◆「一票の格差」違憲無効訴訟ゴッコ(二十一)


  国民にウソを垂れ流すペテン師升永英俊(その4)

 《日本はアメリカの州に相当する》といふウソ





 《国民にウソを垂れ流すペテン師升永英俊(その3)》の続き。

 (その3)で書いたやうに、アメリカ大統領選挙には、升永英俊の言葉とは裏腹に、実に3.7倍もの「1票の格差」が存在する。まづ、この事実をしつかり頭に入れておきたい。

 「月刊日本」平成25年6月号のインタビュー記事に戻ると、升永英俊はアメリカの大統領選挙に続いて、アメリカの上院と下院の選挙制度に言及し、次のやうに破天荒な意見を開陳してゐる。

《―― この問題はしばしば、アメリカの上院と比較して論じられている。アメリカの上院議員は各州から2人ずつ選ばれており、大きな「一票の格差」がある。

【升永】 アメリカの州(state)と日本の都道府県は全く異なるものだ。それらを比較して論じること自体がおかしい。アメリカの州にはそれぞれ、州の最高裁判所、州の高等裁判所、州の地方裁判所がある。州ごとに民法や刑法、家族法、相続法なども異なる。また、州は軍隊や本格的な課税権も持っている。これに対して、日本の都道府県には軍隊や本格的な課税権はない。もちろん、神奈川県民法や埼玉県刑法もない。都道府県と州を同一視することはできない。

 アメリカの選挙制度に注目するのであれば、むしろ下院の小選挙区制の方だ。たとえば、ペンシルバニア州(人口1280万人強)の連邦下院選の選挙区は19個に分けられているが、最大人口の選挙区と最小人口の選挙区の人口差は何と1人だ。

 米国連邦地裁は2002年、ペンシルバニア州の選挙区間の最大人口差が19人となったことを違憲と判断し、3週間以内に憲法に沿った選挙区割りの法改正案を提出するよう選挙管理委員会に命じた。それを受けて、同州議会は、裁判所の命令の日から9日後に、最大人口差を1人に縮減する選挙区割り法の法改正を行ったのだ。

 裁判所の判断から立法までのスピードには驚くべきものがある。ここまで徹底しているからこそ、民主主義の多数決が成り立っているのだ。
 他方、日本の場合、「0増5減」案を反映しても、最大人口と最小人口の差は29万人にも及ぶ。しかし、アメリカにできているのだから、日本にできないはずはない。》

 ほとんどハチャメチャな論理なんだけれども、ペテン師のまことしやかな語り口に騙される人は騙されるかもしれない。

 ペテン師の手口を解析するために、もう少し我慢して、ペテン師の口上に耳を傾けてみよう。

 次に掲げるのは、ネット上に載つてゐる升永英俊のインタビュー記事である。

《――例えば米国の場合、下院では1票の格差は非常に小さいですが、上院はどの州でも上院議員は2人としていて、非常に大きな1票の格差が生まれており、多数決が成り立たなくなっています。

升永 米国の場合、50の国家(state。州と翻訳されている)が連邦を作っています。United States of Americaです。50の国家(state)が、「上院については、人口に関係なく、各stateごとに上院議員を2人ずつ出します」という連邦憲法に基づいて約束をして、連邦に参加しました。カリフォルニア州の人口は約3700万人で、ワイオミング州は約57万人です。上院選挙でカリフォルニア州民は、ワイオミング州民の65分の1の票しかないわけです。各州(state)は、それを納得した上で、連邦(United States of America)を作ったわけです。

 米国の州(state)と日本の都道府県は、まったく違います。米国では、それぞれの州に、州の最高裁判所、州の高等裁判所、州の地方裁判所があります。州ごとに民法、刑法、家族法、相続法などが違います。各州が立法権を持っています。日本の都道府県は本格的な立法権がなく、条例制定権しかありません。州は、軍隊(陸軍、空軍)を持ち、本格的な課税権も持っています。都道府県は、軍隊を持っていません。本格的な課税権も持っていません。日本の都道府県は、国家としての体裁をなしていません。

 だから、「米国の上院選挙では1票の住所差別を認めているから、日本も1票の住所差別があってもいいじゃないか」という議論は、都道府県を州と同一視する議論であって、その議論の前提を誤っています。日本は米国でいうと、カリフォルニア州に相当します。そしてカリフォルニア州の中では、連邦上院選挙も、連邦下院選挙も1人1票になっています。》

 以上に引いたペテン師の口上を整理してみよう。

 ●日本の都道府県とアメリカの州(state)を同一視してはならない。
 ●州と訳されているアメリカのstateは国家である。
 ●日本はアメリカの州(state)に相当する。
 ●アメリカでは州(state)の中では、連邦上院選挙も連邦下院選挙も1票の格差は存在しない。

 アメリカの州(state)は国家なんださうです。だから日本という国家はアメリカの州(state)と同んなじなんだそうです。

 アメリカの州(state)が国家なら、州(state)には主権はあるの?
 
 アメリカの州(state)が国家なら、州知事(governor)は国家元首なの? 州知事(governor)は日本の天皇と対等に接見できるの?

 アメリカの州(state)が国家なら、州兵は外国の軍隊と勝手に戦争できるの?

 アメリカの州(state)が国家なら・・・・

 アホらしい。もうやめておかう。ペテン師さん御自身、アメリカの州(state)が国家だなんて本気で信じてなんかゐないのだから。

 それにしても、笑つちやうね、《日本は米国でいうと、カリフォルニア州に相当します》だつて。

 どうして、《日本は米国でいうと、ワイオミング州に相当します》つて言はないんだらう?
 
 ワイオミング州は人口56万人。アメリカ最少の州。鳥取県より人口が少ない。知事は存在すれど、副知事はをらず、最高裁はあれどその下の控訴裁判所(ペテン師いふところの高等裁判所)は存在せず、州内に4年制の総合大学は1校しかない。

 ないないづくしのちつぽけなワイオミング州と日本は同じだなんて言はうものなら、間違ひなく頭の構造を疑はれる。このペテン師もその程度の気は回るらしい。

 (この項続く)







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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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