■英王室にはなぜ王位継承資格者が5000人も存在するのか?

 皇室典範有識者会議報告書には「安定」「安定化」といふ言葉が35回も登場する。
 
 ×少子化→男系男子継承→皇位不安定→皇位消滅
 ◎少子化→女系天皇→皇位安定

 報告書はこのやうに、女系天皇さえ採用すれば皇位が「安定」するとしきりに強調する。本来、皇統の男系男子継承を主張する人たちも、かうしたフェミニストの宣伝に乗せられ、皇室はこのままいけば大変だ大変だ、としきりに唱和してゐるといふのが昨今の状況だらう。

 ところで、世界の王室で王位継承制度が一番「安定」してゐるのはどの国なのだらうか?

 答へは、イギリスである。王位継承資格者がなんと4973人!

 王位継承順位ビリ、つまり4973位の人はドイツ人で、ハノーバー家のソフィア王女の末裔といふオバサンださうだ。王位継承資格者が五千人もいれば、誕生結婚死亡その他で毎年おびだたしく異動があるわけだが、英王室がいちいちフォローし切れるわけがない。だからこの王位継承者4973人といふのは、研究者が調べた数字である。

 これが王位継承問題が世界一「安定」してゐる英王室の実態だ。安定も不安定もない。この国にはそもそも王位継承問題など存在しない。

 イギリスでどうしてこれほど王位継承資格者が増大したかといふと、言ふまでもなく、女子・女系にも王位継承を認めてきたからである。

 さらに歴代国王が他国の王室・名族との婚姻を繰り返してきた結果、諸国の王室などにもイギリスの王位継承者が多数存在するやうになつてきた。ノルウェー・ハーラル5世国王( 第67位)、スウェーデン・カール16世グスタフ国王( 第202位)、デンマーク・マルグレーテ2世女王( 第231位)などはその一例にすぎない。

 女子が王位を継承して、諸国の王族らと結婚すると、その子の代に王朝の交替が起きる。イギリス王室の歴史は王朝交替の歴史でもある。

 我が国は皇位継承において「他姓を交へず」の伝統を堅持してきた。女性皇族が「姓」を有する男性と婚姻して皇位を継ぐことはありえない。皇統は皇統譜に搭載されてゐる皇族しか継承できない。他方、イギリスのやうに、王位継承者が他姓・外国姓に満ちてゐる国もある。

 どちらが好ましいとか、すぐれてゐるとかといふ話ではない。

 ただ、本邦においては、他姓を交へたらその時点で皇統は断絶すると考へられてきたことは間違ひない。

 我が国の皇室の伝統には、どこかのフツーのオバサンが皇位継承権を持つて存在するといふことはありえないのである。

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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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