しかしこれでは日本国民を憤激させるから、日本国民向けの見せ金として慰安婦像撤去の一項を盛り込む。
 
 簡単にいへば、慰安婦像撤去はコリア・スクールが韓国外交当局と結託して日本向けに仕掛けた罠だつたといふことになる。
 
 慰安婦像に対する韓国民の関心はやがて薄れていくだらう、と武藤はいふ。これが韓国の実情を隠蔽するための虚偽宣伝であることは、日韓合意後の韓国内外の動向が証明してゐる。
 
 なにしろ、日韓合意後、韓国の内外では慰安婦運動は鎮まるどころか一段と激化してゐるのだから。
 
 元慰安婦たちの訪米はますます頻繁になり、元慰安婦はアメリカで要人に面会し、全米各地で「体験談」を語つてゐる。アメリカにおける慰安婦像の設立の動きはますます活発化の様相を呈し、韓国系の女たちはニューヨークの街頭で毎日のやうに「日本による性奴隷犯罪」を叫びたててゐる。
 
 アメリカ以外でも、例へばオーストラリアでは韓国系のグループがシドニー近郊市の「韓国人会館」に慰安婦像を建て、慰安婦像建立運動は豪州全体に波及する動きをみせてゐる。

 韓国国内でも、6月にはソウルの慰安婦像の前で、1000人規模の集会が開かれ、参加者は日韓合意を破棄せよと気焔をあげた。
 
 ソウルに財団が設立された7月28日には、会見場に女たちが乱入して警察に連行され、記者会見を終へた金理事長を男が襲撃するといふ事件が起きた。

日本の10億円支払ひが正式に決まつた後の8月29には、ソウルの南山公園に竣工した元慰安婦を追悼する「慰安婦記憶の場」の除幕式が行はれ、出席した元慰安婦たちは日韓合意を糾弾し、慰安婦撤去絶対反対を訴へた。

 今、韓国では、日本大使館前の慰安婦像を撤去しようしたら暴動が起きる、といはれてゐる。

 日韓合意後の韓国内外の動向をみてゐると、暴動もむべなるかるかなと思はれる。

 はつきりしてゐるのは、日韓合意は慰安婦問題を再燃させたといふことだ。
 

 (この項続く)



■「日韓合意」は第二の「河野談話」だ(3)


 コリア・スクールの言ひなりに動く安倍官邸






 8月12日、日韓両政府が「和解・癒やし財団」の事業内容について大筋で合意した後、岸田外務大臣の口から出たのが次の言葉だ。
 
 「資金支出が完了すれば、日本側の責務は果たしたことになる。韓国政府も日韓合意を誠実に実施していくと確信してゐる」
 
 菅官房長官も、韓国の財団への送金に関して、「日本政府としては、この資金の拠出を完了すれば、日韓合意に基づく日本側の責務は果たしたことになる」と繰り返し語つてゐる。
 
 通常の外交交渉では、相手国が約束を履行してゐないのに、自国が一方的に約束を履行することなどありえない。それは外交ではない。一方の国のみの約束履行など外交の名に値しない。
 
 然るに、「資金支出が完了すれば、日本側の責務は果たしたことになる」と平然と言つてのけるのが日本国の外務大臣なのだ。
 
 日本側がさつさと10億円を支払ひ、外務大臣が「これで日本側の責務は果たしました」と述べたて、あたかも日本が真つ当な外交をしてゐるかのように見せかけるといふシナリオを書いたのは、外務省のコリア・スクールの連中だらう。
 
 外務省にはチャイナ・スクールと同じやうに韓国べつたりのコリア・スクールといふ一派が形成されてゐて、韓国外務省とつるんで対韓自虐外交を継続させるべく画策してゐるのがコリア・スクールなのである。
 
 コリア・スクールの連中は政治家やマスコミにまことしやかにささやく。
 
 「日本が先に10億円を支払つてしまへば、それが韓国政府への圧力になつて、韓国政府も慰安婦像の撤去に動かざるをえなくなりますよ」
 
 「日本が10億円を支払へば、日韓合意の慰安婦問題は最終決着に近づく。慰安婦問題が解決すれば慰安婦像はおのずと撤去の方向に向かうでせう」

 すべて口から出まかせである。日本側から10億円を受け取らうが、韓国政府に慰安婦像の撤去に動く意思などまるでないことを一番よく知つてゐるのはコリア・スクールの連中だらう。

 (この項続く)





 
■「日韓合意」は第二の「河野談話」だ(2)

  慰安婦像撤去問題に頬かむりして10億を差し出した安倍内閣





 それにしても、韓国の財団への10億円拠出に至るまでの日本政府の対応ぶりをみると唖然とするばかりだ。
 
 7月28日、韓国政府が「和解・癒やし財団」を設立。
 
 8月9日、日韓外務省局長協議で日本が拠出する10億円の使途、拠出時期などについて協議。
 
 8月12日、日韓両政府が財団の事業内容について大筋合意。
 
 8月24日、日韓外相会談、岸田外相が韓国外相に月内にも10億円を拠出と表明。元慰安婦の生存者に1000万円、遺族に200万円を支出することで合意。
 。
 8月28日、日本政府が10億円の拠出を閣議決定。
 
 8月31日、日本政府が財団に10億円を送金。
 
 あたかも財団設立を待つてゐたかのやうに、日本政府はバタバタと10億円を拠出を決め、さつさと10億円を送金してしまつたのだ。わずか1カ月の間に。
 
 8月15日は韓国の光復節(日本からの独立を祝ふ韓国の祝日)だが、わざわざその直前に大筋合意してしてみせるといふ韓国へのサービスまでやつてのけてゐるのだから驚く。
 
 昨年12月の日韓合意には、「韓国政府は在韓日本大使館前の少女像への日本政府の懸念を認知し、適切な解決に努力する」といふ内容が含まれてゐたはずだが、今回の日韓交渉では、慰安婦像の撤去問題などまつたく議論の対象外。
 
 この間、自民党内からは「慰安婦像の撤去が前提だ」などといふ声も出たが、今の自民党政権でそのやうな正論が通るはづもなく、安倍内閣は党内の異論を完全に無視。ガムシャラに10億円拠出に突つ走つた。
 
 はじめに10億円拠出ありきで、電光石火の如く10億円が韓国側に送られたのだ。「10億円なんて韓国からガタガタいはれる前にさつさと支払つちまえ」といふわけである。

 そして、批判を封じるために安倍内閣が用意したのが、「日本政府はこれで日韓合意の責務を果たした」といふ言ひ草だつた。
 
 (この項続く)







 
 
■「日韓合意」は第二の「河野談話」だ(1)
 「日韓合意」の化けの皮がはがれる前に10億円を駆け込み送金した日本政府


  
 日本政府は「日韓合意による日本の責務」と称して、韓国の財団に10億円を送金した。

 この10億円は一体何に使はれるかといへば、元慰安婦の生存者に1000万円、死亡者の遺族に200万円が現金で支給されるのだ。
 
 生存者は46人だから総額4億6000万円、死亡者は199人だから総額3億9800万円で、計8億5800万円。10億円を生存者と死亡者でそれぞれキリのいい額で山分けしたらかうなりましたといはんばかりの数字ではないか。
 
 自称元慰安婦の女たちが日本に対して初めて訴訟を起こしたのが平成3年。その時の要求は、日本国は原告35人に対して、一人金2000万円を支払へというものだつた。総額7億円。

 所詮勝つ見込みのない訴訟だけれど、いや勝つ見込みのない訴訟だから、吹つ掛けるだけ吹つ掛けておけと要求した金額が2000万円だつた。当然裁判は敗訴、2000万円は夢と消えた。

 コケ脅しみたいに2000万円といふ途轍もない金を吹つ掛けた元慰安婦にとつては、1000万円も夢のやうな金額だらうと思ふ。それを日本政府がくれるといふ。日本政府が裁判で負けたわけでもないのに。

 あの悪名高きアジア女性基金も「償い金」の名目で事実上の賠償金を慰安婦に支給したが、その額も最大で500万円にとどまつた。今回日本政府はアジア女性基金の二倍にものぼる大判振る舞ひをしたことになる。
 
 日本国民の税金から韓国に拠出される10億円は元慰安婦に対する賠償金以外の何物でもない。
 
 日韓両政府とも10億円を元慰安婦への賠償金のつもりでゐながら、「財団の事業に対する拠出金」と口裏を合せてゐる。

その中で、財団の金兌玄理事長のみが「10億円は賠償の性格を持つ。安倍首相が軍の関与を認めて謝罪した。その意味において日本政府の予算から拠出される」と韓国側の本音を広言してゐる。
 
 この朴大統領の腹心でもある女は、いともあつさりと日韓合意の本質をバラしてくれたわけだ。
 
 (この項続く)



 
プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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