■安倍晋三は売国奴か?(4)


 河野談話を完璧に引き写した日韓合意声明




 平成5年に出された河野内閣官房長官談話、いはゆる河野談話とは次のやうなものである。

《いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。 》

 下線を引いた部分が、河野談話の核心である。ここにいふ「軍の関与の下に」とは、強制連行を含む意味として使はれてゐることは説明するまでもない。

 さて、日韓合意声明における最も重要な部分は次のくだりである。

《慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。》

 下線部によく目をとめていだだきたい。河野談話の下線部分と文言が完全に一致してゐることが分かると思ふ。

 河野談話にある「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」といふ部分を外務省は次のやうに英訳してゐる。(外務省ホームページ「慰安婦問題に対する日本政府のこれまでの施策」)

《 with the involvement of the military authorities of the day, a grave affront to the honor and dignity of a large number of women, 》


 日韓合意声明における「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」といふ部分の英訳は次の通りだ。

《The issue of comfort women, with an involvement of the Japanese military authorities at that time, was a grave affront to the honor and dignity of large numbers of women, 》

 河野談話と日韓合意声明で一番核心の部分が、日本文もまつたく同じなら、英訳文までまつたく同一。

 なんのことはない。慰安婦強制連行をデッチ上げた河野談話の核心部分をそつくりそのまま拝借したのが日韓合意声明だつたといふわけだ。

 つまり、日韓合意声明において日本政府は、河野談話の見解と我々の見解はまつたく同じなんですよといふ破廉恥極まりないメッセージを世界に向けて発信したことになる。日韓合意声明とは河野談話の正当化以外の何物でもない。河野洋平が欣喜するわけである。

 (この項続く)



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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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