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■米大統領選挙と中国





   ▼バイデンは習近平の救世主となるか?




  米大統領選挙を報じる中国のメディアは最近、「民主党のバイデンの方がトランプより扱ひやすい」といふ論評を流し始めてゐる。中国のメディアが中国共産党の意に反する記事を掲載するはずもないから、これは習近平の気持ちをそのまま代弁したものと受け取つてかまはないと思ふ。

 前回の大統領選挙では、中国は共和党候補トランプに得体の知れぬ不気味さを感じつつ、人権一点張りの民主党候補ヒラリー・クリントンにも警戒心を抱いてゐた。ところが今回の大統領選では、中国ははつきり民主党候補バイデン支持の姿勢を鮮明にしてゐる。

 習近平にとつて米国大統領としてジョー・バイデンほど好ましい人物はゐない。

 なにより、「自分はアメリカで習近平と最も親しい政治家だ」と公言してきたのがバイデンなのだから。

 バイデンは副大統領として2011年8月に訪中した。カウンターパートが次期最高指導者に決まつてゐた習近平副主席だつた。バイデンは6日間も滞在し、習近平はバイデンを四川省など中国各地を案内し、二人は何度も会談を重ねた。

 2012年2月には、習近平副主席が5日間の日程で訪米し、この時はワシントン、ロサンゼルスとすべてバイデンが随行した。

 バイデン副大統領は2013年12月にも訪中した。この時は中国が防空識別圏を設定した直後で、日中間に緊張が走り、オバマ大統領が調整役としてバイデン副大統領を東京、北京、ソウルに派遣したのだ。

 訪日したバイデン副大統領に日本側は要望を伝へた。防空識別圏への懸念を表明する「日米共同声明」の発表、防衛識別圏の撤回の要求、中国がアメリカの民間航空機に強制する飛行計画書提出をやめさせること―である。

 ところが、その後訪中したバイデンは習近平主席との会談で、日本の要求をことごとく握りつぶしたばかりか、中国側の肩をもつたて、日本を虚仮にしたのである

 中国国営メディアは習近平・バイデン会談について、「両国は『新型の大国関係』を目指して対話・提携を強化していくことで合意した。バイデン副大統領は、米中関係は21世紀の最も重要な二国間関係である、と表明した」と日本に当てつけるやうな調子で報じた。バイデンは習近平の打ち出した『新型の大国関係』に唱和し、発足したばかりの習近平体制を全面支援したのである。『新型の大国関係』とは太平洋地域を中国とアメリカで分割支配するといふ構想にほかならない。

 2013年のバイデン訪中では、中国はバイデンに大きなお土産をくれてやつた。

 この訪中にバイデンは息子のハンター・バイデンを同道してゐた。ハンターは投資会社を経営してゐたが、訪中時、この投資会社が中国との合弁投資ファンド「渤海華美」を設立することで合意。10日後、中国政府から許可が出され、投資ファンドが設立された。ハンターは役員におさまつた。

 「渤海華美」はその後、顔認識プラットフォームの「Face++」に投資した。中国公安当局が中国全土に張り巡らす監視システムに組み込まれてゐるのが「Face++」の顔認識プラットフォームである。

「渤海華美」の設立に際して、中国側からハンターに15億ドル(約1600億円)もの資金が供与されたとされる。

 これがハンター・バイデンをめぐるチャイナ疑惑で、中国人民に対する抑圧システムに副大統領の息子が投資をして、多額の利益を得てゐたとふ構図である。(疑惑を追及されたハンター・バイデンは昨年役員を辞任したものの、「渤海華美」の株式は依然として保有してゐる。)
 
 訪中したバイデンにとつて、「防空識別圏」の問題などどうでもよく、息子のビジネスのことで頭がいつぱいだつた。

 ハンターはウクライナでも、父親の威光でガス会社の役員におさまり、月5万ドル(約530万円)の報酬を得てゐたボンクラ息子である。

 アメリカの副大統領が、中国で投資事業を始めたいボンクラ息子を伴つて中国を訪れたのは、習近平にとつて、鴨がネギを背負つてきたやうなものだつた。

  ハンターが設立した「渤海華美」の投資先として、人権抑圧監視システムの関連企業を選ばせたのも、中国一流の悪だくみだつたのではないか。

 バイデン副大統領は、オバマ政権でライス補佐官と並ぶ「パンダハガー」と目された。このパンダハガーの口から、南シナ海とか南沙諸島とかいふ言葉が出てきたことはない。

 既にして脳軟化症気味のバイデンが大統領になつたら、政権半ばにしてダッチロールに陥る可能性が高い。さう見越して習近平はバイデン勝利に期待をかけつつ大統領選を見守つてゐる。

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■習近平とスターリニズム







 ▼寝た子を起した周庭氏の逮捕
  「欅坂46」と「民主の女神」




 香港警察は、国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕した香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英氏と民主活動家の周庭氏らを丸一日拘束した後、保釈した。

 両氏らが長期拘束されることなく保釈されたことについて、日本の「中国専門家」たちはテレビで、「香港では一日拘留しただけで保釈されることはよくあるんですよ」などと訳知り顔でしやべつてゐた。

 ジャーナリストあがりの中国屋たちの話ほど信用のおけないものはない。

 世界が注視する中で、反中共運動の象徴ともいふべき黎智英氏と周庭氏を逮捕したのだ。習近平政権もそれなりの準備と見通しをもつて挑んだ筈である。北京政府が「見せしめのために、一日だけ拘束してから釈放しよう」などと、はじめから予定してゐたとは到底考へられない。状況次第では、二人はそのまま拘束され続けてゐたかもしれないのである。

 習近平には誤算があつた。

 それは、黎智英氏については、民主派らがSNSなどでリンゴ日報への支援を呼び掛けた結果、発行元である壱伝媒の株価が急騰した。さらに、多くの香港市民がリンゴ日報を買ひ求め、通常の発行部数の5・5倍にあたる55万部が完売した。

 周庭氏の場合は、周氏を支援するハッシュタグ「#フリーアグネス」などが日本を中心に拡散し、各方面の著名人らも次々に支持をツイートした。

 日本のテレビは、黎智英氏と周庭氏の連行される場面を何度も放映した。

 たびたび訪日してゐた周庭氏は日本ではそれなりに知られてゐたが、彼女が過去に逮捕された時(5回!)には、日本のマスコミが大きく報じることはなかつた。

 それが今度はどうだらう。周庭氏が逮捕されるや、逮捕される前にSNSで発した言葉だとか、彼女が写した公安の写真だとかを日本のテレビが一斉に報じたのである。

 天安門事件の洗礼にならつて、民主派を一網打尽にして片付けようとした習近平の思惑に狂ひが生じた。

 黎智英氏や周庭氏をこのまま拘留し続ければどうなるか。国内外の民主派を却つて勢ひづかせてしまふ。習近平執行部はそれを恐れて慌てて釈放したとしか考へられない。

 周庭氏には今後「判決」の言ひ渡しが待つてゐるが、北京は今考へてゐる筈である。刑期を半年にしようか、無期にしようか。北京政府にとつては、絶対に彼女を「民主の女神」にしてはならないのだ。

 中共機関紙「人民日報」は、日本語で香港民主化を訴へる周氏を、「暴力的で無謀で、日本に膝を屈した反中国の政治屋」と罵つてゐる。

 周庭氏は釈放の直後、「拘留中に欅坂46の『不協和音』といふ歌の歌詞がずつと頭の中に浮かんでゐました」と語つた。

 すると日本のテレビ各局はいち早く、欅坂46の『不協和音』を特集で取り上げ、音楽関係者たちに『不協和音』の内容を細かく解説させた。

 日本人でも、欅坂46のファン以外は、『不協和音』といふ歌を知らなかつた(もちろん私も)。今、Googleで、「欅坂46」「周庭」と打ち込んで検索してみると、一千万件以上ヒットする。

 香港で何が起きてゐるかも知らず、香港国安法のなんたるかも知らず、「周庭」といふ名前さへ知らなかつた日本人が、周庭氏の口から、「欅坂46」といふ名前が出てきた途端に、「周庭さんつて一体だれ?」と一斉に調べ始めたのだ。

 日本のアニメを見て日本語を覚へ、日本のアイドルグループの歌を聞いて育つたといふ、香港の23歳の女の子は、中国共産党の暴虐と戦つてゐる一線の闘士だつた!

 習近平の強権発動は日本人の寝た子を起こしてしまつたのである。








■「パンダ・ハガー」二階俊博の罪状




 
  ▼「パンダ・ハガー」と名指しされた二階俊博と今井尚哉
    CSISレポートに見る日本の政治家売国度





 アメリカでは、中国共産党政権にすり寄る政治家をパンダ・ハガーと呼ぶ。パンダをハグ(抱擁)する人である。逆に中国共産党政権に対する強硬派はドラゴン・スレイヤーと呼ばれる。

 李登輝元総統を弔問するために訪台した日本の国会議員団が10人足らずだつたことが物語るやうに、日本の政治家には中共にに楯突くドラゴン・スレイヤーの名に値する政治家は寥々たる有様である。

 これに反し、毎年北京への朝貢を欠かさないパンダ・ハガーは掃いて捨てるほどゐる。そして、日本におけるパンダハガーの頭目が自民党幹事長の二階俊博であることは衆目が一致してゐる。 

 アメリカのシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)は先月(2020年7月)、「日本における中国の影響力」と題するレポートを発表した。

 中共政府の対日工作がどのやうに行はれ、どのやうな効果をあげてゐるかを関係者のインタビューを通して分析したこのレポートは、日本政界にちよつとした波紋を引き起こしてゐる。それはCSISレポートが、日本におけるパンダ・ハガーたちの名前を挙げてゐるからである。

 CSISレポートが、日本のパンダハガーとして名指ししたのは、二階俊博、首相補佐官今井尚哉、衆院議員秋元司、法務大臣森まさこらである。

 このほかに、日本における巨大なパンダハガー勢力として創価学会・公明党の動向が詳細に分析されてゐる。

 レポートは、中国が関はつた汚職事件として、統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件に着目する。

 レポートによると―

 日本政府が立案したカジノ法案は、安倍政権が推進するアベノミクスと三本の矢の成長戦略における中核的事業のひとつで、カジノの候補地として東京オリンピックまでに三都市が選ばれる筈だつた。秋元司は衆議院内閣委員長として2016年12月にカジノ法案の採決を強行して成立させた。

 秋元司は中国企業「500ドットコム」から講演料や旅費の名目で370万円の賄賂を受け取つた容疑で逮捕された。サッカーくじをオンライン販売する「500ドットコム」の最大株主は「紫光集団」で、紫光集団は清華大学が所有する企業である。清華大学は習近平の出身校であり、紫光集団は習近平政権の国策企業にほかならない。

 秋元司は自民党の有力派閥である二階派に所属する衆議院議員である。二階俊博の名前をつけたこの派閥は「親中国グループ」で、「二階・今井派」とも呼ばれる。

 経済産業省官僚出身の今井尚哉は安倍首相の首席補佐官である。今井は、中国が推進するインフラ・プロジェクトなどに融和的な姿勢をとるやう安倍首相に進言してきた。

 二階―5頭のパンダを地元の動物園に連れてきた男―は、2019年に首相の特使として習近平に面会し、中国の「一帯一路」構想に協力すると約束した。習近平を国賓として迎へることを提唱したのも二階である。

 コロナウィルスが日本に拡大し始めた頃、アリババ創設者のジャック・マーは親中派の二階幹事長に100万枚のマスクを贈つた。法務大臣の森まさこは「ありがとう、ジャック!」とつぶやき、彼を親密な会話を交はした「友人」と呼んだ。

 二階俊博のパンダ・ハガーぶりはよく知られてゐるが、安倍首相の最側近である今井尚哉が二階幹事長とタッグを組んで、安倍政権の媚中政策を推進してきた事実を指摘したレポートなど日本には皆無といつていい。その意味で、このCSISレポートは大変貴重なのである。

 CSISレポートは、中国に接近する異常な政治家として、鳩山由紀夫の名前もあげてゐる。

 鳩山が首相時代、天皇と習近平副主席と天皇との会見を間際になつて設定したこと、南京事件についてこれまで何度も謝罪を繰り返してきたこと、さらに日米安保同盟からの脱却を目指すその姿勢は中国共産党の方針に完全に一致するものだつた、とレポートは説明する。

 ただし、鳩山由紀夫は日本の政界ではアブノーマルな政治家として知られ、「エイリアン」といふニックネームがあるほどだから、鳩山を中共政府による洗脳の例とみなすのは必ずしも正しくない、ともレポートは指摘してゐる。

 ともあれ、 「パンダ・ハガー」二階俊博・今井尚哉も、「エイリアン」鳩山由紀夫もやつてきたことは媚中の名に値するのは間違ひない。

 CSISレポートが、二階俊博、今井尚哉といふ、安倍政権を支へる二人のキーパーソンを媚中政治家として名指ししたことは、自民党内で驚きをもつて受け止められた。なぜなら、CSISは安倍政権と密接な関係を有する米シンクタンクとして知られてゐるからだ。

 驚くべきことに、安倍政権は第二次政権発足以来、6年間に3億円もの金をCSISに寄付してゐるのだ。

 ワシントンに本部を置くCSISは、アメリカ政財界の意に沿つた方向に日本をコントロールする「ジャパンハンドラー」の本拠と目されてゐる。リチャード・アーミテージ、ジョセフ・ナイら「知日派」が理事などをつとめ、米政府による対日要求を盛り込んだ「年次改革要望書」の作成にも深く関与してきた。

 日本の官僚や政治家も研究員などに受け入れ、小泉進次郎も籍を置いたおいたことがある。安倍首相も訪米の際にCSISで講演してゐる。

 トランプ政権に近い米シンクタンクとしては保守系の「ハドソン研究所」が有名で、ペンス副大統領が二年前に激烈な中国批判演説をハドソン研究所で行つたのも、仕掛けたのは同研究所だつた。

 共和・民主両党の政権から人材を受け入れてきたCSISには、ハドソン研究所ほどの政党色はない。ただ、今回のCSISレポートは、国務省の支援を受けて作成されたとある。支援とはつまり依頼といふことだ。

 国務省といへば、トップのポンぺオ長官は先月、「中国共産党は世界制覇を目論んでゐる」と中国の脅威に警鐘を鳴らす演説を行つて、世界を驚かせた。

 トランプ政権の対中強硬路線の先頭に立つてゐるのが国務省のポンぺオ長官なのだ。今回のCSISレポートには明らかに国務省の意向がなにほどか反映してゐる。

 レポートが政権中枢の媚中派を名指ししたのはなぜか? つまりこれは、安倍首相は媚中一派を政権から取り除け―といふ米政府からのメッセージなのである。



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tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト・評論家。皇室問題やフェミニズム問題に取り組む。三島由紀夫研究家。國語問題研究家。


フェミニズム論の著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

皇室関連の著作としては『天皇を喰ひ物にした侍従長』『天皇と宮内庁の「背信」』など。

執筆には正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を使用、当ブログも正仮名遣ひを用ゐる。

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