◆「一票の格差」違憲無効訴訟ゴッコ(十)

 失敗に終はつた升永グループの対広島高裁戦略
「違憲無効」の筏津裁判長にあたらなかつた不運



 参院選の違憲無効訴訟で、広島高裁(宇田川基裁判長)が5日出した判決は、請求棄却。升永英俊グループらを大いに失望させる結果となつた。

 広島高裁の判決は、最高裁の顔をたてて「違憲状態」と判示したものの、国会の定数是正状況は「立法裁量権の限界を超えると断定できない」といふ、至極真当な内容。

 これに対して、升永グループと山口邦明弁護士グループの弁護士たちは「ふぬけな判決だ」「色あせた判決だ」「不当な判決だ」「後ろ向きの判決だ」と不平不満タラタラ。

 升永一派をカリカリさせたのは、判決の中で、昭和22年に参議院議員選挙法が制定された当時の格差について触れたくだりと思はれる。

 当時の格差は最大で2.62倍だつたが、判決は「これを超えるような格差が残る改正では憲法上許されない」と述べた。逆にいふと、2.62倍を超えない格差は憲法上許容されるといふ見解である。

 升永一派にとつては、昭和22年当時さへ、参議院の格差は2.62倍あつたといふ事実はタブーなのだ。なぜなら。1対1、つまり1倍以上の格差はみな違憲無効だといふ升永一派の論理に従へば、戦後の参院選はすべて違憲無効だつたといふことになる。いまさら、戦後の参院選はすべて違憲無効だつたなんて叫べば、キチ●ヒ扱ひされかねない。お利口な升永一派はさすがにそんなことは言はない。だから、高裁の裁判長に、2.62倍を超えなければ大丈夫よ、なんてお墨付きを与へられたら困るのだ。

 今回の違憲訴訟が、 宇田川基裁判長のやうな「常識的」な裁判長の担当になつたことが、升永一派にとつての不運だつたといへる。

 升永グループと山口グループが、広島高裁に計3件の訴訟を集中させたのは理由がある。かれらは、衆院選違憲訴訟で「違憲無効」判決を出した筏津順子裁判長の係属になる確率を計算して、広島高裁に訴訟を集中させたに違ひない。

 衆院選違憲訴訟の時は、山口グループが筏津順子裁判長(第3部=民事)、升永グループが小林正明裁判長(第2部=民事)と分かれ、筏津裁判長はかれらの期待に応へる判決を出してくれた。ところが、参院選訴訟では、かれらの期待に反して、両グループの担当になつたのは広島高裁第4部=民事の宇田川基裁判長。

 夢よもう一度とばかり、広島高裁攻勢をかけたのはいいが、今度はなんと、第4部で併合審理。しかも、その裁判長たるや、堅実な判決で知られる「常識的」な宇田川基裁判長だつたとは。 

 参院選違憲訴訟で、升永グループは全高裁・支部に提訴してゐるが、山口グループは東京高裁以外で提訴してゐるのは広島高裁しかない。広島高裁ダブル提訴は、升永グループと山口グループが練に練つた戦略だつた。成功すれば政治ショーの最大の見せ場になるはずだつたのに、それが失敗に終はつてしまつたのはお気の毒といふしかない。

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コメント
Re: 取材のご依頼

折原賢様

千葉です。

ご返事遅れまして。

取材の件、
10日(火)の午後3時以降でしたら結構です。
御指定の場所にうかがひます。

        

**************

〒277―0835
柏市松ヶ崎348の4
       千葉展正
090―6659―4927
tenchi@tbz.t-com.ne.jp

*************

> 千葉展正様
>
>
> 拝啓 寒冷の候ますますご清栄のことと
> お慶び申し上げます。
> 株式会社テーミス編集部の折原 賢と申します。
>
> さて、このたび弊社発行の『テーミス』2014年1月号(1月1日発売)にて
> 「選挙無効判決にみる裁判官&弁護士のパフォーマンスに踊らされるな(仮)」
> (B5見開き2ページ)という企画を予定しております。
> 先月28日に、広島高裁岡山支部で出された
> 「一票の格差」と参院選の是非を問う裁判で「違憲・
> 無効」判決が下されたことに鑑み、裁判官の判断に
> 対する論議が興っておりますが、千葉様に升永英俊グループに
> ついて詳細なお話をお伺いすることはできませんでしょうか?
>
> 日程は12月9日~10日のうちに都内で30~40分程度の
> お時間を予定しております。
> また、インタビュー形式を予定しておりますが、地理的な理由
> でご都合が叶わないならば、お電話でも結構です。
>
> なにとぞお願い申し上げます。
>
> 敬具
>
>
> 折原 賢
> 株式会社テーミス 編集部                               
> 〒102-0082
> 東京都千代田区一番町13-15一番町KGビル
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tensei211

Author:tensei211
ちば・てんせい。ジャーナリスト、政治評論家。フェミニズム論、天皇論を中心に執筆活動を展開してゐる。

北海道芦別市生まれ。千葉県在住。

フェミニズム論をまとめた著作として、『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(展転社)など。フェミニズム関係の共著に『男女平等バカ』(宝島社)、『夫婦別姓大論破』(羊泉社)などがある。

執筆には、正仮名遣ひ(歴史的仮名遣ひ)を用ゐる。

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