■日本国総理大臣安倍晋三は「専業主婦の敵」である
 配偶者控除を廃止したがる暗愚宰相に関する一考察(第8回)

  「子供手当」の息の根を止めた東日本大震災
 

 民主党政権の子供手当は、平成22年3月、子供手当支給法が一年間の時限立法として成立し、平成22年度は月額1万3千円が支給されました。しかし、民主党はその年の夏には、公約である2万6000円の全額支給を早々を断念。そして、翌平成23年3月11日、東日本大震災が発生します。

 菅内閣は3月末に、子供手当支給法のつなぎ法案を成立させ、月額1万3千円の子供手当は9月まで支給されるものの、8月の民主、自民、公明の3党合意で、9月から翌24年3月まで子供手当の内容を改変して存続させるが、24年度以降は児童手当法に戻して子供手当を廃止することを決定します。

 東日本大震災の復興財源確保に迫られる民主党内閣にとつて、子供手当どころではなくなつたわけです。つまり、小宮山洋子発案にかかる民主党の子供手当制度の息の根をとめたのは、東日本大震災といふことになります。

(その後成立した東日本大震災復興特別会計の平成24年度当初予算で、子供手当から児童手当への移行に伴ふ見直し分として、4272億円が計上され、子供手当は名実共に消滅します。)

 小宮山洋子は、3党合意の翌月、野田内閣の厚労相に就任しますが、子供手当が廃止と決まつて面白くない彼女は、「ちよつと姿を変へたが継続した。名を捨ててはゐない」とパーティで発言して物議を醸します。

 その後、厚労相として、配偶者控除と第3号被保険者制度の廃止に向かつて突つ走つたのは、子供手当廃止の鬱憤晴らしだつたかもしれない。

 民主党内で、配偶者控除の廃止で小宮山洋子を終始強力に後押ししたのは、岡田克也でした。

 政権末期の平成24年11月、岡田副総理は国会で、民主党政権の財源確保の問題について、自民党の小泉進次郎議員から追及されて、次のやうに答弁してゐる。

《例えば、税制でいえば、マニフェストで書いてできなかった最大のものは配偶者控除・配偶者特別控除の廃止なんです。これは金額が非常に大きいんですね。しかし、改めて政権与党になった上で議論してみたところ、特に党の中で、配偶者控除の廃止についてはかなり強い異論もあったという中で、なかなか廃止には至っていないということであります。》

《私などは廃止論者ですから、マニフェストに書いた以上、それはやるべきだというふうに基本的には考えていますが、残念ながら、共通認識といいますか、党の中で一致するには至らなかったということで、ここは、そういうマニフェスト、配偶者控除について、我々としては意見集約して出したつもりですが、残念ながらそうは至っていないのは、やはり見通しが甘かったということだと思います。》

 小宮山洋子の著書『私の政治の歩き方』には、岡田克也との対談も収録されてゐます。

《小宮山 ・・・・初めてマニフェストで「子ども手当」などを大きく打ち出したのが、岡田さんが代表のときだったんですよね。そのときに私が子ども政策の責任者をしていたので、一緒に作ったということなんです。岡田さんが、子どを大事に、政策の中にと思われたのは、どういうところから?》

《岡田 いや、小宮山さんが怖かったから(笑)》

 小宮山洋子が政界を去つてから、民主党内では配偶者控除をめぐる様相が一変し、配偶者控除廃止など口にする議員はゐなくなつたらしい。

 ところがここへきて、民主党の過激なジェンダーフリー大臣の衣鉢を継いで、配偶者控除を廃止してやらうと意欲を燃やす人物が現れてくれた。それが自民党の安倍晋三君なんですね、何度も言ひますが。

 実に不可思議な情景といはなくてはなりません。

 不可思議なといへば、民主党の厚生労働大臣小宮山洋子が、配偶者控除の廃止を持ち出した時、さんざん批判した自称保守の面々が、自民党の総理大臣安倍晋三が同じことを言つてゐるのに、批判するどころか、だんまりを決め込んでゐるのも、実に不可思議な情景です。
 
 旧社会党や民主党がやれば批判するのに、同じことを自民党がやると、頬冠りを決め込むといふ、頭の足りない自称保守の処世術的行動パターンは、今に始まつたことではありませんが。暗愚総理の精神分析のついでに、これから、自称保守の堕落的軟弱習性も分析してみようか。案外面白いかも。

      (この項続く)
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
トラックバック URL
トラックバック
プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ