■女性皇族の「称号保有」といふワナ ①

 「称号保有」制度の終局目標は女系天皇


 政府が①「女性宮家」の創設②結婚した女性皇族による内親王などの尊称保持-の2案を軸に検討する方針を固めたといふ記事を時事通信が7月5日に配信し、毎日新聞がその2日後に「2案併記する方針」といふ後追ひ的な記事を書いてゐる。

 政府部内のフェミニズム勢力がいよいよその正体を現し始めたといふべきか。

 2案併記といふのはカムフラージュで、政府部内の女系勢力が現在狙つてゐるのは、実は「女性宮家」の創設ではなくて、女性皇族による内親王などの「称号」保有の方なのである。

 かれらは反対論が噴出した「女性宮家創設」で強硬突破するのは難しいと判断し、ひそかに「称号保有」作戦の方に戦略転換を図つたのだ。有識者ヒアリングをスタートさせた時点では、既にこの戦略転換は決まつてゐたかもしれない。

 女性皇族の「称号保有」といふのは、政府部内女系勢力が国民に向けて仕掛けた壮大なワナと言へる。女系天皇には反対だが、女性皇族が内親王女王といふ称号を保有するだけなら大した問題はない、と多くの国民は考へるだらう。そこにかれらの狙ひ目がある。

 女系勢力が女性皇族の「称号保有」制度創設で狙つてゐることはただひとつ、将来の女系天皇擁立に向けて道筋をつけることである。かれらは女系天皇擁立をあきらめてなどゐない。

 今、女性皇族の「称号保有」制定を画策するフェミニズム勢力の最大の狙ひは何か?

 それは、皇籍離脱した旧皇族男子の皇籍復帰の可能性を完全消滅させること、にほかならない。

 「称号保有」が制度化されれば、多くの女性皇族が内親王・女王といふ称号を保有したままそれぞれ80歳、90歳まで皇室活動を続ける。やがて次世代、次次世代の称号保有者も出現してくるだらう。天皇を取り巻くのは内親王女王ばかりになつてしまへば、これらの称号保有者に皇位継承権を与へる流れにおのずと向かつてゆく―とかれらは読んでゐる。

 2案併記といふのは、一種の陽動作戦である。「女性宮家創設」の方に警戒の目を向けさせておいて、警戒の甘い「称号保有」の方に誘導するといふ陽動作戦なのだ。

 ①「女性宮家」の創設②結婚した女性皇族による内親王などの尊称保持-と2案併記すると、皇室典範改正はどうしてもやらなければならない緊急課題のやうに思ひこませることができる。そして、どちらかの案を選ばなければならないやうに思はせることができる。さらに、称号保有案をより穏健案として印象づけることができる。実に巧妙な詐術なのだ。皇室典範など今急いで手をつける必要などまつたくないといふのに。

 現に、有識者ヒアリングでも、この陽動作戦にひつかかつて、「女性宮家には反対だが、称号保有なら構はない」と、称号保有に賛意を表明した、あるひは表明させられた、反女系派の「有識者」も少なくない。

 今、政府部内では内閣府・男女共同参画局をはじめとするフェミニズム勢力が皇室典範改悪に向けて総力をあげて動いてゐる。そのことに無知な「有識者」があまりにも多すぎる。

 (この項続く)










 
 
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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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