◆「一票の格差」違憲無効訴訟ゴッコ(十三)

 「違憲無効訴訟」政治ショーにはびこるデタラメ報道



 升永英俊一派が起こした参院選「違憲無効訴訟」で、名古屋高裁金沢支部と高松高裁は16日、ともに選挙無効の請求棄却の判決。

 これを伝へるマスコミ報道のいい加減さとデタラメぶりにはあきれるほかはない。

 一番ひどいのがNHK。

《ことし7月の参議院選挙で、選挙区ごとの1票の価値に最大で4.77倍の格差があったことについて、名古屋高等裁判所金沢支部と高松高等裁判所はいずれも憲法違反の状態だという判決を言い渡しました。一方で選挙の無効を求めた訴えはともに退けました。》

 《憲法違反の状態だという判決を言い渡しました》だと。

 これを書いた馬鹿記者は判決文の読み方さへ御存じない。

 両判決の主文は次の通り。

1、原告の請求を棄却する。
2、訴訟費用は原告の負担とする。

 これだけ。原告完全敗訴の判決である。

《一方で選挙の無効を求めた訴えはともに退けました。》
 
 ほとんどアホである。なにが《一方で》だ。一番大事な主文が、《一方で》とまるで付けたり扱ひ。

 朝日新聞のデジタル版の記事もデタラメもいいところ。

《◆参院選、北陸3県も「違憲状態」 名古屋高裁金沢支部

「一票の格差」が最大で4・77倍だった7月の参院選をめぐり、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟の判決が16日、名古屋高裁金沢支部であった。市川正巳裁判長は、対象の石川、福井、富山3県の選挙区について違憲の一歩手前の「違憲状態」と判断する一方、請求を棄却した。 7月の参院選をめぐっては、弁護士グループが全国14の高裁・支部で、47都道府県の選挙区を対象に訴訟を起こしている。》

《◆参院選の四国4県、一票の格差は「違憲状態」 高松高裁

「一票の格差」が最大で4・77倍だった7月の参院選は、法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟の判決が16日、高松高裁であった。山下寛裁判長は、対象の四国4県の選挙区について違憲の手前の「違憲状態」と判断する一方、請求を棄却した。 7月の参院選をめぐっては、弁護士グループが全国14の高裁と支部で、47都道府県の選挙区を対象に訴訟を起こしている。》

 この記事に出てくる、

《対象の石川、福井、富山3県の選挙区について違憲の一歩手前の「違憲状態」と判断する一方》
《対象の四国4県の選挙区について違憲の手前の「違憲状態」と判断する一方》

 といふのがウソ。判決は個々の選挙区について「違憲状態」と判断したわけでは毛頭ない。
 
 この記事を書いた記者は、升永英俊一派が起こした訴訟の中身を知らないのかね。

 升永英俊一派が起こした訴訟とは、参院選で、公職選挙法14条1項、別表第3にある参議院議員(選挙区選出)の定数配分規定が憲法14条1項等に違反し無効であるといふ選挙無効訴訟である。

 参院選の選挙区選挙はすべて無効、従つて、原告たちが住む選挙区の選挙も当然無効になるといふ論法だ。

 だから高裁も参院選選挙区選挙を総体として「違憲無効」かどうかといふ判断を下すのみ。《石川、福井、富山3県の選挙区》《四国4県の選挙区》について格差があるかどうかなんてはじめから検討の外。

 判決文の読み方のイロハさへ知らないこんなおバカ記者を増やすのも、升永一派の作戦だつたとすれば、その作戦は確実に成功してゐる。
 
 付言すると、最少の鳥取選挙区と比べた、北陸3県と四国4県の「格差」はこんな具合。

 ●富山1.86倍
 ●石川1.95倍
 ●福井1.35倍
 ●愛媛2・46倍
 ●香川1・72倍
 ●徳島1・35倍
 ●高知1・31倍

 かりに個々の選挙区の格差が問題だつたとしよう。しかし、いくらなんでも《1・31倍》や《1.35倍》なら、裁判所も「違憲状態」と言ふのは躊躇するんではないの。





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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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