◆「一票の格差」違憲無効訴訟ゴッコ(その一)

 ―政治ショーを利用した最高裁「婚外子」違憲判決―

 「一票の格差」をめぐる最高裁判決といふのは、仕掛け人である弁護士グループと、最高裁による出来レースであり、一種の政治ショーと化してゐる。

 升永英俊を中心とする弁護士らが展開する「一人一票実現国民会議」には巨額の資金が投入され、国政選挙の違憲判決を勝ち取ることによつて、国政を左右をすることを狙つてゐる。

 升永らにとつて、最高裁判決に「違憲」といふ言葉が出てくれば、目的は達せられる。「違憲状態」など言葉の遊びにすぎない。最高裁が衆院選の違憲・無効判決など出せるわけもないから、「違憲状態」判決は弁護士グループにとつて実質勝利といつてよい。

 一方の最高裁にとつては、「一票の格差」無効訴訟は、最高裁として「違憲」判決を出せる数少ないチャンスなのである。最高裁はこれを利用して、他の違憲訴訟においても「違憲」判決を出す機会をたへずうかがつてきた。

 最高裁が九月に出した「婚外子」をめぐる民法第九百条の違憲判決と、今回の最高裁が出した衆院選「違憲状態」判決は、実は深く結びついてゐる。

 最高裁が「婚外子」違憲判決を出したのが九月四日。衆院選「違憲状態」判決を出したのが十一月二十日。最高裁が「婚外子」違憲判決を衆院選「違憲状態」判決の一カ月半前に設定したのはなぜか? 「婚外子」違憲判決が出された後、民法「改正」をめぐり自民党内が紛糾したとき、まもなく衆院選違憲判決が出るぞと脅しておけば、自民党の民法「改正」反対派に圧力をかけることができると計算したのである。

 衆院選違憲判決といふ政治ショーを最大限に利用しようとしたのが最高裁で、その作戦は見事に成功した。自民党の「ボクちゃん」たちは、もちろんそんな最高裁の陰謀など知る由もない。民法大改悪法案は二十一日に事実上の全会一致で衆院を通過した。


 (この項続く)
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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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