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●安倍談話の「侵略」明記はナベツネの圧力か?
 


 週刊新潮8月27日号は《「70年談話がぬえになった「安倍内閣」の焦燥》《安倍総理を委縮させた大新聞の圧力》といふ特集記事を掲載してゐる。

 筋書だけ解説すると、戦後レジームからの脱却を掲げてきた安倍首相の戦後70年談話が、蓋をあけてみたら村山談話・小泉談話に呪縛された内容になつてゐた。その最大の理由は、読売新聞の圧力にあつたといふものだ。

 21世紀構想懇談会を実質的に取り仕切つた北岡伸一座長は読売新聞の渡辺恒雄会長と非常に近く、「私は日本は侵略したと思つてゐる。安倍総理にも侵略と言つてほしい」などといふ一連の北岡発言は渡辺会長の意を受けた発言で、首相周辺には「これはナベツネ談話」「政権としても抵抗のしようがない」と北岡の主張を受け入れるしかないといふ空気が生まれた。

 読売新聞は4月以来、《戦後70年談話、首相は「侵略」を避けたいのか》と社説で「侵略」明言を迫るなど、談話に「「侵略」を盛り込むことを繰り返し紙面で要求してきた。その主張は6回に及び、朝日、毎日の4回を上回る。安倍首相も「村山談話と同じになるのであれば、新たに談話を出す必要はない」などと抵抗してゐたが、3人の憲法学者が「集団的自衛権は意見」と明言した直後から支持率が急降下し、安保法案の成立が危ぶまれる事態に陥つた。このタイミングで渡辺会長から安倍首相に「読売グループが法案の成立に紙面で協力する代はりに侵略といふ文言を談話に盛り込む」といふ交換条件がもたらされた。

 かくて安保法案は7月16日に衆議院を通過し、談話の原案は4日後の20日頃に完成。そこには「侵略」を含む4点セットがすべて盛り込まれてゐた――。安倍首相が読売ナベツネ帝王の軍門に下つたというストーリーである。

 たしかに、読売の「侵略」入れろキャンペーンは尋常ではなく、安倍談話を報じる8月15日の朝刊など、1面、2面、3面、4面、さらに8面、9面、10面までブチ抜いて関連記事を満載。
《首相「反省とおわび」継承》
《「侵略」「植民地」も言及》
《新たに「悔悟」を明記》
《村山・小泉談話は継承》
《侵略 首相明確に認める》
といふ見出しだけ見ても、この新聞の欣喜雀躍ぶりがみてとれる。

 新潮の記事によると、元共産党員であるナベツネがお里を丸出しにして、安倍談話に「侵略」を明記させろと大本営大号令を社内に発したといふとことになつてゐる。

 とても分かりやすいストーリーである。話としては面白いし、ナベツネが社内に大号令を発して安倍首相に圧力をかけようとしたのも事実かもしれない。しかし、ナベツネの圧力だけで安倍談話に4点セットが盛り込まれたとはとても思へない。

 21世紀懇の北岡座長代理とナベツネとの関係にしても、第一、有識者会議を発足させたのは安倍首相なのだし、その運営を事実上北岡に委ねたのも安倍首相である。北岡を日中歴史共同研究の日本側トップに指名したのも安倍首相で、北岡は日中歴史共同研究の報告書にも「侵略」を明記してゐるのだから、彼の侵略史観は安倍首相も重々承知の上で21世紀懇の座長代理に起用したとしか考へられない。

 21世紀懇の議論がスタートする前、北岡が「安倍首相にも侵略と言つてほしい」とある民間会合で語つた時には、世耕官房副長官も同席してゐた。世耕は安倍の側近中の側近である。21世紀懇における北岡の「侵略」路線は明らかに安倍官邸公認のもので、最終報告書に「侵略」が盛り込まれることも安倍官邸の想定内だつた。

 安倍談話が出た翌日の読売朝刊が、21世紀懇・北岡座長代理のコメントを載せてゐる。

「(安倍首相が)どの程度、報告書の内容を受け入れてくれるか、若干の不安はあった。しかし、結果は期待以上に踏み込んだものだった。」

 侵略史観に凝り固まつた北岡が安倍談話を「期待以上」と評価した。これは何を意味するか?

(この項続く)





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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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