●坊ちゃん保守総理のなれの果て


 安倍首相は「保守政治家」を自称してゐる。著書の『美しい国へ』(実はこの本、ゴーストライターがゐるらしいんだけれど)にも、自分のことを《「保守主義」、さらにいえば「開かれた保守主義」がわたしの立場である》と説明がある。

 自分の政治的意見、政治的立場を「保守」と考へる多くの国民も、安倍首相のことを保守政治家と考へてゐるはずだ。安倍首相は憲法改正を唱へているし、集団的自衛権の見直しにも着手したんだし、反日の中国や韓国に対しても少なくとも民主党政権よりは毅然とした態度をとつているし・・・・・。今、安倍内閣の支持率がジリジリと下がつてゐるけれど、安倍首相を「保守政治家」と信じて疑はない自称保守層が、安倍政権のかなりコアな支持層を形成してゐるのは間違ひないだらう。

 これに対して、「安倍首相つて、ホントに保守政治家なの?」といふ疑問を抱く人々も少なからず存在する。例へば「新潮45」8月号は、《安倍晋三は「偽装保守」である》といふ記事を載せてゐる。三橋貴明、適菜収ら3氏の鼎談で、安倍晋三は憲法改正とかいつてゐるけど、やつてることは、外国人労働者の流入促進だとか、「女性が輝く日本」とかいつて主婦を低賃金で働かせる政策の推進だとか、こんなことばかり主張する総理大臣の一体どこが「保守政治家」なのだ? 安倍総理は保守ではない、ただの親米、親米の「偽装保守」ではないかと斬つて捨ててゐる。

 御当人が自分のことを保守だと考へてゐるから、本当に保守だとは限らない。反日中韓のことしか興味がなく、中国や韓国への罵声をネットに書き込むことしか能のない所謂ネット右翼は、自分たちは保守と思つてゐるのかもしれないが、あんなのは保守でもなんでもない。安倍首相が自分を保守と考へてゐるなら、それは、ネット右翼が自分たちを保守と勘違ひしてゐるのと同じレベルの錯覚にすぎない。

 『美しい国へ』を読み直してみると、安倍さんの政治観といふのは、素朴な、中学生並の理解で、なるほど保守思想家や保守政治家の本など読んで影響を受けたなんて話は一切出てこないのもうなづける(書名がたつた一個所だけ出てくるが、それは『ジャパン・アズ・ナンバーワン』)。

 第二次安倍政権発足以来の安倍首相の言行をみてゐると、坊ちゃん保守がわずかにとどめてゐた保守のメッキさへ剥げてしまつたといふ気がする。政権維持のために株価を釣り上げることに血道を上げてゐるうちに、頭の中がだんだん株屋的になつてきて、保守のメッキがはげたことさへ気がつかない。といふより、そんなことはもう構つちやゐられないといつた風情。

 その坊ちゃん保守の成れの果てが、この選挙後に発足させるのが安倍新内閣といふわけで、戦後史上最悪の売国内閣にならなければ幸ひである。

 




 
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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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