◆《婚外子》はフェミニズムの闘争用語である
◆何も知らず《婚外子》を使ふおバカさんたち

 最高裁が破廉恥決定を出した後、マスコミには《婚外子の相続差別は違憲》だとか盛んに《婚外子》の文字が踊つた。

 マスコミの無知はひとまずおくとして、最高裁破廉恥決定を批判する輩まで《婚外子》といふ言葉を平気で使つてゐる奇怪さにギョッとする。この連中、《婚外子》がフェミニズムの闘争用語だつてことさへ知らないのかね。

《婚外子》といふ言葉は、次の英語を直訳したものだ。

 child born outside of marriage

 child born out of wedlock

 コンガイシといふ聞きなれぬ言葉を振りまき始めたのは、1970年代のウーマンリブ運動の残党の活動家たちだ。

 この残党たちがつくつた先鋭的な団体に《婚差会=婚外子差別と闘う会》といふのがあるが、この会の英訳は次のごとし。

 Group to Fight Discrimination against Children Born outside of Marrige

 《嫡出でない子》すなはち《非嫡出子》は、英語で次のやうにいふ。

 illegitimate child 

 フェミニストどもは、この《illegitimate child》を《正統でない子》と翻訳する。

 《嫡出》には《正統》という意味があるから、《嫡出でない子》は《正統でない子》となり、差別的であるとフェミニストどもは叫び始めた。かくて、フェミニズムの辞典から《嫡出子》《非嫡出子》は追放され、《非嫡出子》を《婚外子》に置き換へる運動が展開されて40年。ボンクラ保守の頭の中にまで《婚内子》といふフェミ用語が浸透してしまつたといふ次第。
 
 《婚外子》に対応するのが《婚内子》といふ言葉である。

 これも英語の、child born in marriage の直訳だ。

 で、フェミニズム闘争の終局目標とは、この《婚内子》を《婚外子》と等価にすることにほかならない。

 事実婚の子供、非婚の子供、同棲カップルの子供、ゲイカップルの子供、シングルマザーの子供、これらを《婚内子》と等価にするのはどうすればよいか? 《婚内子》の持つ《権利》を剥奪すればよい。さうすれば、《婚外子》と《婚内子》の等価は実現する。《婚外子相続格差規定最高裁判決》の本質とは、《婚内子》の《権利》の《剥奪》なのだ。

 それでは、お前はなぜ、このブログでそんなに批判する《婚外子》といふ言葉を使ふのかと批判されさうだが、答へは簡単である。ネットで上位に検索されるためである。

 この問題をネットで調べようとする人たちの多くは《婚外子》で検索にかける。《非嫡出子》で検索するのは少数派だらう。ネットで読んでもらふには、記事及び見出しに《婚外子》を入れざるを得ないのだ。

 《婚外子》闘争を撲滅するために《婚外子》を使はざるを得ないといふこの矛盾!

 といふわけで当ブログが《婚外子》を頻発させるのは戦術にすぎないので、言葉の沿革を知らずに《婚外子》といふ表現を使つてゐる保守のおバカさんたちとはくれぐれも一緒にしないやうに。

 さういへば、ドメスティック・バイオレンスがフェミニズム用語だつていことを知らずに、DV、DVと言ひ立てて、DV法の改悪(DV法は数年おきに見直される)にチカラを貸してゐる保守の一派もあつたつけ。
 




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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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