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■女性皇族の「称号保有」といふワナ ②

 園部一派のワナにはまる愚か者たち

 前回書いた複数案を併記する陽動作戦といふのは、政府部内フェミニズム勢力がよく使ふ手で、例へば、法務省のフェミ一派が夫婦別姓問題の時に使つた手口がこれだつた。園部一派の今後の策動を見抜く上で参考になると思ふので、簡単に説明しよう。

 夫婦別姓法制化を目論む法務省は平成6年に「民法改正要綱試案」といふ文書を出した。この中に、夫婦の姓氏制度の選択肢として示してきたのが次の3案だつた。

 A 選択的別姓
 B 原則別姓
 C 同姓が原則、旧姓を戸籍法で呼称とする

 B案はなんと「原則別姓」。つまり、結婚しても特別な手続きをしなければ夫婦は別々の姓になるといふとんでもない制度がこれ。大半の国民が現在の夫婦同姓制度に満足してゐるといふのに、姓氏制度の選択肢に中に、原則別姓を盛り込んでくるといふ神経。原則別姓といふ考へ方もあるのよ、それにくらべたら、選択的別姓なんて穏健なもの。つまり、選択的別姓を、原則別姓と原則同姓の中間に位置する穏健案のやうに錯覚させるトリックだ。

 世論調査なんかやるとこの詐術が結構効果があるから、フェミ一派は好んでこの手を使ふのだ。

 そこで、皇室典範に話を戻すと、フェミ一派が今、画策してゐるのは女性宮家創設と称号保有の併記案だが、かれらは状況次第でいくらでも作戦を変へてくるはずだ。

 複数案併記でも、例へば、
 ①女性宮家創設
 ②称号保有A案
 ③称号保有B案
 にするとか。

 提示案を増やせば増やすほど、どれかを選ばなければいけないと錯覚させる効果がある―とかれらはよく心得てゐるのだ。

 ***************

 園部一派らは今、有識者ヒアリングなるものを実施してゐるが、ここではひそかに「称号保有」制度化に向けた工作が行はれてゐる。

 ヒアリングにはもちろん女系天皇派(今谷明、小田部雄次、笠原英彦、田原総一朗等)を多数登場させてゐるが、園部一派にとつて利用価値があるのは、女系天皇・女性宮家派ではなく、反女系天皇・反女性宮家派の方なのだ。反女性宮家派をひそかに「称号保有」賛成派に誘導する―これが有識者ヒアリングの基本戦略と言つていい。

 そんな園部一派のワナに見事にはまつてしまつた一例が、第三回ヒアリング(4月10日)に登場した百地章氏だらう。
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koushitsu/dai3/gijiroku.pdf 
 百地氏が展開した女性宮家反対論、旧皇族復帰論はいいとしよう。問題は《女性皇族が皇籍離脱後も公的な立場で活動され、陛下をお支えするために》として述べた「称号保有」論である。

 「称号保有」について百地氏はかう説明してゐる。

《女性皇族については、婚姻による皇籍離脱後も、特例として「内親王」、「女王」の尊称を認め、直接、陛下を公的にお支えするシステムを構築すべきではないでしょうか。》

《そこで内親王や女王が結婚された後も、内親王や女王の称号を用いて、陛下のおそばで公的に御公務をお支えできるよう、皇室典範を改正するという方法が考えられます。》

 その後の質疑でも、百地氏は称号保有についてまたペラペラと答へてゐる。

《○齋藤副長官 皇族が皇籍離脱後も公的な立場で活動されるということで事例をお示しいただきました。そして、御結婚された場合、呼称も含めまして、内親王、女王という御説明ですけれども、そこはあくまでも配偶者は全く別であると。そこまでは御説明がございませんけれども。

○百地氏 もちろん、民間の方ですから、配偶者は別です。具体例を申し上げたら大変恐縮でございますが、わかりやすく申し上げますと、黒田清子様ですね。お名前はまさに黒田様の夫人でいらっしゃることは間違いない。一方で尊称をお与えして、これもあくまでも仮定でありますが、内親王黒田清子様、あるいは殿下ということになれば、明らかに皇族ではない。黒田という姓をお持ちですから。しかし、一方で、内親王でいらした方だと。そして現在も内親王の称号を持っておられる方だということで区別ができる。対外的にも、例えばプリンセスということではっきりお立場が示されますから、皇室とゆかりのある方だということがよくわかる。しかし、身分上は民間の方だということもそこで明らかになりますから、例えばそういうことが考えられるのではないか。

○原室長 女性皇族になさっていただく公的活動というのは、あくまでも単独でできる程度の活動と理解をするということですか。

○百地氏 そうです。ただ、そのためにも尊称をお与えする以上は、それなりの御配慮をしなければいけないということで、例えば品位を保持するために経済的な支援も必要でしょうし、住まいにしても配慮が必要でありましょう。あるいは宮務官といった方々が何らかの補佐をしてあげるということも必要だろうと思います。》

 百地氏は「『次世代への先送り論』に対する疑問」といふことも述べてゐる。

《渡邉允前侍従長は、1日も早く女性宮家を創設すべきであるとする一方で、皇位継承問題については「将来の世代が、その時の状況に応じて決めるべき問題である」とされていますが、これも疑問です。渡邉氏のこの発言が、皇室と陛下のことを思われた上でのものであろうことは疑いませ
んが、女性宮家が女系皇族の容認につながり、さらに女系天皇への道を開くものであることを考えるならば、やはり反対せざるを得ません。それに、もし女性宮家にお子様が誕生した場合、国民感情として、やはり皇位継承権を与えるべきだといった流れになるであろうことは、想像に難くありません。また、皇位継承権を認めないのは差別だなどと言い出す者が必ず出てくるでしょう。それゆえ、次世代への先送り案は非常に危険であって、容認できません。》

 「『次世代への先送り論』に対する疑問」に対しても、質疑の中でこんなやりとりがあつた。

《○竹歳副長官 渡邉前侍従長の発言に関して、次世代への先送り論は非常に危険という御所見でしたが、実はいわゆる「女性宮家」に反対する立場の方が、悠仁親王がお生まれになったのだから、この後、50~60 年の間は皇位継承権の問題は生じないと。したがって、この議論を先送りしてもいいではないかというような、別の立場からの先送り論があったのですが、先生のお考えだと制度の問題であるから、次世代へ先送りしないで、例えば今の尊称の問題とか、さらに抜本的解決とおっしゃった旧宮家の皇籍復帰とか、そういう手を今、直ちに打つべきだというようなお考えになるでしょうか。

○百地氏 2つの問題があると思います。要するに、今すぐにすべきかどうかという点ですが、もちろん、尊称とか、そういったことは今すぐにでもすべきだし、できることだと思いますので、是非お願いしたい。同時にやはり抜本的な解決策も着手していただきたいと思っております。このままでは決して楽観を許しませんので。次に、女系容認派による先送り案に対する疑問を述べましたのは、渡邉さんがそうかは知りませんが、女系を容認する方々が一度にそこまでするのは難しいので、とりあえず女性宮家をつくって既成事実化してしまえば、あとは日本人の国民性からしても、そのときは必ずお子様もということになるだろうしといった見方もありまして、私も多分そういうふうに流れるだろうと思っています。

したがって、女系推進派は逆にそれをうまく利用しようとして、とりあえず女性宮家をつくってしまえば、後はどうにでもなると考えている節があると。私は別に性悪説に立つわけではありませんが、そういうことを心配しております。したがって、先送りに対しては反対の立場です。》

 百地氏は知らず知らずのうちに敵の術中にはまつてゐるのに気づかない。

「敵」が利用しようとしてゐるのは、百地氏の尊称論と先送り反対論のみである。

 旧宮家の皇籍復帰といふ「抜本的な解決策」に着手してほしいと述べながら、「尊称とか、そういつたことは今すぐにでもすべき」などと不用意なことをしやべる愚かさ。「敵」が旧宮家の皇籍復帰をつぶすために「称号保有」案を画策してゐることにどうして気がつかないのだらう。

 百地氏はかう述べてゐる、「とりあえず女性宮家をつくってしまえば、後はどうにでもなると考えている節があると」。

 この言葉はたしかに一年前なら正しかつた。しかし、今は違ふ。百地氏に教えて差し上げよう。かれらは「とりあへず称号保有制度をつくつてしまへば、後はどうにでもなると考へてゐる」のである。

(この項続く)


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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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