■日本国総理大臣安倍晋三は「専業主婦の敵」である
 配偶者控除を廃止したがる暗愚宰相に関する一考察(第6回)

 
 小宮山洋子を《過激なジェンダーフリー論者》と呼んだ安倍晋三君
 ジェンダーフリーを信奉して配偶者控除廃止を推進した小宮山厚生労働大臣




 男と女には、性差も、区別も、役割分担の違ひもないのよ、と叫ぶフェミニストたちが暴走したジェンダーフリーの嵐が吹き荒れたのは、男女共同参画社会基本法が成立した平成11年の前後10年ほどのことでした。

 ジェンダーフリーの嵐を鎮静化させるべく、自民党は過激な性教育やジェンダーフリー教育の実態を調査するプロジェクトチームを立ち上げたのですが、その座長におさまつたのが安倍晋三君でした。

 ジェンダーフリー台風が吹き荒れてゐた頃、安倍晋三君は副官房長官、自民党幹事長、官房長官など要職を歴任してゐたが、ジェンダーフリー問題にはすこぶる熱心で、保守派の人たちは何かといふと安倍君のところに参上してゐたものです。つまり彼は、政界における反ジェンダーフリー派の旗頭的な存在なのでした。

 自民党政府は官公庁に対して、ジェンダーフリーといふ言葉を使はないようにといふ通達を出したりしましたが、そんな程度のことで、日本中にはびこつたジェンダーフリー汚染が一掃されるはずもない。

 自民党から政権を奪取して、ジェンダーフリー政策を全面展開したのが民主党政権です。

 民主党政府が2010年に策定した「第3次男女共同社会基本計画」には、民主党のジェンダーフリー政策がこれでもかこれでもかと並べ立てられてゐる。

《男女の社会における活動や個人の生き方が多様化する中で、男女の社会における活動の選択に対して中立的に働くような制度構築が必要であり、男性片働きを前提とした世帯単位の制度・慣行から個人単位の制度・慣行に変更するといった視点から、固定的性別役割分担を前提とした制度・慣行の見直しを行う。》

《男女共同参画の視点をあらゆる施策に反映させるため、男女の置かれた状況を客観的に把握するための男女別等統計(ジェンダー統計)の充実に努めるとともに、ジェンダー予算の在り方や家庭で担われている育児、介護などの経済的・社会的評価のための調査・研究を行う。》

《女子差別撤廃委員会の最終見解における指摘事項について点検するとともに、日本の文化、社会の状況等にも配慮しつつ、国際的な規範・基準の積極的な遵守や国内における実施強化などにより、国際的な概念や考え方(ジェンダー等)を重視し、国際的な協調を図る。》

 《女の社会における活動の選択に対して中立的に働くような制度構築》《固定的性別役割分担を前提とした制度・慣行の見直し》といふ表現は、ジェンダーフリー思想そのものです。

 その上で、男性片働きを前提とした《世帯単位の制度・慣行》から、《個人単位の制度・慣行》への変更が高らかに宣言される。

 ジェンダーフリー思想が税制に適用されると、どうなるか?

《税制については、男女の社会における活動の選択に中立的な仕組みとしていくことが重要である。個人所得課税については、従来は片働き夫婦子二人世帯を標準世帯と考えて検討される側面が強かったが、今後は個人を中心とした考えを重視する必要がある。国民生活に与える影響に配慮しつつ、配偶者控除の縮小・廃止を含めた税制の見直しの検討を進める。》

 配偶者控除など縮小・廃止して当然といふ結論が導き出されるのです。

 フェミニズムを理念とする民主党の方針は人事にも現れてゐて、社民党の福島瑞穂を男女共同参画担当大臣に就任させ、この超フェミニストに好き放題のことをさせ、次いで誕生させたのが超々フェミニスト小宮山洋子の厚生労働大臣就任といふ次第。

 野田内閣の厚生労働大臣に小宮山洋子が就任した時、痛烈にこの人事を批判したのが安倍晋三君です。当時の彼のブログの記事を読んでみませう。

《 野田総理への期待は輿石幹事長の誕生でしぼみ始めましたが、組閣をみて失望に変わりました。 過激なジェンダーフリー論者であり、家族の価値を認めない小宮山洋子氏を厚生労働大臣。 民主党左派で、光市母子殺人事件の弁護団のとんでもない主張を支持し、大きな批判を浴び、さらに安倍内閣が取り組んだ犯罪被害者の権利擁護の為の立法を邪魔をした平岡秀夫氏をなんと法務大臣にしました。 これでは『左翼泥々内閣』ではないですか。 保守派としての野田さんの姿は欠片も見えません。 目に映るのは『泥々のどじょう』だけです。 》

 過激なジェンダーフリー論者であり、家族の価値を認めない小宮山洋子を厚生労働大臣を就任させた野田内閣を《左翼泥々内閣》とクソミソに酷評してゐるのです。

 よほど小宮山洋子の厚労大臣抜擢が気に食はなかつたものとみえて、彼は別の媒体でも批判を展開する。

《厚労相に小宮山洋子氏をあてたことも理解できない。彼女は、家族の価値を認めないジェンダーフリー論者であり、夫婦別姓推進論者である。そんな人物が、子育て政策の責任者になるなど、おかしい。》

 小宮山洋子が過激なジェンダーフリー論者であり、家族の価値を認めない人物である、といふ安倍晋三君の認識は全く間違つてゐなかつたと私は思ひます。

 然るに、小宮山洋子は厚生労働大臣として何をやつたのか?

 配偶者控除を廃止しようと計画したのです、ジェンダーフリー思想と家族の価値を認めないといふ自分の思想に基づいて。

 配偶者控除廃止の根底にあるのはジェンダーフリー思想であることくらゐ誰にも分かりさうなものです。

 安倍晋三君に、一体この認識がおありなのどうか?

 女性の社会進出を促進するために、女性の社会進出を阻害する制度にほかならない配偶者控除を廃止する。これが安倍晋三君が展開してをられる論理です。

 でも、《女性の社会進出》といふフレーズが、フェミストたちが主婦を家庭から追ひ出すときに用ゐる常套文句なのを安倍晋三君は御存じなのでせうか?

 ジェンダーフリーが信念の小宮山洋子サンが、配偶者控除廃止に意欲を燃やすのは、是非は別として、理解できる。しかし、反ジェンダーフリーが信念の安倍晋三君が、配偶者控除廃止に意欲を燃やす理由が、私にはさつぱり理解できない。

 配偶者控除を廃止して国民に年間6000億円もの大増税を強い、パートの仕事に従事してゐる多くの女性たちをいやいや長時間労働に駆り立ることが日本経済の活性化につながると、本当に安倍晋三君が信じてゐるとすれば、総理大臣としての彼の頭脳構造には本質的に欠陥があるといはなければなりません。

 それとも、この反ジェンダーフリーの元旗頭は、いつの間にか小宮山洋子張りのジェンダーフリー信者に宗旨替へしてしまつたのでせうか?

 我々国民は銘記する必要があります。安倍総理がかつて小宮山洋子厚生労働大臣と過激なジェンダーフリー論者と呼んだことを。そして、過激なジェンダーフリー論者である厚生労働大臣が在任中、全精力を傾注したのが配偶者控除制度の抹殺であつたことを。





 (この項続く)
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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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