■夫婦別姓のカラクリ(8)

 「女性の再婚禁止期間」違憲判決の珍奇な説明
技術的問題にすぎない規定を「違憲審判」のギロチン台にのせた最高裁



 最高裁が12月16日に出した「女性の再婚禁止期間」の違憲判決の全文を読むに及んで(最高裁は判決の翌日ホームページに全文を掲載した)、私は日本の司法機関として最高裁より上級の裁判所の必要性を痛感した。

 珍論と詭弁、没論理。最高裁にとつて「女性の再婚禁止期間」上告審は、まづ「違憲」ありきで、「違憲」をそれらしく見せるための辻褄あわせが最高裁判決の正体だ。最高裁を蝕む病巣と低レベル化はまさに深刻な状況にある。

 最高裁「違憲」判決のボロと珍論は至るところに露見する。

 珍論の最たるものは、再婚禁止期間100日超の部分が一体いつから「違憲」になつたのかについての最高裁の説明だらう。

《以上を総合すると、本件規定のうち100日超過部分は、遅くとも上告人が前婚を解消した日から100日を経過した時点までには、婚姻及び家族に関する事項について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものとして、その立法目的との関連において合理性を欠くものになっていたと解される。》

 100日超過の部分は、「遅くとも上告人が前婚を解消した日から100日を経過した時点までには」合理性を欠くものとなつてゐた、つまり「違憲」になつてゐたといふ珍論。

 原告が前婚を解消した日とは平成20年3月である。そこから100日を経過した時点では、再婚禁止期間の残存部分、つまり80日分が既に違憲状態になつてゐたらしいのだ。

 「上告人の事案が発生した時点で既に合理性を欠くものとなつてゐた」ですむところを、わざわざこんな持つて回つたいい方をするのは、100日超の部分が違憲であると言つた手前、100日超がいつから違憲になつたかをもつともらしく説明しなければならないからである。

 離婚した女性は6カ月間再婚できないとする民法第750条の規定は、婚姻の自由と、772条の父性の推定規定との調整を図るための技術的な問題にすぎない。本来技術的な問題にすぎない再婚禁止期間の問題を物々しく違憲審判のギロチン台に乗せて、100日までは合憲、100日超は違憲、と截然と切り分けてしまつたので、違憲となつたのは「遅くとも上告人が前婚を解消した日から100日を経過した時点までには」などといふ珍論が大真面目に最高裁判決文に登場することになる。ほとんど言葉の遊びに近い。こんな文言を判決に入れるのは最高裁の恥だと主張した判事は一人もゐなかつたらしい。

 何も知らない人がこの文章を読んだら、法律の条文が合憲か違憲かといふ問題は一日刻みで変化すると勘違ひするかもしれない。

 国民各位には、どうか我が国司法最高機関の知能レベルに是非とも思ひを致していただきたい。
 
 悲しいかな、今の最高裁判事たちには、法律の知識はあるかもしれないが、常識が決定的に欠けてゐる。この場合の常識とは、国民一般の普通の感覚といふ意味であるa


 (この項続く)
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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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