■お世継ぎ御誕生を無視した宮内庁長官退任会見の不敬

 これ、もしかしたら日本の歴史に残る記者会見かもしれないな。そんな思ひを抱かされたのが羽毛田宮内庁長官の退任の記者会見だつた。

 長官在任七年間の思ひ出を聞かれて、「悠仁親王殿下の御誕生でした」と答へてくれるかと思つたら、悠仁親王のヒの字も出てこない。天皇皇室の万般を統括する宮内庁長官が、その在任中(就任二年目)に皇室のお世継ぎが誕生されたといふのに、そのことにまつたく言及しないとは。これはもうほとんど不敬と呼んでいい事態ではないのか? 

 皇位継承問題に関しては、記者から、「皇統問題などで天皇陛下に今でも心労はあると感じるか」と聞かれ、「解決されたとは必ずしも言へない」と答へたのみ(らしい。会見全文まだ入手してないので)。

 もしかして、記者から「在任中、一番残念だつたことはなんでした?」と聞かれたら、「悠仁親王の御誕生」と答へたかもしれないな。(笑) 

 これはまあ冗談だが、悠仁親王殿下の御誕生が羽毛田長官のトラウマになつてゐることは間違ひあるまい。皇室典範改悪の姦計が秋篠宮妃御懐妊によつて暗礁に乗り上げたのみか、御懐妊の事実を天皇秋篠宮から最後まで秘されたといふ屈辱。

 このトラウマが、彼のその後の皇太子攻撃の伏線になつてゐることは前に書いたから繰り返さない。

 羽毛田長官の退任会見の「異常ぶり」を知るために、彼の前任である湯浅利夫長官の退任会見と読み比べてみるのもいいかもしれない。

 平成十七年四月一日、湯浅長官は退任にあたつて概略、以下のやうに語つたと報じられてゐる。

《自分を含めて過去三代の長官は、お世継ぎ問題を考へて、東宮夫妻の海外訪問を抑制した》

《(皇太子の「人格否定」会見に関連し)東宮にはどうか機会をお作りになり、天皇皇后両陛下との意思疎通をおはかりいただけるやうに》

《(東宮妃について)お元気な姿をお祈り申し上げたい。皇室のお世継ぎの問題は誠に重いものだつた。東宮・東宮妃のお気持ちに沿ひ切れぬことがあつたのは心苦しい》

《両殿下の公式外国訪問は格が高く、早い決定が必要。先任者も、妃殿下の御懐妊への期待の中で、おのずと慎重にならざるを得なかつた。決定から訪問までの準備期間としてせめて半年くらいは猶予期間をいただきたい》

《秋篠宮御夫妻に三人目のご出産を強く希望したいと語つたことは、皇位継承者が少なくなつてゐる現状を憂うるあまりに、強く希望したことが論議を呼んでしまひ、誠に申し訳なかつた》

 ほとんど、東宮のお世継ぎ問題に終始してゐる。それにしても率直に語つたものである。

 湯浅長官の発言(三人目のご出産を希望など)には当時さまざまな批判があつたが、今、この会見を読んで思ふことは、湯浅氏は至極真つ当な宮内庁長官だつといふことだ。宮内庁長官の責にある人間が皇室のお世継ぎの心配をするのは当然ではないのか。

 はつきりしてゐるのは、湯浅長官は秋篠宮家の男子誕生を望んでゐたといふことであり、その後任の宮内庁長官は秋篠宮家の男子誕生を望んでゐなかつたといふことである。どちらが天皇の意に沿うてゐたかは説明するまでもあるまい。















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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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