◆「一票の格差」違憲無効訴訟ゴッコ(八)

 最高裁で36件の個別意見を書いた「違憲判決」常習犯



 さて、升永英俊の参謀、元最高裁判事泉德治の話に戻らう。

 ここでは、「違憲判決」常習犯の「罪状」を点検してみたい。
 
 泉德治は最高裁判事時代(平成14年―21年)、関与した判決の中で、36件の《個別意見》を書いてゐる。《個別意見》の内容については、御当人が次のやうに得々と説明してくれてゐる。

《私は、最高裁判事時代に36件の個別意見を書きました。多数意見と結論を異にした「反対意見」が25件、結論は多数意見と同じであるが結論に至る理由を異にした「意見」が4件、多数意見に加わりながら自分の意見を付け加えた「補足意見」が7件であります》

 「違憲判決」常習犯のマニアックぶりがうかがはれやうといふものだ。

 「一票の格差」違憲訴訟の最高裁判決で、泉德治が「違憲」の反対意見を述べたことは3度に及ぶ。

 ・平成16年1月(大法廷判決)
 ・平成18年10月(大法廷判決)
 ・平成19年6月(大法廷判決)

 次いで、彼が2度にわたつて「違憲」の反対意見を述べた判決がある。民法の「婚外子」相続規定違憲訴訟がそれだ。
  
 ・平成15年3月(小法廷判決)
 ・平成16年10月(小法廷判決)(※)

 「違憲判決」常習犯の狙つた獲物は、「一票の格差」違憲訴訟と「婚外子」違憲訴訟だつたことが知れる。

 先に私は、9月の「婚外子」違憲訴訟の最高裁判決と11月の「一票の格差」違憲訴訟の最高裁判決は密接に結びついてゐると指摘した。最高裁判事泉德治においては、「婚外子」「一票の格差」は、モノになりさうなテーマとして早くから意識されてゐた。泉德治の悲願は、この「一票の格差」違憲訴訟と「婚外子」違憲訴訟において、自分たちの少数意見を多数意見にひつくり返すことだつた。

「婚外子」違憲訴訟は、9月の最高裁判決で、裁判官14人の全員一致で違憲の判決が出され、ものの見事にひつくり返つた。11月の「一票の格差」違憲訴訟の最高裁判決は、「違憲状態」判決にとどまつたが、これが「違憲・無効」判決にひつくり返るのは時間の問題だと、この「違憲判決」常習犯は考へてゐるに違ひない。


(※)この判決において、泉徳治判事とともに「違憲」の反対意見を書いたのが才口千晴判事である。才口千晴判事は平成20年に退官、平成23年にTMI法律事務所に天下り、泉德治の同志となつた。


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プロフィール

tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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