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■「美しい国へ」から「移民の国へ」(9)



  ▼消えた外国人受け入れ団体の「許可制」
  ▼ブラック団体・事業者を放任する「改悪」入管法





 「改悪」入管法においては、「特定技能」といふ名の単純労働者を雇ふ企業・事業者を「特定技能所属機関」と呼ぶ。

 「特定技能」労働者を雇ひたい「特定技能所属機関」が、届け出る先は「出入国在留管理庁長官」。

 現在法務省の内局である入国管理局を、法務省の外局に昇格させたのが「出入国在留管理庁」である。

 「特定技能所属機関」は、外国人労働者雇用に関する業務のすべてを「登録支援機関」に委託することができる。

 現行の技能実習制度では、監理団体が受け入れ企業の業務を代行してゐるが、「特定技能」制度で、この監理団体に相当するのが「登録支援機関」といふことになる。

 今の技能実習生受け入れでは、監理団体型が95%を占めてゐるが、「特定技能」ではほぼ100%「登録支援機関」型になるはずである。

 技能実習制度下の監理団体の多くが、外国人労働者を喰ひものにするピンハネ組織に成り下がつてゐることは周知の通りだ。

 監理団体の多くは傘下企業から管理費だとか様々な名目でカネを徴収し、中国やらベトナムやらに人買ひツァーに出かけ、ツァーの費用も企業に負担させる。実習生を連れ帰ると、今度は研修費などの名目でさらに傘下企業から徴収する。

 人身売買ビジネスの温床が監理団体のだ。

 「登録支援機関」も、今の監理団体と同じやうな姿になることは目に見えてゐる。


 おそらく、今の監理団体の多くは、そのまま「特定技能」の「登録支援機関」に移行するはずである。


 「特定技能」制度の「登録支援機関」になるにはどうすればよいか?

  実に簡単なのだ。

 「出入国在留管理庁長官」に申請書類を提出するだけで済む。

 前回の記事で書いたやうに、技能実習制度下では技能実習法の成立により、監理団体は主務大臣の「許可制」となつた(許可業務を代行するのが外国人技能実習機構)。

 ところが、「特定技能」の「登録支援機関」の申請手続きからは、なぜかこの「許可制」が消えてゐる。

 「特定技能」の「登録支援機関」の認定が、単なる届け出制とされのである

 この改変は、「改悪」入管法の性格を如実に示してゐる。

 例へば、「特定技能」労働者を雇ふ企業で奴隷労働が明らかになつた場合、「出入国在留管理庁長官」はどのやうな権限を行使できるのだらうか?

 「指導と助言」しかできないのである。

 出入国在留管理庁は、「特定技能所属機関」に立ち入り検査する権限は持つてゐる。

 しかしその権限には「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」と御丁寧に注釈が付されてゐる。

 「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」といふのは、役人用語で「強制的権限」ではないといふ意味だ。

 従つて、出入国在留管理庁の事業者に対する立ち入り検査は、あくまで任意検査にすぎない。

 「改悪」入管法の最大の特徴は、政府がブラック団体や事業者に対して介入する余地を極限まで狭めたことである。

 「特定技能」労働者を劣悪な条件で働かせるブラック事業者たちも、「改悪」入管法の下では放任されることになるだらう。

 「改悪」入管法はブラック団体やブラック事業者を取り締まるための法律でない。外国人労働者大量呼び込みだけに特化した「改悪」であることは明白だらう。


 (この項続く)


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■「美しい国へ」から「移民の国へ」(8)


 
  ▼官僚たちが考案した「外国人技能実習機構」の利権構造





 「外国人技能実習機構」といふ組織がある

 例の天下り団体、公益財団法人「国際研修協力機構」(JITCO)とまぎらわしい名称を持つが、「国際研修協力機構」が純然たる民間団体なのに対し、「外国人技能実習機構」は「技能実習法」に基づく認可法人で、国費によつて運営されてゐる。

 そのやうな違ひはあるものの、「国際研修協力機構」が官僚の天下り組織であることに変はりはない。

常勤役員の月額報酬は89―90万円。

 常勤役員5人のうち、2人が法務省出身、2人が厚生労働省出身で、1人が経団連の元国際本部長といふ顔ぶれだ。経団連出身者を一人入れたのは、天下り色を薄めるための人選であると同時に、経団連とともに外国人労働者開放の旗を振つてきた経産省の代理ともみることができる。

 外国人労働者流入をメシのタネにする「国際研修協力機構」に加へて、「国際研修協力機構」のやうな天下り組織がなぜ生まれたのか?
 
 「国際研修協力機構」の設立を盛り込んだ「技能実習法」は平成28年秋の臨時国会で成立した。

 「外国人技能実習機構」は、翌平成29年1月に資本金1億9300万円で設立され、同年11月に技能実習法が施行された。


 技能実習法は、外国人労働者開放に突つ走る安倍内閣の肝いりの法律で、技能実習1号・2号のほかに新たに期間2年の3号を設け、技能実習生の就労期間はそれまでの3年から5年に一挙に延長された。

 技能実習生の就労期間を延ばすばかりでは移民批判が高まりかねないので、政府は問題のある監理団体の監督・指導を厳重にやります、と持ち出したのが監理団体の「許可制」といふ代物。

 従来は監理団体の設立は入国管理局への届け出制だつたが、技能実習法ではこれが「主務大臣の許可制」になつた。

 ここで官僚たちは実にうまいことを考へた。監理団体の許可業務などを丸投げする新たな団体をつくることを画策したのである。

 それが、「国際研修協力機構」である。

 実際には、監理団体が提出する申請書類など要件が整つてゐれば、ハンコを押してパスさせるだけ。それは以前となんら変はらない。

 「国際研修協力機構」は全国に13か所の支所があるが、それぞれわづかばかりの職員しかをらず、しかも役所の寄せ集めにすぎないので、ブラック監理団体と渡りあへるやうな知識も経験もない。

 監理団体や受け入れ事業者にとつては、入管に提出する前にもう書類を提出する先が増へたのみならず、「国際研修協力機構」に書類を提出する際には手数料をとられる。

 監理団体や受け入れ事業者から徴収した手数料は、どこに入るか?

 「国際研修協力機構」に入るのである。国にではない。

 要するに、法務省や厚生労働省の役人たちは、監理団体の指導強化に名を借りて、自分たちの新たな利権団体をつくることに成功したわけである。

 それが「監理団体許可制」の正体である。

 官僚たちは外国人労働者増大を自分たちの利権拡大のチャンスとしか考へてゐない。


 「改悪」入管法には、官僚たちがさらなる利権団体を設立できる仕掛けが周到に施されてゐる。

「改悪」入管法成立と同時に、官僚と政治家を巻き込んだ「移民利権」争奪戦が始まると思はれる。


  (この項続く)
■「美しい国へ」から「移民の国へ」(7)



 ▼申請書類の手数料までせしめる「JITCO」商法
 ▼「政府機関」として中国暗黒組織と折衝する「JITCO」




 天下り組織、JITCO(公益財団法人「国際研修協力機構」)による「技能実習生喰ひ物システム」をもう少し紹介したい。

 JITCOの年間収益は約22億円。

 このうち約8割を占めるのが、監理団体・企業から集める賛助会員会費。

 残る2割が事業収益だが、事業収益の3分の1を占めるのが、監理団体・企業が申請する書類の手数料である。

 技能実習生を受け入れる監理団体や企業は、技能実習計画書や入国・在留関係の申請書類を入管局に提出しなければならない。それらの書類の「点検」「取次ぎ」「提出」業務を行つてゐるのがJITCOなのである。

 監理団体や企業がJITCOに支払ふ手数料は「点検」「取次ぎ」「提出」といふ項目ごとに細かく定められ、1件の書類の手数料は記載される技能実習生の数が増へるほど高くなる。

 JITCOがやつてゐるのは簡単にいへば、入管への申請書類の提出代行である。

 監理団体などが自らやればタダで済むものを、大半の監理団体や企業は各種申請をJITCOに任せて手数料を払つてゐるのが現実だ。

 法的には一民間団体にすぎないJITCOが、なぜ役所への申請書類の提出代行などができるのか?

 これにはカラクリがあつて、技能実習生・研修生に関する申請書類の「点検」「取次ぎ」「提出」などの業務をJITCOが代行できるといふ法務省省令がひそかに作られてゐたのである。

 これによつて、JITCOは、申請書類の手数料業務を独占することが可能になつた。技能実習生が増へれば増へるほどJITCOが儲かる仕組みがつくられたわけだ。

 このほかJITCOの収益事業には、「講習支援」「日本語指導セミナー」「技能実習習得支援」「教材販売」だとか色々あつて、監理団体や企業にカネを出させるシステムが巧妙に構築されてゐる。

 監理団体や企業を喰ひ物にする一方で、JITCOは日本の政府機関みたいな顔をして外国政府との間で、技能実習生の送り出し・受け入れ交渉まで行つてゐるのだから驚く。

 例へば平成29年には、送り出し国である中国、ベトナム、タイ、カンボジア、インド、ミャンマー、スリランカ、バンギグラディシュの8カ国の政府機関との間で「定期協議」を行つてゐる。

 中国との定期協議では、先方のメンバーは商務省と「中日研修生協力機構」の幹部である。

 中国各地にある送り出し機関を統括してゐる「中日研修生協力機構」は、送り出す研修生からピンハネするシステムの元締め的存在として悪名高い。

 中日研修生協力機構は、中国人実習生が「日本で奴隷のやうな扱ひを受けた」などと訴へても相手にしない。中日研修生協力機構には送り出し機関から賄賂が入る。技能実習生の人身売買がかれらのビジネスなのである。技能実習生は人身売買ビジネスの収奪源にすぎない

 中日研修生協力機構とJITCOは、「日本に奴隷労働は存在しない」といふフィクションを維持することで、利害関係が一致してゐる。

 天下り組織JITCOが、中国暗黒組織の日本側カウンターパートとなつて、中国側に「もつと中国人の技能実習生を」と呼び掛ける。これ以上ブラックな世界は考へられない。


 (この項続く)



■「美しい国へ」から「移民の国へ」(6)



 ▼外国人労働者流入で利権むさぼる天下り団体「JITCO」
 ▼監理団体・受入れ企業から徴収する巨額賛助会費





 今の国会で、「改悪」入管法案が審議されてゐるのは衆院法務委員会だ。入管法を所管する役所が法務省だからである。

 入管法(出入国管理及び難民認定法)は、日本への出入国の管理を図り、難民の認定手続を整備し、外国人の在留資格・在留期間を定める法律で、それらの行政事務を管轄するのが法務省の入国管理局である。

 法務省内局の入国管理局とは基本的に、在留資格を有する外国人の出入国を管理する部門にすぎない。法務省は、日本が移民や外国人労働者を受け入れるかどうかといつた外国人労働者問題全体を統括する役所ではないのだ。

 日本で働く外国人は126万人と拡大の一途をたどるといふのに、外国人労働者問題全体を統括する役所は日本に存在しない。

 日本で外国人技能実習生受け入れ拡大を推進してきた団体に、公益財団法人「国際研修協力機構」(略称:JITCOジツコ)といふのがある。

 平成3年(1991年)に法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の五省の共管で設立された財団法人で、平成24年(2012年)に内閣府所管の公益財団法人に移行した。

 「国際研修協力機構」といふ大層な名称をもつてゐるが、政府の公的機関ではない。純然たる民間団体である。

 平成26年にJITCOは自ら、「国と密接な関係がある」公益法人には該当しませんといふ告知を出してゐる。

 JITCOを公的機関ではなく民間組織にしたのは官僚たちの知恵である。

 外国人研修生・実習生といふ名の外国人労働者受け入れに関する様々な業務を政府がJITCOに丸投げする形をとるのである。JITCOは政府機関ではないから法律の規制を受けないから、やりたいやうにやれる。

 その結果、JITCOは、外国人労働者受け入れの蜜を吸ふ、官僚の天下り組織と化した。

 役員には厚生労働省や法務省の官僚たちが天下り、役員報酬はひとり月額95万―80万円。このほか賞与が月額報酬の3か月分。年間の役員報酬総額は5800万円に達する。

 JITCOの経常収益の半分以上を占めるのが「賛助会員会費」で、これが平成29年度で14億円。

 JITCOの賛助会員数は平成29年度末で、2272。うち、団体会員が1851、企業会員が421となってゐる。

 単純計算で、監理団体・企業から一件あたり年間74万円の会費を受け取つてゐる計算になる。

 JITCOの賛助会員制度とは、一口にいふと、技能実習生を受け入れる監理団体や企業などから「会費」と称してカネを吸ひ上げるシステムである。

 賛助会費は義務ではなく、一応任意といふことになつてゐる。しかし、JITCO側は「賛助会員になれば技能実習生などの受け入れがスムースにいきますよ」と監理団体にささやきかけるから、監理団体は事実上会員にならざるをえない仕組みになつてゐる。

 賛助会員の年会費は、企業会員が資本金に応じて30―10万円。

 監理団体を対象にした団体会費には、基礎会費と比例会費といふのがあつて、基礎会費は一口10万円。比例会費は、15万―5万円に傘下の企業数を乗じた金額となつてゐる。基準額10万円の監理団体が傘下に10社あるとすると、この監理団体の比例会費総額は年100万円。実にボロい会費システムだ。

 監理団体はJITCOへ支払つた会費分を傘下企業から様々な名目で回収する。企業はその負担分を当然技能実習生に回すから、その分実習生の給料は下がる。

 つまり、天下りを養ふためのJITCO賛助会員会費は、回り回つて実習生たちが負担させれてゐるのだ。

 JITCOは厚生労働省などから「委託」といふ名目で、労働条件が劣悪な企業などに「指導」を行ふことになつてゐるが、ほとんど形骸化してゐるのがこの「指導」だ。
 
 立ち入りに入る前に、監理団体や企業などへ事前に通告し、事業所に来ても形だけパラパラと書類をめくつて終はり。

 JITCOにとつて監理団体や企業は会費を払つてくれる有難い「会員様」なので、「会員様」を失ふやうな「指導」がなされないのは当然の成り行きといへよう。

  「技能実習」といふ名の「奴隷労働」が日本中に増殖したのは、外国人労働者を喰ひものにする天下り組織の存在を抜きにしては語れない。




 (この項続く)


 
■「美しい国へ」から「移民の国へ」(5)



 失踪技能実習生のデータ捏造を指示したのは誰か?
 官民あげて外国人奴隷労働を隠蔽する日本




 

 外国人技能実習生の失踪データをめぐり、法務省が児戯に等しいドタバタぶりを演じてゐる。

 我が国の外国人労働者行政の本質を知る上で、これほど恰好の材料はない。

 今回問題となつたデータは、受入れ先企業や農家から失踪し、不法滞在で強制送還された外国人技能実習生2870人に対して法務省が昨年行つた聞き取り調査結果である。

 山下法相は7日の予算委員会で、失踪理由について、「より高い賃金を求めた失踪が87%」と答弁してゐた。法務省の役人たちも野党のヒアリングに対して同じ説明をしてゐた。

ところが16日の衆院法務委員会理事懇談会で一転、「聞き取り調査結果に誤りがありました」と法務省側が「正しいデータ」を持ちだしてきた。

「より高い賃金を求めて」が「86.9」%といふのは誤りで、正しくは、「低賃金」が「67.2%」でした。 このほか「指導が厳しい」は当初の「5.4%」が誤りで、正しいのは「12.6%」でした、などと、当初の説明の「誤り」がぞろぞろ「訂正」された。

 「誤り」の理由はといへば、
  「集計ミス」
  「人為的ミス」
  「データの切り貼り作業中に必要な作業を忘れました」
 などと、子供だましのやうな説明がなされた。

 聞き取り調査票の原本も同時に提出されたが、そもそも聞き取り項目の中に、「より高い賃金を求めて」といふ項目がないのだから、「より高い賃金を求めて 87%」といふデータは、調査票原本を公開しないといふ前提で案出された捏造だつた。

 法務省の役人たちが、国会に提出するデータを勝手に捏造するわけもない。捏造の指示はもつと上の方からきてゐる。

 おそらく安倍官邸が、法務省が持つてきた技能実習生失踪のデータを見て、「こんなもの、そのまま国会に出せるか!」と猛り狂つたものと思はれる。

 日本で働く外国人技能実習生は約27万人。

 受け入れ先企業や農家などから失踪した技能実習生は、平成29年の一年間で7000人。


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 技能実習生の失踪は増大を続けてゐる。

 日本における外国人の不法残留者は6万人だが、その主たる供給源は今では失踪技能実習生といふのが現実だ。

 外国人技能実習生失踪が増へると当然、我が国の治安に甚大な影響をもたらす。

 失踪した外国人実習生たちには、例へばベトナム人ならベトナム人ごとの「国別受け入れネットワーク」が形成されてゐる。

 そのネットワークには、かれらが「より高い賃金」で働ける職場が用意されてゐるわけではない。そこには、かれらが手つ取り早く稼げる手段―すなわち犯罪が用意されてゐる。

 日本国内には外国人の不法残留者を専門にしたブローカや「派遣業者」が無数に存在する。

 かうしたブラック業者から外国人を受け入れる中小企業や農家は、かれらが「不法残留者」であることを承知の上で雇ふ。後ろめたい「不法残留者」なら、安くコキ使へるといふメリットがあるからである。

 こんな雇ひ主がたへないから、国内の「不法残留者」は一向に減らない。

 外国人失踪の増大は、必然的に外国人犯罪の増大に帰結する。のみならず、「不法残留者」だらうがなんだらうが「安くコキ使へればいい」といふ卑しい日本人を増大させる。

 技能実習生の失踪に日本政府はどのやうに取り組んできたか。

 日本政府部内で、外国人技能実習生の失踪問題に責任を有する官庁はどこか御存じか?

 法務省?

 違ふ。

 法務省はつい先年まで、外国人技能実習生の失踪問題について聞かれると平然とかう答へてゐた。

 「外国人技能実習生の失踪がなぜ増へてゐるか、政府として分析してをりません」


 (この項続く)



■「美しい国へ」から「移民の国へ」(4)



 ▼外国人労働者「上限34万人」に騙されるなかれ
   歯止めなき移民流入に道を拓く「改悪」入管法





 安倍内閣が、外国人労働者の受け入れ見込み人数の数字を出してきた。

 5年間で26万人~34万人といふものだ。

 安倍首相は「見込み人数を超えた受け入れはしない。その人数を上限として運用する」と11月14日の衆院本会議で答弁してゐる。

 「上限として運用する」といふ安倍首相の言葉に何の根拠もないことは、わづか2週間前の衆院予算委員会で山下法相が次のやうに答弁してゐることからも明らかである。

 「数値として上限を設けることは考へていません」

 山下法相がこのやうに言明した衆院予算委員会には、安倍首相も出席してゐた。

 政府部内には、外国人労働者の枠だとか上限を設けるといつた考へははじめから存在しない。

 だから、首相と法相でさへ言つてゐることがコロコロ変はる。

 「上限として運用する」といふ安倍首相の言葉が口から出まかせである如く、「5年間で26万人~34万人」といふ数字も適当にデッチ上げられたガセ数字にすぎない。

 ことし6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の針)で、単純労働者の受け入れを打ち出した際には、2025年に必要な外国人労働者は「50万人」といふ数字を掲げてゐた。

 2025年に50万人だから、5年後(2023年)にはまあこのぐらいにしよう、とひねり出されたのが、「26万人~34万人」といふわけだ。

 もともと、「2025年に50万人」といふ数字に何の根拠もないのだから、「5年後に26万人~34万人」といふ数字に根拠があるわけもない。

 「改悪」入管法には、新たな在留資格者(「特定技能」)の規模や対象業種はもとより、それらを決める機関や手続きなどもまつたく書かれてゐない。

 それらはすべて政府部内で随意に処理できる。

 政府が「特定技能」の対象者=移民を、歯止めなく拡大できる仕組みがなつてゐるのだ。

 今回、安倍内閣は「特定技能」の対象14業種なるものを示してきたが、こんなもの、何の意味もない。

 「改悪」入管法が成立すれば、14業種は100業種にも全業種にも拡大することがいつでも可能になるのだ。

 国民の目を晦ますべく周到に作成された「改悪」入管法案とはいかなるものか。

 参考までに「改悪」入管法案の一部を掲げてみようか。


 *************

《第一章中第二条の二の次に次の三条を加える。
(特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針)
 第二条の三 政府は、特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
 2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
  一 特定技能の在留資格に係る制度の意義に関する事項
  二 人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に関する基本的な事項
  三 前号の産業上の分野において求められる人材に関する基本的な事項
  四 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する関係行政機関の事務の調整に関する基本的な事項
  五 前各号に掲げるもののほか、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項
 3 法務大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
 4 法務大臣は、前項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
 5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
  (特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する分野別の方針)
 第二条の四 法務大臣は、基本方針にのつとり、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野を所管する関係行政機関の長並びに国家公安委員会、外務大臣及び厚生労働大臣(以下この条において「分野所管行政機関の長等」という。)と共同して、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(以下「分野別運用方針」という。)を定めなければならない。
 2 分野別運用方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
  一 当該分野別運用方針において定める人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野
  二 前号の産業上の分野における人材の不足の状況に関する事項
  三 第一号の産業上の分野において求められる人材の基準に関する事項
  四 第一号の産業上の分野における第七条の二第三項及び第四項(これらの規定を同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による同条第一項に規定する在留資格認定証明書の交付の停止の措置又は交付の再開の措置に関する事項
  五 前各号に掲げるもののほか、第一号の産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項
 3 法務大臣及び分野所管行政機関の長等は、分野別運用方針を定めようとするときは、あらかじめ、分野所管行政機関の長等以外の関係行政機関の長に協議しなければならない。
 4 法務大臣及び分野所管行政機関の長等は、分野別運用方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 5 前二項の規定は、分野別運用方針の変更について準用する。
  (特定技能雇用契約等)
 第二条の五 別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号又は第二号に掲げる活動を行おうとする外国人が本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約(以下この条及び第四章第一節第二款において「特定技能雇用契約」という。)は、次に掲げる事項が適切に定められているものとして法務省令で定める基準に適合するものでなければならない。
  一 特定技能雇用契約に基づいて当該外国人が行う当該活動の内容及びこれに対する報酬その他の雇用関係に関する事項
  二 前号に掲げるもののほか、特定技能雇用契約の期間が満了した外国人の出国を確保するための措置その他当該外国人の適正な在留に資するために必要な事項
 2 前項の法務省令で定める基準には、外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならないことを含むものとする。
 3 特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関は、次に掲げる事項が確保されるものとして法務省令で定める基準に適合するものでなければならない。
  一 前二項の規定に適合する特定技能雇用契約(第十九条の十九第二号において「適合特定技能雇用契約」という。)の適正な履行
  二 第六項及び第七項の規定に適合する第六項に規定する一号特定技能外国人支援計画(第五項及び第四章第一節第二款において「適合一号特定技能外国人支援計画」という。)の適正な実施
 4 前項の法務省令で定める基準には、同項の本邦の公私の機関(当該機関が法人である場合においては、その役員を含む。)が、特定技能雇用契約の締結の日前五年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしていないことを含むものとする。
 5 特定技能所属機関(第十九条の十八第一項に規定する特定技能所属機関をいう。以下この項において同じ。)が契約により第十九条の二十七第一項に規定する登録支援機関に適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合には、当該特定技能所属機関は、第三項(第二号に係る部分に限る。)の規定に適合するものとみなす。

 6 別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に掲げる活動を行おうとする外国人と特定技能雇用契約を締結しようとする本邦の公私の機関は、法務省令で定めるところにより、当該機関が当該外国人に対して行う、同号に掲げる活動を行おうとする外国人が当該活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援(次項及び第四章第一節第二款において「一号特定技能外国人支援」という。)の実施に関する計画(第八項、第七条第一項第二号及び同款において「一号特定技能外国人支援計画」という。)を作成しなければならない。
 7 一号特定技能外国人支援には、別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に掲げる活動を行おうとする外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合において、他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて同号に掲げる活動を行うことができるようにするための支援を含むものとする。
 8 一号特定技能外国人支援計画は、法務省令で定める基準に適合するものでなければならない。
 9 法務大臣は、第一項、第三項、第六項及び前項の法務省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとする。
  第七条第一項第二号中「地位については」を「地位については、」に改め、「こと」の下に「(別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に掲げる活動を行おうとする外国人については、一号特定技能外国人支援計画が第二条の五第六項及び第七項の規定に適合するものであることを含む。)」を加え、同項第四号中「第五条第一項第四号」を「同項第四号」に改め、同条第二項中「まで」の下に「又は同表の特定技能の項の下欄第一号若しくは第二号」を加え、「次条」を「次条第一項」に、「証明書」を「在留資格認定証明書」に改める。
  第七条の二第一項中「証明書」の下に「(以下「在留資格認定証明書」という。)」を加え、同条に次の三項を加える。
 3 特定産業分野(別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に規定する特定産業分野をいう。以下この項及び第二十条第一項において同じ。)を所管する関係行政機関の長は、当該特定産業分野に係る分野別運用方針に基づき、当該特定産業分野において必要とされる人材が確保されたと認めるときは、法務大臣に対し、一時的に在留資格認定証明書の交付の停止の措置をとることを求めるものとする。
 4 法務大臣は、前項の規定による求めがあつたときは、分野別運用方針に基づき、一時的に在留資格認定証明書の交付の停止の措置をとるものとする。
 5 前二項の規定は、一時的に在留資格認定証明書の交付の停止の措置がとられた場合において、在留資格認定証明書の交付の再開の措置をとるときについて準用する。この場合において、第三項中「確保された」とあるのは「不足する」と、前二項中「ものとする」とあるのは「ことができる」と読み替えるものとする。
  第九条第二項及び第八項、第九条の二第一項、第三項、第五項、第七項及び第八項、第十四条の二第一項、第十七条第一項、第十九条第二項及び第三項、第十九条の二第一項、第十九条の三並びに第十九条の四第三項及び第五項中「法務大臣」を「出入国在留管理庁長官」に改める。
  第十九条の五第二項中「第二十条第五項」を「第二十条第六項」に、「末日が経過する」を「終了の時」に改める。
  第十九条の六、第十九条の七第一項、第十九条の八第一項、第十九条の九第一項、第十九条の十、第十九条の十一第一項及び第二項並びに第十九条の十二第一項中「法務大臣」を「出入国在留管理庁長官」に改める。
  第十九条の十三第一項中「毀損し、」を「毀損し、」に、「毀損した」を「毀損した」に、「毀損等の場合」を「毀損等の場合」に、「法務大臣」を「出入国在留管理庁長官」に改め、同条第二項中「法務大臣」を「出入国在留管理庁長官」に、「毀損し、」を「毀損し、」に、「毀損した」を「毀損した」に改め、同条第三項中「法務大臣」を「出入国在留管理庁長官」に改める。
  第十九条の十五中「法務大臣」を「出入国在留管理庁長官」に改める。
  第十九条の十六中「法務大臣に」を「出入国在留管理庁長官に」に改め、同条第二号中「又は技能」を「、技能又は特定技能」に改める。
  第十九条の十七中「機関(」の下に「次条第一項に規定する特定技能所属機関及び」を加え、「法務大臣」を「出入国在留管理庁長官」に改める。
  第十九条の十九第一項及び第三項中「法務大臣」を「出入国在留管理庁長官」に改め、第四章第一節第二款中同条を第十九条の三十七とする。
  第十九条の十八第一項中「法務大臣」を「出入国在留管理庁長官」に、「及び活動状況」を「、活動状況及び所属機関の状況(特定技能外国人(別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に掲げる活動を行う者に限る。以下この項において同じ。)については、一号特定技能外国人支援の状況(登録支援機関への委託の状況を含む。以下この項において同じ。)を含む。)」に改め、「情報」の下に「(特定技能外国人については、一号特定技能外国人支援の状況に関する情報を含む。以下この条及び次条第一項において「中長期在留者に関する情報」という。)」を加え、同条第二項中「法務大臣は、前項に規定する情報」を「出入国在留管理庁長官は、中長期在留者に関する情報」に改め、同条第三項中「法務大臣」の下に「及び出入国在留管理庁長官」を加え、「第一項に規定する情報」を「中長期在留者に関する情報」に改め、同条を第十九条の三十六とする。
  第十九条の十七の次に次の十八条を加える。
  (特定技能所属機関による届出)
 第十九条の十八 特定技能雇用契約の相手方である本邦の公私の機関(以下この款及び第八章において「特定技能所属機関」という。)は、次の各号のいずれかに該当するときは、法務省令で定めるところにより、出入国在留管理庁長官に対し、その旨及び法務省令で定める事項を届け出なければならない。
  一 特定技能雇用契約の変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、若しくは特定技能雇用契約が終了したとき、又は新たな特定技能雇用契約の締結をしたとき。
  二 一号特定技能外国人支援計画の変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき。
  三 第二条の五第五項の契約の締結若しくは変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、又は当該契約が終了したとき。
  四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める場合に該当するとき。
 2 特定技能所属機関は、前項の規定により届出をする場合を除くほか、法務省令で定めるところにより、出入国在留管理庁長官に対し、次に掲げる事項を届け出なければならない。
  一 受け入れている特定技能外国人(特定技能の在留資格をもつて本邦に在留する外国人をいう。以下この款及び第八章において同じ。)の氏名及びその活動の内容その他の法務省令で定める事項
  二 第二条の五第六項の規定により適合一号特定技能外国人支援計画を作成した場合には、その実施の状況(契約により第十九条の二十七第一項に規定する登録支援機関に適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託したときを除く。)
  三 前二号に掲げるもののほか、特定技能外国人の在留管理に必要なものとして法務省令で定める事項》

 ***********

 以上は「改悪」入管法案のほんの一部にすぎない。

 肝心の「特定技能」についてはここまでなんの説明もない。

 「特定技能」の内容は、法案の最後の方に、「別表追加」としてチラッと出してくるのみだ。



 ***********
  別表第一中「第二条の二」の下に「、第二条の五」を、「第十九条の十七」の下に「、第十九条の三十六」を加え、同表の二の表の高度専門職の項第二号ニ中「技能の項の下欄」の下に「若しくは特定技能の項の下欄第二号」を加え、同表の技能の項の次に次のように加える。
「特定技能」
一 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約(第二条の五第一項から第四項までの規定に適合するものに限る。次号において同じ。)に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいう。同号において同じ。)であつて法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動
二 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であつて法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動

 ***********

 「改悪」入管法の「別表」に追加されるたつた数行のこの項目に、安倍内閣による犯罪的移民政策のすべてが凝縮されてゐる。

 グロテスクなまでに膨大な入管法「改悪法案」。

 この法案を国民が読んでも、現行法とは何がどのやうに変はるのかさつぱり理解できないと思ふ。

 当然である。官僚たちが知恵を絞つて、現行法との違ひを理解できないやうに書いたのだから。

 安倍内閣はなんの目的でこんな膨大な入管法「改悪案」を用意したのか?

 外国人労働者に関する新たな法律をつくつたりすれば、「移民」法案であることが国民にバレてしまふからである。

 今回の「改正」は現行法の「微修正」にすぎないのですよ、といふ安倍内閣の奸計にくれぐれもひつかからないやうに。

 この悪法が国会を通つたら、日本国内は間違ひなく外国人底辺労働者たちであふれ返る。


 (この項続く)
 
■「美しい国へ」から「移民の国へ」(3)
 「外国人労働者VS日本人」戦争を勃発させる安倍亡国政権


  ▼「台湾版奴隷労働」のすさまじさ
  ▼外国人「介護」労働者が年間9000人失踪する台湾





 「日本も外国人に選ばれる国になりませう」と唱へる人々が、「外国人獲得競争」の相手として持ち出したがるのが台湾や韓国である。

 台湾や韓国の禍禍しい外国人労働者の実態など日本人はまつたく知らないから、日本の移民推進派は、台湾や韓国を「移民先進国」としてひたすら持ち上げる。

かれらが絶対に触れようとしない台湾・韓国の「闇」に目を向けてみたいと思ふ。

 まづ台湾。外国人労働者問題における台湾の「闇」とは何か?

 台湾における外国人労働者の数は、67万人。

 台湾の人口は2300万人だから、外国人労働者が人口の3%近くを占めることになる。(日本は約1%)

 外国人労働者の国別内訳は、

 1、インドネシア 25万人
 2、ベトナム   20万人
 3、フィリピン  15万人
 4、タイ      6万人

 トップのインドネシア人25万人のうち、介護労働者が実に18万人。

 台湾では、「介護」「製造」「建設」「遠洋漁業」「屠殺業」の5つの分野で外国人労働者を受け入れてゐるが、政府がもつとも力を入れてきたのが介護労働者の呼び込みだ。

 外国人労働者の就労期限は12年、介護職は14年だから、外国人の出稼ぎ労働者、といふより移民とよぶにふさはしい。

 他国の例にもれず台湾でも、外国人労働者が従事してゐるのは、台湾人がやりたがらない3K仕事ばかりで、3K仕事の代表的なものが「老人介護」である。

 「看護工」と呼ばれる介護労働者は、施設で働く看護工と家庭看護工に分かれるが、圧倒的に多いのが後者で、家庭看護工は家庭に住み込んで老人介護に従事する。「介護」といつても専門の介護職がやるやうなものではなく、もつぱら食事と下の世話。

 台湾現地で、「奴隷労働」と呼ばれ、大きな社会問題になつてゐるのが、この外国人家庭看護工なのだ。

 在宅の看護工には、労働関連法規の適用を除外する―雇ひ主にとつてこんな有難い法規が台湾には存在する。

 だから、雇ひ主は外国人の「看護工」を勝手放題に使役する。その酷使ぶりは驚くばかりである。

 老人の排泄・食事の世話だけではなく、掃除洗濯などあらゆる家事を外国人看護工に押し付け、文句をいつたりすれば殴る蹴るの虐待を繰り返す。朝昼晩に関係なく使ひ回し、勤務時間などはじめからないから、残業代などもちろん支払はない。

インドネシア人やフィリピン人の看護工たちは台湾語も客家語もほとんど話せない。それが看護工の奴隷扱ひに拍車をかける。

 それでは施設に雇はれる外国人看護工は恵まれてゐるかといふと、家庭看護工と大して変はらない。一日の平均労働時間は12時間から16時間。一年にまつたく休暇がない施設が全体の3分の1といふ奴隷職場。

 台湾版「看護工」残酷物語のレポートを読んでゐると、昔の奴隷の方がもつとまともに扱われてゐたんじやないかと思へてくる。 

 インドネシア人の看護工は、給与の半分以上を斡旋ブローカーにピンハネされる。ブローカーに身分証をとりあげられ、家庭をたらひ回しにされる看護工も少なくない。

 こんな状況だから、台湾では「奴隷労働」に耐へかねて失踪する看護工が跡をたたない。

 施設や住み込み家庭から逃げ出す外国人看護工は、年間9000人。

 看護工による殺傷事件も珍しくない。日夜酷使されて精神に変調をきたしたフィリピン人の女性看護工が、雇ひ主の家族4人にナイフで切り付けるといふ事件は現地で大きく報じられた。

 介護分野以外でも外国人労働者は悲惨な境遇に置かれてゐる。

暴動が起きたこともある。

 高雄の地下鉄建設工事現場で、タイ人の労働者約300人による暴動が発生。トイレも満足にない飯場の狭い部屋に押し込まれ、現場監督からは日常的に虐待を受けるなど、劣悪な労働環境への不満が原因だつた。

  外国人労働者受け入れ業種の中に「漁業」が含まれてゐるのが台湾の特徴だが、台湾の漁業は現在では外国人労働者によつて成り立つてゐる。

 「海の奴隷労働」として世界に喧伝されてゐるのが、この台湾漁業だ。

 昨年(2017年)、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タンザニアなどの遠洋漁船の乗組員に連続48時間労働を強制してゐたとして水産会社のオーナーらが起訴された。船内は虐待が恒常化し、船員たちは船が寄港地に停泊中も逃亡防止のために船内の暗い船室に監禁されてゐた。かれらの賃金はわづか300―500米ドル。

 この事件など氷山の一角にすぎず、台湾の遠洋漁船は20時間労働が当たり前の世界。

 地獄の虐待を受けたインドネシア人の乗組員6人が、船長を殺害するといふ事件も起きた。

 近隣諸国から労働者をかき集めて台湾に送り込んでゐるのがカンボジアの人身売買犯罪組織だから、台湾漁業は文字通り暗黒組織の支配下にある。

 台湾の馬英九政権は2014年に中国との間で、サービス分野で双方の市場を開放する「サービス貿易協定」を締結した。

 台湾側は64の分野で市場開放する予定だが、これが実施されれば、中国の企業が台湾になだれこみ、中国企業が中国の労働者を引き連れてくるのは目にみえてゐる。

 台湾の若者たちが、中国人に職場が奪はれる、と危機感を抱くのも無理はない。

 東南アジアから呼び込んだ「最下層」労働者の問題。これに加へ、中国人労働者大量流入といふ事態が迫り、台湾は今、大きく揺らいでゐる。

 これが「新興移民国」台湾の現実なのだ。

 日本は既に、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどから介護・看護師などを受け入れ始めてゐる。
 
 日本も、このままま外国人の介護労働者などを増やし続けると、台湾のやうな、「外国人労働者失踪大国」に堕するのがオチであらう。






■「美しい国へ」から「移民の国へ」(2)
 「外国人労働者VS日本人」戦争を勃発させる安倍亡国政権

●「外国人に選ばれる国になりませう」といふ痴(し)れ事
 ●外国人労働者争奪戦が起きてゐるといふ大嘘





 安倍官邸が、移民法案強行突破に向けて考案した国民向けスローガン。それは、「外国人に選ばれる国になる」といふものだ。

《世界ではもう人材の確保競争が進んでいて、日本も「外国人に選ばれる国」になる必要がある。》

 これは、安倍官邸における移民問題の宣伝担当、菅官房長官の言である。

 マスコミも安倍官邸と一緒になつて、例へば日経や朝日などは、「日本も外国人に選ばれる国にならなければ世界の孤児にななどと、事あるごとに紙面で御託を並べてゐる。

 外国人に選ばれる国にならなければ、世界の人材確保競争に乗り遅れてしまふ! と、移民推進勢力は一生懸命危機感を煽りたてる。

 「日本も外国人に選ばれる国になりませう」といふスローガンは、ほとんど痴れ事に近い。

 安倍政権が今日本に入れたがつてゐるのは、単純労働に従事する移民である。

 ところが、単純労働に従事する移民の争奪戦など世界のどこにも起きてゐないのだ。

 日本が別に「外国人に選ばれる国」になる努力をしなくても、日本が単純労働者の移民を認めた瞬間に、世界中から移民志願者の群れが押し寄せるだらう。今、南米から米国を目指して北上してゐる移民の群れを持ちだすまでもない。世界は今、移民の爆発的発生の危機に満ちてゐる。

 「世界で人材確保競争が起きてゐる」といふデマを流す輩がよく持ち出すのは、韓国と台湾の例である。

 韓国も台湾も今日では、単純労働者を外国から調達してゐる移民受け入れ国だ。

 移民の歴史からみると、アジアは移民を一方的に送り出す側だつた。
 
 中国、インド、インドネシア、韓国、フィリピン、タイなどから世界中に大量の移民が送り出された。

 しかしアジアからの移民の流れも、前世紀の後半あたりから変化が生じ始めた。アジアにも移民の受け入れ国が出現するやうになつたのである。

 移民受入国の筆頭はシンガポールで、韓国、台湾がこれに次ぐ。タイも移民を送り出す一方で、周辺国から移民を受け入れる国に変貌しつつある。

 それでは、シンガポール、韓国、台湾、タイなど移民の受け入れ国の間で、はたして外国人労働者の争奪戦が起きてゐるのか?

 起きるわけもない。

 なぜなら、東アジアには、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアと、単純労働者を供給する国にはこと欠かないからである。

 フィリピンのやうに移民が国策に組み込まれ、移民による本国への送金がGDPの10%を占める国もある。

 これらの国から、シンガポール、韓国、台湾などの新興移民受入に渡る外国人労働者は一体どのやうな扱ひを受けてゐるのだらうか?

 かれらを待ち受けてゐるもの、それは「現代版奴隷」と呼ばれる悲惨な境遇にほかならない。


  (この項続く)

■「美しい国へ」から「移民の国へ」(1)
 「外国人労働者VS日本人」戦争を勃発させる安倍亡国政権


  正体を露はした偽装的「移民法」
 「安倍隠し」で強行突破図る自民党政府





 「改悪」入管法は偽装的「移民法」にほかならないことが露見しつつある。

 「改悪」入管法の要点は次の三点に集約される。

 1、日本で単純労働に従事する外国人に正規の在留資格を与へる。

 2、単純労働に従事する外国人に永住資格を与へる。

 3、制度運用の細目は、すべて政令・省令などで定める。


 従つて、1、2の対象となる外国人単純労働者の範囲や規模は、政府が自在に決めることができるといふカラクリになつてゐる。

  「改悪」入管法の本質をもつと簡単にいふと、

 ●日本に「移民」制度を導入する。

 ●「移民」の規模は政府が決める。

 政府に全権が委任される偽装的「移民法」である。 

 野党から「内容不明、見通し不明のガランドウの法律だ」と追及されて、安倍官邸は、渋々といつた体を装つて、実は予定通り、「初年度の対象者は4万人」といふ数字を出してきた。

 「わづか4万人です。安心して下さい」と無知な国民の頭に4万人といふ数字をまづ印象づけておく。国会審議が進むにつれて、怪しげな数字がたくさん出てくることだらう。

 偽装的「移民法」が成立すれば、政府の裁量次第で、この4万人を100万人にも1000万人にも膨張させることができる。そのカラクリを極力国民に気付かせないやうにしたい。そのために、安倍官邸はさまざまな小細工を弄する。

 その最たるものが「安倍隠し」だ

 安倍首相はこれまで「我が国が移民といふ制度を採用することは考へてをりません」とたびたび表明してきた。

 自民党政府がなにより恐れるのは、安倍首相の過去の発言との齟齬を追及されることだ。

 そこで自民党政府は「安倍隠し」のために、入管法改正案を「重要広範議案」から外した。

 首相が出席する委員会審議を「重要広範議案」といふ。入管法改正案を「重要広範議案」から外したことで、安倍首相は委員会の出席を逃れた。

 これで安倍首相が「移民」問題でしどろもどろの答弁をして馬脚を現す事態が回避しされた。

 安倍首相の代はりに、自民党政府が矢面に立たせることにしたのが菅官房長官である。

 人手不足に悩む地元神奈川の中小業者やら老人施設やらの声を受けて、外国人労働者たちをもつと活用する法案づくりに着手したのは菅官房長官。こんなストーリーをデッチ上げて、安倍官邸は「入管法改正案菅官房長官主導説」を盛んにマスコミに流したのである。そして菅官房長官をマスコミに露出させた。

 菅官房長官は「改悪」入管法について、新聞のインタビューに答へて語つてゐる。

 《今までと同じ枠組みですよ。》

 《全く新しく枠組みを創設するというより、今までと同じ考え方ですから。》

 《これは移民政策じゃないですよ。明快に違います。》
                   (毎日新聞10月25日朝刊)

 官房長官は首相と違つて、過去の発言なんて問題にされることはないから、実にお気楽にウソをつく。

 中小企業の親父みたいな風貌をもつたこの男は、こんなことばかりやつて売国政権の番頭をつとめてきたのである。

  菅氏といへば、忘れてならないのは、ブラック人材派遣「パソナ」との腐れ縁。

 このブログで「パソナ」のセックス迎賓館について書いたことがあるが、スキャンダルの発端となつたASKAが、覚醒剤所持容疑で逮捕されたのが平成26年5月。「パソナ」の南部が、その翌月にセックス迎賓館で開催するパーティのメインゲストに予定してゐた人物が菅義偉で、彼はその時現職の官房長官だつた。

 





 (この項続く)

 
■メルケルを破滅させた難民・移民の激流

 「ウエルカム難民」政策でドイツを危殆に陥れたメルケル
 ドイツの惨状に学ばうとしない日本の「痴呆政権」





 ドイツでは、バイエルン州議会選に続いてヘッセン州議会選でも与党3党が大敗し、メルケル首相はキリスト教民主同盟(CDU)の党首辞任を表明した。

 本人は2012年の任期までは首相の座に留まると言つてゐるが、とてもそこまでメルケル政権は持たないとみられてゐる。
 
 ドイツ国内で独裁的権力を振ひ、「欧州の女帝」としてEUに君臨してきた十余年に及ぶメルケル政権は事実上終焉した。

 メルケルを破滅させたのは、その愚かな難民・移民政策に尽きる。

 2015年、シリア情勢の悪化とともにトルコからバルカン半島経由で北上する難民が激増し、難民はハンガリーに滞留した。

 メルケルが「ドイツを希望する難民をすべて受け入れます」と表明したからたまらない。ドイツにはこの年だけで100万人もの難民・移民が流れ込んだ。

 メルケルは、上陸した国で難民申請手続きをするといふEUのダブリン協定をあつさり反故にし、他国経由の難民もドイツで申請できるやうにした。

 難民キャンプを訪れたメルケルは、難民たちにやさしく声をかけた。

 「困つてゐる人たちを救ふのがドイツの役割です」

 世界中のマスコミはメルケルに博愛に満ちた政治家と賞賛を浴びせた。日本のマスコミも無邪気にメルケルを持ち上げたのはいふまでもない。

 「メルケル・ドイツは難民にやさしい国」といふイメージは、密入国を仕切る犯罪シンジケートにより世界中に拡散された。その結果、北アフリカや中東、南アジアから難民・移民が一斉にドイツを目指す事態となる。

 難民集団にはイスラム過激派なども大量にもぐりこんでゐたが、ドイツにはひとりひとりの身元確認をする余裕さへなくなる。未登録のままドイツ国内に散らばつた難民は14万人ともいはれ、今もその所在は知れない。

 メルケルが歴史に残る人道主義的政治家としてもてはやされたのもつかの間、2015年12月に、有名な「ケルン大晦日集団性的暴行事件」が発生する。一夜のうちに、難民集団による性的暴行事件が1000件起きたとされ、ドイツ国民は恐怖し、憤激した。

 この事件を機に難民・移民に対するドイツ国内の空気は一変する。

 国民の間に反メルケル感情が高まり、政界にも反メルケルの旗を掲げる勢力が台頭してくる。

 予期せぬ展開に焦つたメルケルがやつたことは、「難民たちをEU諸国で分かち合ひませう」といふEU諸国への提案だつた。

 当然のことながらEU諸国は、「手前が火付役になつて難民をヨーロッパに招き寄せておきながら、今更勝手なことをいふな」と怒つた。

 これでEU各国もメルケルを見放し始めた。

  メルケルが 「ウエルカム難民政策は間違つてました」と終始認めようとしなかつたことが国内外の反メルケル感情を増幅させた。

 「ウエルカム難民政策」をメルケルは、ドイツ国内のあらゆる勢力の反対を押し切つて強行したのかといふと必ずしもさうではない。

 メルケルの「ウエルカム難民政策」を歓迎してゐたのは、ドイツの産業界だつた。

 EU諸国の経済はドイツの一人勝ちだから、ドイツの好況は続き、産業界では熟練労働者が不足してきた。

 経営者たちは考へた。難民・移民の中から熟練労働者に使へさうなのだけ雇ふ、使へないのは本国へ帰せばいい、と。そして、メルケルの「ウエルカム難民政策」を支持したのである。

 目先の利益しか考へない経営者たちの頭は万国に共通してゐる。移民は使ひ捨てろ、である。

 メルケルはただただ自分の博愛精神に基づいて「ウエルカム難民政策」を推進したわけではない。博愛主義の装ひの裏に、姑息な計算をが働いてゐたのだ。

 さて、難民・移民問題が世界各国で騒乱を引き起こしてゐるといふのに、「我が国は外国人労働者の皆さまに活躍の場を与へます」と唱へて、外国人労働者の大量呼び込みを始めようとしてゐるアホな国家が世界にたつた一国存在する。

 日本である。

 日本が外国人労働者大量受け入れ法案を可決したら、このニュースが世界の人身売買暗黒組織にたちまち伝はり、かれらは北アフリカ、中東、南米の難民・移民たちを日本に向はせ始めるだらう。

 今の世界は、難民移民の流出圧力が充満してゐる。
 
 ある国がスイッチをひとつひねれば、難民移民がその国に殺到する。

 愚かにもそのスイッチをひねつてしまひ、ダムが決壊したやうに難民移民が激流となつて押し寄せ、国家の基盤さへ危うくさせてしまつたのがドイツのメルケルである。

 メルケルを破滅させた「ウエルカム移民」政策を、これから国策化しようといふのが日本の安倍自民党政府だ。

 難民移民問題で疲弊し切つたEUの国々、あるひは今移民大集団の北上でパニックを起こしかけてゐる北米南米諸国には、日本はほとんど「痴呆の国」にみえると思ふ。




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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト・評論家。皇室問題やフェミニズム問題に取り組む。三島由紀夫研究家。國語問題研究家。


フェミニズム論の著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

皇室関連の著作としては『天皇を喰ひ物にした侍従長』『天皇と宮内庁の「背信」』など。

執筆には正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を使用、当ブログも正仮名遣ひを用ゐる。

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