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■自民党衆院選公約から消えてしまつた「日本の歴史と伝統の尊重」


 今の安倍自民党内閣の正体を知るには、今回の衆議院選挙と2年前の衆議院選挙における自民党の公約を読み比べてみるのが手つ取り早い。そのあまりの違ひに驚くばかりである。

 今回衆院選の自民党公約で強調されるのは次のやうなフレーズだ。

《日本の「稼ぐ力」を取り戻す》
《外国人人材が日本で活躍しやすい環境の整備》
《女性が輝く社会の実現》
《ローカル・アベノミクスの推進》

 ほとんど「日本再興戦略改訂版」の焼き直しみたいなものだ。

「日本再興戦略」なんていつても、有権者の99%は読んだこともなければその存在さへ知らないだらうが、アベノミクス第三の矢である「成長戦略」を検討してゐる政府の産業競争力会議がとりまとめた文書のことだ。

 昨年6月に「日本再興戦略」が作成され、ことし6月に「日本再興戦略改訂版2014」が発表されたが、この改訂版の内容たるやすさまじいものだ。

 グローバル化に対応するために、日本のあらゆる産業・社会体制を見直してゆくといふのが「成長戦略」の骨格で、要するに、「郵政省をぶつ壊せ」と叫んだあの小泉流構造改革を日本の全産業・全社会体制規模で引き起こすといふ遠大な構想なのだ。

 ヒト・カネ・モノが国境を越えて飛び交へるやうにする。そのためには外国人労働者もどんどん日本で働けるように規制を撤廃しなければならない。かうしたグローバル化のために国内の規制を取つ払つゆくことを産業競争力会議では「内なるグローバル化」と称してゐる。

 アベノミクス第三の矢「成長戦略」を単なる経済政策と思つてゐる選挙民はおめでたすぎる。

 では次に、2年前の衆議院選挙における自民党の公約を読んでみよう。平成24年12月の衆議院選挙は、同年9月の自民党総裁選挙で勝つた安倍氏が野党自民党の党首として臨んだ選挙である。

 この時の自民党公約を読んでみると、次のやうな文言が存在したことに気がつく。

《「教育を取り戻す」
・「人づくりは国づくり」。日本の将来を担う子供たちは、国の一番の宝です。自民党は、世界トップレベルの学力、規範意識、そして歴史や文化を尊重する態度を育むために「教育再生」を実行します。
・子供たちが日本の伝統文化に誇りを持てる内容の教科書で学べるよう、教科書検定基準を抜本的に改善し、あわせて近隣諸国条項も見直します。》

 ここに出てくる日本の歴史や文化の尊重といふ文言は、明らかにそれまでの自民党の主張にも、また安倍氏のそれまでの主張にも沿つたものだつた。

 これは公約の「教育再生」といふ項目の冒頭に掲げられた文章で、「教育再生」の項は「経済再生」の次に位置づけられ、当時の安倍自民党にとつて教育は重要なテーマだつたことが分かる。

  それでは、今回の衆院選の自民党公約で、教育に関するくだりを読んでみよう。

 アレ、をかしいな。ない。見当たらない。なにが見当たらないつて? 「日本の歴史や文化の尊重」といふ文言がないのだ。自民党の公約から、「日本の歴史や文化の尊重」が消えてしまつた! 

 これは一体なにを物語るのか?

 (この項続く)
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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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