fc2ブログ
Archive
■天皇から遊離し始める元號(9)



●「令和」考案者考(其二) 


  中西氏に「令和」由来の弁明・釈明を命じた安倍官邸
  「反戦学者が新元号に仕込んだ安倍批判」説はなぜ浮上したか?
  《「9条改憲NO!戦争させない・9条壊すな」総がかり行動》と中西氏の関係



 中西進氏がマスコミに露出しまくつて自分が考案した令和を自画自賛するだけなら、この人は元号のなんたるかを知らない、稀代の無知で身の程しらずの学者といふレッテルを張れば済むが、ことはさう単純ではない。

 マスコミに異常露出する中西氏に課せられた「役割」は、新元号に関する弁明・釈明なのだ。

 そして、中西氏にマスコミで釈明をするやうに仕向けたのは、ほかならぬ安倍官邸なのである。

 順を追つて説明しよう。

 4月1日、新元号が発表された直後に、岩波文庫編集部のツイッターに、次のやうな書きこみが登場した。

 
《新元号「令和」の出典、万葉集「初春の令月、気淑しく風和らぐ」ですが、『文選』の句を踏まえていることが、新日本古典文学大系『萬葉集(一)』https://www.iwanami.co.jp/book/b325128.html … の補注に指摘されています。

「「令月」は「仲春令月、時和し気清らかなり」(後漢・張衡「帰田賦・文選巻十五)」とある。」

「令和」の句を含む後漢・張衡「帰田賦「帰田の賦」。たとえば『文選詩篇(二)』? http://iwnm.jp/320452 では、こんな風に訓読されています。

「仲春の令(よ)き月、時は和らぎ気は清し」。》

 この後、新元号令和のネタ元は張衡の「帰田賦」にあるといふ情報がネット上にあふれたのは周知の如くで、全国紙もそれを記事にした。

 これと同時に、張衡といふ人物に関する情報もネット上に盛んに飛び交ひ、こんなことを言ひ出すものも現れた。

 《後漢の役人だつた張衡が、当時の皇帝「安帝」の愚かな政治政治腐敗などに嫌気がさして、田舎に帰ろうとした。その心境を語ったのが「帰田賦」である。新元号の考案者はそのやうな背景を知りつつ、敢えて新元号に「令和」を選んだ。すなはち、新元号の考案者は新元号にひそかに政権批判をしのびこませたのだ。》

 《令和の裏に隠された意味は、暗愚な権力者への批判》

 《 安倍さんは今ごろ、地団駄ふんでくやしがっているだろう。中西さんもなかなかやるじゃないか。》

 これらの書きこみを見た安倍官邸が動顛、逆上したことは想像に難くない。

 中西氏が安倍政権批判の意味を新元号にこめたといふ見方には伏線がある。

 中西氏は《「9条改憲NO!戦争させない・9条壊すな」総がかり行動》といふ運動の賛同者に名を連ねてゐたといふ経歴の持ち主だつたからである。

 賛同者の多くは護憲を唱へるおなじみにの反戦文化人・学者たちである。その中にゐたのが中西進氏だつた。

 安倍政権による改憲反対―この運動の主張を手短にいふとさうなる。

 安倍政権の改憲に反対する人物が考案した新元号を、安倍政権が制定する。安倍首相にとつて、これほど屈辱極まりない事態があらうか。

 安倍官邸としてはこれらの流説を放置しておくわけにはいかない。

 世の中に「反戦学者の中西氏は新元号案で安倍首相に一矢を報いた」といふ流説が広まる前になんとしてもこれを打ち消さなければならない。

 新元号の「令和」は、張衡とも「帰田賦」とも関係がないと国民に早急にアピールしなければならない。

 それにはどうすればよいか?

 考案者本人に釈明させるのが一番いい―これが安倍官邸が出した結論だつた。

 官邸幹部は即座に、令和の考案者は中西進氏に間違ひないとマスコミに一斉にリークし始めた。ご丁寧なことに、官邸幹部がそれを断言したと書いても構はないといふお墨つきまで与へて。

 中西氏にとつて、これは「考案者自らがマスコミで釈明せよ」といふ官邸からの「命令」に等しい圧力にほかならなかつた。

 元号考案者がマスコミに全面露出して自分が考案した元号について語りまくるといふ異様な光景の裏には、奇怪な政治絡みの暗闘があつたのだ。

 新元号「令和」は、施行される前から、不幸な生ひ立ちを背負はされてゐる。

 (この項続く)






スポンサーサイト



■天皇から遊離し始める元號(8)






 ●「令和」考案者考(其一)


  マスコミに出まくり新元号を自画自賛してやまない「令和」考案者







 新元号「令和」の考案者とされる国文学者中西進氏のマスコミへの露出ぶりはほとんど常軌を逸してゐる。

 4月17日の読売新聞朝刊に全面ぶち抜きのインタビュー記事が載ったと思ったら、4月20日の朝日新聞朝刊にまたもや全面ぶち抜きのインタビュー記事が掲載され、同じ日にはNHKのインタビューにまで登場した。

 にみならず中西氏は、新元号が発表された4月1日以降、自分が館長をつとめる富山市の「高志の国文学館」やら都内の万葉集講座やらで、新元号「令和」についてしやべりまくつてきた。

 中西氏のマスコミへの異常な露出ぶりは、4月1日の記者会見で、新元号にこと寄せて政権PRを抜け抜けとやつてのけ、会見のあと一日中テレビに出まくつた安倍首相と好一対をなしてゐる。

 片や、「新元号を決めたのはのはこの私です」
 片や、「新元号を考案したのはこの私です」

といふわけである。

 改元にあたつて、新元号を制定した最高権力者と元号考案者が揃ひも揃つて、「俺が決めた」「俺が考案した」と競つて発言するといふ事態は、もちろん過去の元号の歴史には見られなかつたことである。

 平成への改元時に首相だつた竹下登は、大した政治家ではなかつたけれど、そして新元号発表の功を小渕官房長官に持つてゆかれたことを後悔しつつも、「平成の元号は俺が決めた」と吹聴しまくるやうな幼児性は持たなかつた。

 中西氏の話に戻ると、中西氏がマスコミなどでよく口にする「同姓同名の中西進といふ人が考案者とされてゐる」といふ、人を喰つた、シャレにもならないフレーズは、「令和考案者」としてマスコミに登場するために氏によつて考案された枕言葉にほかならない。
 マスコミなどでペラペラしゃべる中西氏の話の内容はといへば、まづ第一に、新元号「令和」の礼賛である。

 朝日新聞のインタビューで、中西氏はこんなことを言つてゐる。

《僕などの意見を聞くまでもなく、世論調査で8割を超える人々が良いと答えています。僕自身もその人たちの中に入りますね。》

 また、「(元号選定では)多数が議論をしなければいけない」といひつつも、こんなことを言ひ放つてゐる。

《議論をしても、たぶん令和が一番いいとは思いますよ》


 自分が考案した令和が一番いい! 

 なんたる傲慢であらうか。

 このやうな発言は、第一、他の元号案を提出した学者に対して無礼極まりないとは考へないのであらうか。

 それから、中西氏は令和以外にも元号案を政府に提出してゐたはづである(「英弘」その他)が、令和が一番いいといふなら、氏が提出した他の元号案は令和に劣るといふことになる。

 令和は政府の最高権力者が選んだ元号であることは紛れもない。

 政府の最高権力者が選んでくれた元号だから、「一番いい」のか。

 中西氏には「曲学阿世の徒」と評する人も少なくないらしいが、一連のインタビューなどを読む限りでは、この評はあたつてゐなくもないと思ふ。


 (この項続く)






■お知らせ





 4月15日発売の別冊正論34《平成「正論」傑作選―令和への伝言》に、《入江相政と富田朝彦》といふ筆者の旧稿が収録されました。

 《入江相政と富田朝彦》は、「正論」の平成18年12月号に寄稿したものです。

 同誌にはこの前号(11月号)に、《「富田メモ」はボスたちの身びいきに満ちた官僚のメモワール》といふ文章を書いてゐます。

 二本とも、昭和天皇の靖国参拝に関する怪しげなメモを残した元宮内庁長官富田朝彦にまつはるレポートです。

 富田メモは、靖国問題で中国に全面屈服した中曽根内閣の失敗を糊塗する一方で、かつての上司だつた後藤田官房長官の擁護を意図した、官僚の処世術に満ちた政治的な文書である―これが、《「富田メモ」はボスたちの身びいきに満ちた官僚のメモワール》でした。

 宮内庁の最高実力者だつた侍従長入江相政に牛耳られ続けてゐた宮内庁長官富田朝彦は、入江の急死を機に猛烈なメモ魔に変身。それまで一年に一冊の日記しかつけてゐなかつたのに、入江の死から退官までのわづか数年の間に膨大なメモと手帳を残しました。

 と同時に、宮中のラスプーチンが消えてからといふもの、富田長官は天皇に対して政治絡みの話を自分から持ち出すやうになり、そのやり取りをセッセとメモにとり始めた。メモなどには富田自身の意見が巧妙に織り交ぜられ、これらの断片を中曽根・後藤田政権の都合のいいやうに切り張りしたのが例の「富田メモ」だつた―これが《入江相政と富田朝彦―宮中のラスプーチンに翻弄された宮内庁長官》の骨子です。

 御興味のある方はご一読を。



*****************************



【別冊正論】HPより

令和への伝言―平成「正論」傑作選

平成31年4月15日(月)発売 本体926円+税

平成に続く御代は「令和」となり、初めて我が国古典として萬葉集から採られました。今号は平成時代の月刊「正論」から、令和新時代に伝えるべき論考を選りすぐり編纂されています。平成期の「正論」を読み返すと意義が薄れるどころか愈々意義深い記事ばかりで、皇室、左翼メディア、明らかになった歴史の真実、中韓のウソそして、平成から令和へと伝えていかなければならない論考ばかりを集めた貴重な一冊です。コンテンツは以下の通りです。


■ 昭和、平成から令和へ-皇室の安寧のために

・「われらが皇室」の安泰を願う  評論家 村松 剛

・「富田メモ」騒動を叱る 天皇の「御言葉」とは何か  東京大学名誉教授 小堀桂一郎

・「富田メモ」、夫人を訪ねて 機密であるべき職務メモを放置した富田朝彦、思慮もなく知人に渡した妻  ノンフィクション作家 上坂冬子

・入江相政と富田朝彦 〝宮中のラスプーチン〟に翻弄された宮内庁長官  ジャーナリスト 千葉展正

・宮中祭祀を蹂躙する人々の〝正体〟 「ご負担軽減」の嘘八百。祭祀を簡略化した歴代宮内庁幹部の狙いは何か  宗教ジャーナリスト 斎藤吉久

・皇統安定へ 旧皇族たちの覚悟 今、我々は何を為すべきか  作家 竹田恒泰

■ 昭和、平成時代に日本を貶めた左翼メディア

・検証 朝日新聞の戦争責任 自らの罪業に頬被りして「戦争責任」を語るなかれ  作家 阿羅健一

・「朝鮮人強制連行」を載せた『広辞苑』のウソ 事実の検証もせず日本人を貶める『広辞苑』はもはや国民的辞書ではなくなった  元サハリン再会支援会代表 新井佐和子

・ニューギニアの元日本軍将兵に朝日新聞社が着せた「罪」 報道機関としての自浄作用を期待するのは幻想だ  昭和史研究家 田辺敏雄

・朝日新聞に頻発する考古学を巡る大誤報 慰安婦や原発、日本軍関係だけじゃない!!  文明史家 原田 実

・ロシアの偽(フェイク)裁判をタレ流すNHK 「731部隊」めぐりプロパガンダの片棒  抑留問題研究者・翻訳家 長勢了治

◆ 月刊「正論」の表紙で見る平成の世相

◆ 正論懇話会・友の会-地域から日本を支える

■ 平成に明らかになった昭和の真実

・皇弟が語る満洲国と日本 「王朝復辟遂行に日本を利用」  愛新覚羅溥傑

・日本常敗の洗脳工作「WGIP」 GHQの最大目的を検証する  早稲田大学教授 有馬哲夫

・「日本の侵略」を認めてはならぬこれだけの理由 「侵略を認めよ」大合唱の愚を糾す  立命館大学名誉教授 北村 稔

■ 平成に暴かれた中韓のウソと日本の真実

・朝鮮半島の遊郭事情と慰安婦問題 多くの朝鮮人業者が手広く営業した事実  現代史家 忍 甲一

・日本が北朝鮮に遺した莫大な産業資産 朝鮮統合で半島をどれだけ豊かにしたか  評論家 片岡正巳

・私が見た「従軍慰安婦」の正体 中支那「漢口慰安所」の妓楼と公娼たちはいかに稼いだか  元日本兵・小野田自然塾理事長 小野田寛郎

・「元慰安婦」調査の杜撰、「河野談話」の愚昧 韓国のウソに踊らされ、反論・検証もしなかったリベラル政治家  東京基督教大学教授(現モラロジー研究所教授) 西岡 力

・韓国の終わりなき反日挑発 その歴史的根源を抉る 歴史の改竄と虚構の「自律性」捏造  筑波大学教授 古田博司

・拙速すぎた日中国交回復後の大きな代償 靡中の外務省 チャイナ・スクールとその黒い影  国際社会学者・元東京外国語大学学長 中嶋嶺雄

・参戦兵士が語る陥落後の平穏な南京 日本兵も露店で時計修理や印鑑注文  南京事件の真実を検証する会監事 冨澤繁信

■ 平成に蔓延した薄っぺらな「イイ人」

・行き過ぎた清潔志向が子供をダメにする アトピーや喘息の元凶は「抗菌」だ  東京医科歯科大学名誉教授 藤田紘一郎

・国際化とは何か-うろたえる日本人へ サラダを箸でいただく勇気を  裏千家若宗匠(現裏千家家元、千宗室) 千 宗之

・大人たちはなぜ子供に〝勇気〟を教えないのか 困難から逃げることを「是」とする戦後教育の罪  作家 曽野綾子

・日本人から生命力を奪った戦後教育 躾・体罰と虐待・暴力を区別できない情けない大人たち  戸塚ヨットスクール校長 戸塚 宏×登山家 野口 健

■ 平成から令和へ

・安倍総理へ「戦後七十五年談和」を要望します 〝正しい戦争〟の連合国が核を持った戦後とは  評論家 西尾幹二

・弁護士 北村晴男 憲法改正を語る 国民による不断の議論が必要だ

・天皇の元首明記なくして9条改正はなし 憲法から空虚な「象徴」の排除を  元宮内庁侍医 永井良樹

・生き残れ日本 トランプに進むべき道を示せ  ジャーナリスト 櫻井よしこ












リンク
三島由紀夫「女系天皇容認」説の陰謀を暴く
「売文業者」渡部昇一の嘘八百を斬る
安倍政権が残した「負の遺産」
「富田メモ」と捏造された「スクープ」
天皇を喰ひ物にした侍従長
天皇と宮内庁の「背信」
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト・評論家。皇室問題やフェミニズム問題に取り組む。三島由紀夫研究家。國語問題研究家。


フェミニズム論の著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

皇室関連の著作としては『天皇を喰ひ物にした侍従長』『天皇と宮内庁の「背信」』など。

執筆には正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を使用、当ブログも正仮名遣ひを用ゐる。

amazon
Irreversible Damage
大衆の狂気
暴走するジェンダーフリー
ポリコレの正体
SDGsの不都合な真実
左翼リベラルに破壊され続けるアメリカの現実
日本を守る沖縄の戦い
領土消失 規制なき外国人の土地買収
爆買いされる日本の領土
誰が第二次世界大戦を起こしたのか: フーバー大統領『裏切られた自由』を読み解く
移民 難民 ドイツ・ヨーロッパの現実2011-2019
それでもバカとは戦え
令和への伝言
男と女の戦争
私の国語教室
断腸亭日乗
中谷宇吉郎随筆集
牧野富太郎自叙伝