■ホームページから消えた<出生率1の場合>
 皇室典範有識者会議報告書の小細工

 前回の記事の続き。

 皇室典範有識者会議報告書の基本構造は単純そのもので、少子化の進展によつて男系男子の皇統は遠からず途絶える、対して女系天皇を導入すれば皇位が「安定」するといふものだ。

 有識者会議のメンバーたちは、女系天皇導入時の「安定」の中身をごまかすために、報告書の中に様々な小細工を弄した。ここでは極め付きの小細工を紹介しよう。
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 下の〔参考15〕「仮定に基づく出生数の試算」といふ表は、現在、皇室典範有識者会議のホームページに掲載されてゐる報告書に添付されてゐる表だ。
002+-+繧ウ繝斐・_convert_20120616214803

 左側が《現世代を5人と仮定した場合に誕生する女性・女系を含めた子孫の数(試算)》、右側が《現世代を5人(男性)と仮定した場合に誕生する男系男子の数(平均的な値》である。

 さて、次にこちらの表を見ていただきたい。
001+-+繧ウ繝斐・_convert_20120616214703
 この表は、平成17年7月26日に開催された皇室典範有識者会議の第10回会議に提出された資料である。当時、私が有識者会議のホームページに掲載されたものをダウンロードして保存しておいたものだ。

 この「平成17年版資料」と、現在のホームページに掲載されてゐる〔参考15〕を、よく見比べていただきたい。どこが違ふか?

 出生率が違ふことが分かると思ふ。

 現在の〔参考15〕といふ表には、

 <出生率1.29の場合>
 <出生率1.5の場合>
 <出生率2の場合>

 と3通りの数字が使はれてゐる。

 一方、「平成17年版資料」には、

 <出生率2の場合>
 <出生率1の場合>
 <出生率1.29の場合>

 といふ3通りの数字が使はれてゐる。

 驚くなかれ、「平成17年版資料」には、<出生率1の場合>といふとんでもない数字が掲載されてゐたのだ。しかし現在のホームページの表では、<出生率1の場合>が<出生率1.5の場合>に差し替へられてゐる。

 <出生率1>とは、女性が一生の間に生む子供の平均がたつた1人といふことだ。<出生率1>の国家は現代の世界に存在せず、もしあればその国は近い将来地上から消滅する。要するに<出生率1>はありえない数字なのだ。

 なぜ有識者会議のフェミニストたちは、<出生率1>のやうなありえない数字を持ち出したのか? <出生率1.29>といふ数字を使ひたかつたからである。<出生率1.29>はほぼ最低ラインの数字なのだが、それをごまかすために、<出生率1>といふ数字も掲げて、「もつと低い数字があるんですよ」と錯覚させようといふトリックだ。

 なるべく低い出生率を使ふといふのは、男系男子制度の暗黒の未来を暗示するのに効果的だし、一方で、女系天皇導入時の皇族の爆発的増加をごまかす効果も期待できる。

 有識者会議の終了とともに、<出生率1>の果たした役割も終はつたので、姑息にも<出生率1>を<出生率1.5>に差し替へて、なに食はぬ顔をしてゐる。有識者会議には、この程度のことはやりかねない顔ぶれが揃つてゐる。皇室と国民をたぶらかす詐欺師集団と呼ぶべきである。

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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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