●「戦後70年談話」などやめてしまへ(9)

 
 北岡伸一「侵略」発言は安倍官邸公認のパフォーマンスである


 ハッタリ学者によるパフォーマンス―戦後70年談話を検討する有識者会議(「21世紀構想懇談会」)座長代理・北岡伸一による「侵略」発言騒動を眺めてゐると、そんな印象を受ける。このパフォーマンス、なかなか手が込んでゐて、一見その場の放言のやうにみせながら、実はこれ安倍官邸公認のパフォーマンスなんですな。

 北岡がパフォーマンス発言を披露したのは、講師として出席した3月9日のシンポジウム。

「私は安倍さんに、日本は侵略した、と言つてほしい」
と大上段に振りかぶり、
《日本全体としては侵略して、悪い戦争をして、たくさんの中国人を殺して、誠に申し訳ないといふことは、日本の歴史研究者に聞けば99%さう言ふと思ふ》
《日本は侵略戦争をした。とてもひどいことをした。明らかです》
と、日本悪玉史観の見本みたいな言辞を述べ立てた。

 北岡発言を知つた愚民保守(ネットウヨクを含む)から早速、
「なんでこんな自虐史観の持ち主を有識者会議に入れたんだ」
「座長代理を罷免しろ」
と非難囂々。

 しかし、シンポジウムでの北岡発言がその場限りの放言なんかでなかつたことは、その4日後に開かれた21世紀構想懇談会の第2回会合において明らかになる。

 会議の冒頭、日本近現代史の講師役として登場したのが、他ならぬ北岡・座長代理。北岡はレジメをもとに、日本の戦争について長々と講釈をたれ、日中戦争のくだりでは「当時の価値観からみてもこれは侵略であつた」と日本悪玉史観を堂々と開陳した。

 会議は、北岡講釈を土台にして意見が交換される仕組みになつてゐて、懇談会とは名ばかりの事実上の北岡教室。座長はお飾りだから、会議を仕切つてゐるのは事実上北岡・座長代理。

 どうしてこのやうな自虐史観の持ち主に有識者会議をリードさせてゐるのか? 安倍官邸にとつて都合がいいからである。愚民保守たちは夢にも思はないだらうが、一連の北岡発言は、官邸の「想定内」といふより、官邸との暗黙の了解の下になされてゐる。

 戦後70年談話作成にあたつての北岡・座長代理の役回りは、いつてみれば「ガス抜き」みたいなものだ。安倍首相が有識者会議にオトモダチばかり集めて、自分に都合のいい談話をつくらうといるといふ内外からの批判に対するガス抜き。

 北岡伸一といふ人物は、権力寄生虫的ハッタリ学者である。頭のよくない政治家を内心馬鹿にしながら、政治家への媚びを忘れず、時の政権が喜びさうな三百代言をいくらでも提供してやり、政治権力に関はることに快感と生きがひを覚える権力寄生虫学者。

 この権力寄生虫的ハッタリ学者と安倍首相の関係を考察してみると、北岡パフォーマンス発言のカラクリが手にとるやうにみえてくる。

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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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